現状把握
いつも読んでいただきありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします!
錬金術師となった俺に求められるのは、何と言っても情報整理能力であろう。現状で何が手に入るのか・それはいくらなのか。詳しく整理しておく事で、これからの指針に繋がるかもしれない。
・現在自力で入手可能な物
<植物>
ヒールウィード:HP回復薬の材料。
ヤマノイモ:食用。繁殖力が強いつる植物だ。
エノコログサ:俗にいう猫じゃらし。猫キャットというモンスターをじゃらすのに使える。
ブタクサ:雑草。
タンポポ:雑草。
ススキ:雑草。
シソ:食用。いいにおいがする。赤しそは梅干しの材料。
シロツメクサ:雑草。
スズメノカタビラ:雑草。
ブルーベリー:食用。大粒で甘くておいしい。
<動物>
魚の切り身:カワムツと思われる。ちょっと臭う。
<その他>
水:何かと使える。
・現在買う事が出来ると分かっている物
<無機物>
ナイフ:魚をさばける。100ゴールド。
水瓶:水を汲める。水中に沈めると、魚が入り込む。500ゴールド。
発熱石:錬金台に置くことで、炎を出すことが出来る。20個で4000ゴールド。
フライパンなどの調理道具:モンスター(敵)にぶつけるとすぐ壊れるらしい。
塩:料理の味付けに使える。
<有機物>
モンスターの肉:食用。普通に美味しい。
砂糖:料理の味付けに使える。
・現在作ることが出来る物
HP回復薬:一本150ゴールドで売れる。
HP微回復薬:一本50ゴールドで売れる。
これらだけを使って、何か「面白い物」は作れるだろうか?ここでいう「面白い物」とは一見思いつかないような使い道という意味だ。
例えば……タンポポの根を使うとタンポポコーヒーが作れるのではなかろうか?一見雑草扱いされがちなタンポポも、実は使い道があったりする。あ、でも収穫したタンポポには何故か根がついていないんだよなあ。これは、植物図鑑の熟練度の問題かもしれない。ブルーベリーの時も「この木はブルーベリーだ」というのははじめから分かったが「実を収穫する」には熟練度10が必要だった。今も「これがタンポポだ」と分かっているが「根を収穫する」事が出来ていないのかもしれない。
そういえば、ヤマノイモについても根は収穫できていない。
やはり、今後に期待するしかないな。
塩と砂糖は手に入るという情報はありがたい。あとで大量購入してやろう。塩は魚の味付けに使えるだろう。あと、もしかするとHP回復薬・改のようなものを作ることが出来るかもしれない。現実世界において、運動の疲れを癒すにはやはり塩分補給は大事だからね。
砂糖は何に使えるだろう?まずは酒造りに使えるかもしれない。お酒が出来る原理は単純で、酵母が糖を食べると、排泄物としてアルコールが出来るのだ。確か、こんな感じのはずだ。
[ブドウ糖]―(解糖系)→[ピルビン酸]→[アセトアルデヒド]←→[エタノール]
つまりは、酵母菌にいっぱいブドウ糖を食べさせてあげたら、その分いっぱいアルコールを作ってくれるんだ。
それから、砂糖とブルーベリーでブルーベリージャムを作れそうだな。ジャムと言えば……俺が小さかったころ、フルーツをぐつぐつ煮たらジャムになると思っててイチゴをぐつぐつ煮たんだ。出来上がった物はすっぱくてすっぱくて食べれたもんじゃなかったよ。ジャムって砂糖の投入が必須なんだよね。
あれ、ちょっと待てよ。それじゃあ、ヒールウィードを砕いてぐつぐつ煮たらHP回復薬になるのかな?確かめてみようか。
ナイフでヒールウィードを細かくして、鍋(小)に投入。水も加える。火をつけてぐつぐつ煮る事数分。緑色の液体が完成した。鑑定してみると、『青汁』だった。回復効果もバフもないただの「青汁」だ。なんでだよ!!
憶測にすぎないが、鍋などを使った調理で出来上がる物は全て「何の効果もない物」となってしまうのだろう。HP回復薬などの特殊効果を持った素材は錬金でないと生み出せないとすれば、錬金術師の価値が損なわれることは無いし、ちょうどよいゲームバランスになりそうだ。逆に言うと、錬金術を使って作った物にHP回復以外のバフが見つかるかもしれない。実験する甲斐がありそうだ。
色々試してみたいことはあるが、ひとまず何も考えずにできる塩と砂糖の大量購入をしましょうか。北区へレッツゴー!!
◆
道行く人に案内されたどり着いた店は小売店だった。ソルトシェイカーに小分けされた塩・袋に小分けされた砂糖が売っていた。しかし、そうではなくて1kgくらいまとまって売っている物が欲しいのだ。幸い、小売店の店長に聞くと卸売店っぽい所を紹介してもらえたのでそっちに行く。
「ここか。うーん、旅人たる俺がここに入っていいのかな? まあ、いいか。取りあえず入ってみよう。こんにちはーー!」
「いらっしゃいませ。おや、旅人さんの錬金術師ですか、めずらしい」
「あはは。ここって僕でも買い物可能ですか?」
「ええ、もちろん。ここは卸売っぽい小売店ですからね。一般の皆様もご利用可能ですよ」
「ありがとう。ちょっと見て回るよ」
…
……
………
「お、あったあった。塩1kgで1000ゴールド・砂糖1kgで6000ゴールド。砂糖が予想以上に高いな」
中世という世界観に合わせて、砂糖の値段は高めにしてあるのかな?
7000ゴールドの出費かあ。半日ずっとHP微回復薬を作ればまた稼げるかな。




