キャラメイク
真っ白な空間に出た俺の前に早速メッセージが表示される。
<【重要:利用規約】このゲームにおいて……承諾しますか(Yes)>
すぐに承諾をクリックする。利用規約はゲーム外で先に読んでおいたのだ。
利用規約の内容を分かりやすくまとめるとこんな感じだ。
~
1)現実とは異なる点があるけど許してね。
2)このゲームは大会側が主催するイベント以外では人間同士の争いは許されていないし出来ないよ。
3)喧嘩はしないでね。街中で喧嘩して騒いだりしている迷惑な人を見かけたら「通報」できるよ。
4)ゲーム内のフレンドと現実世界で会う時は十分注意してね。(性別を偽ることは出来ないのでその点は安心できるよ)
5)ゲーム内の行動について、製作陣が無断で見させてもらう事があるよ。これはバグを利用するような人が居たら困るからだよ。
6)意図して他人の写真を広めたりするのは良くないよ。肖像権が侵害されたりしたらAWT運営会社に通報してね。
7)悪いことをしたユーザーには注意喚起をするよ。それでも言う事を聞かなかったらアカウント削除をするかもしれないよ。
8)NPC(いわゆるAI)とも仲良くしてね。NPCも「通報」の権利を持っているからね。
~
まあ、マナーみたいなものだな。PK、すなわちプレイヤー同士の争いが許されていないのは、このゲームが全年齢対象だからだろう。俺としても、プレイヤーに警戒しながらゲームをするのは嫌なので運営の判断に感謝だな。
◆
プレイヤー名を入力するように求められる。
俺の本名は「誠」だが、友人には「せい」と呼ばれている。これをそのままプレイヤー名にするとするか。
<プレイヤー名『セイ』でよろしいですか?(YES)/(NO)>
もちろん、Yesを押す。
◆
次に表示されたのは鏡だ。俺の姿が映っている。
<自分の姿に補正をかけることが出来ます。補正が完了したらOKボタンに触ってください。補正は後からでも行う事が出来ますが、その場合、フレンドにその旨が通達されます>
このゲームでは、全身がスキャンされるので、自分の容姿がそのままゲーム内に反映される。つまり、俺の妹はゲーム内でも可愛いままであるという事だ。
ただし、俺のようなそれほど恵まれた容姿をしていない人はここで補正をかけることが出来る。現実の姿を基に、少し弄ることが出来るといった感じだな。あとは、刺青を入れたり、エルフ耳にしたり、ケモミミを付けたりも出来るらしい。
まあ、俺はこのままいくけどね!! 見た目弄ってる時間がもったいない!! 早く、ゲーム世界へと行きたいんだ!
◆
さて、いよいよ職業選択だ。このゲームの中では、全ての人が職業を有しており、どの職に就くかによってステータスに差が出たり、ゲーム開始時に所持しているスキルに差が出る。
職業について語る前に、ステータスについて語っておこう。
事前に発表されたシステムを見る限り、ステータスはこのような項目がある。
~
Health Point (HP) : 健康状態の指標。ヒットポイントと考えてよい。
Magical Point (MP): スキル発動時に消費する値。スキルポイントと考えてよい。
Physical Attack (PA): 物理攻撃力の指標。
Magical Attack (MA): 魔法攻撃力の指標。
Physical Defense (PD): 物理防御力の指標。
Magical Defense (MD): 魔法防御力の指標。
Speed (S): 速さの指標。プレイ中の移動速度にも影響を及ぼす。
Mind (M): 異常状態耐性の指標。異常状態は「麻痺」「毒」などがある。
Dexterity (D): 器用さの指標。生産系の魔法の成功率に影響する。
~
そして、初期値はこうなっている。
~
HP:50
MP:10
PA:10
MA:10
PD:10
MD:10
S:10
M:10
D:10
~
さて、次にジョブ一覧を見てみよう
~
・物理系
剣士
狩人
鍛冶職人
・魔法系
魔術師
召喚術師
錬金術師
~
意外と少ないというのが第一印象だ。製作元曰く「どの職が有利とかが出ないように調整するのに苦労しました。その結果、ジョブは6種類という事になりました」だそうだ。
例えば、物理系職業につくとPAとPDにプラス補正がかかる。逆に魔法系職業につくとMAとMDに補正がかかる。
具体的な補正はこうだ。
・剣士
PA:+15
MA:+5
PD:+10
MD:+5
S:+5
M:
D:
・狩人
PA:+10
MA:+5
PD:+10
MD:+5
S:+10
M:
D:
・鍛冶職人
PA:+15
MA:+5
PD:+10
MD:+5
S:
M:
D:+5
・魔術師
PA:+5
MA:+10
PD:+5
MD:+10
S:+10
M:
D:
・召喚術師
PA:
MA:
PD:+20
MD:+20
S:
M:
D:
※召喚獣に戦わせるから防御力に全振りされるようだ
・錬金術師
PA:
MA:
PD:
MD:
S:
M:
D:+40
さて、俺はどのジョブにするかはもう決まっている。
「錬金術師」
これ一択だ。
俺はこのAWTの壮大な世界観を楽しみたいと考えている。そして、錬金術師というジョブは特にやりこみ要素が多いらしいのだ。無数にある素材の組み合わせの中からレシピを探し出すのはゲームの醍醐味と言えるのではなかろうか。
もっとも、錬金術師は戦闘はまるでダメなステータスになっている。モンスターとのバトルを楽しみたい人にはお勧めしないジョブと言えよう。
という訳で悩むことなく錬金術師をぽちっとな。
◆
<ジョブは後から変更も出来ますが、その場合、以前の経験値や称号は失われます。ですので、慎重に決めてください。
職業:錬金術師
本当に宜しいですか?
(OK)/(キャンセル)>
確認のメッセージが表示される。もちろんOKだ。
<キャラメイクが完了しました。それでは、異世界への旅をお楽しみください~!>
アナウンスの声とともに視界がぼやける。次の瞬間、俺はAWTの世界に到着していた。
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