俺の事を気にせず先に行け!!
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今後ともよろしくお願いします!
ムシャムシャとブルーベリーをほおばる俺たち。その場で採ってその場で食べる様はイチゴ狩りに来たような気分にさせてくれる。
今後、何かに使えるかもしれない。もっともっと収穫しておこう。
そんな風に薬草を摘んだりブルーベリーを食べたりしている内に、警戒心が徐々に薄れていき……そしてとうとう悲劇が起こってしまった。
「ポヨン! ポヨン!」
「え?! ギャー!! スライムだ!」
「ポヨン!」(体当たり)
「うぎゃー!」
俺は死に戻ってしまった。
◆
ゲートシティの広場に戻ってきて少しすると香からフレンドコールがかかってきた。
「おーい! お兄ちゃ~ん。大丈夫?」
「普通に死に戻っただけだから傷一つないよー」
「そうじゃなくて……その……女の子の前でスライムにコテンパンにされて精神的ダメージを喰らってないかなあって……」
そういう事をわざわざ言うなよ……。
「それについては諦めているから問題ない。ああ、二人は俺の事を気にせず、先に進んでくれ。俺はこのまま錬金に励むとするよ」
「分かったわー。いわゆる『俺の事は気にせず先に行け!』ってやつね! まあ、スライムに倒されたお兄ちゃんが言ってもかっこよくないのだけど」
「ショボーン。(´·ω·`)まあ、生産職の俺にとってスライムはラスボス並みの強さなんだ。仕方がないのだ。それはともかく、12:00になったらちゃんとログアウトしろよー! それじゃあなー」
「それじゃあね~」
俺の為にわざわざゲートシティに戻ってもらうのは悪いしな。俺は素直にセーフティーエリアに引きこもるとしよう。
まず何をしようか……。南の湧水エリアに行って水を入手するか。うーん、その前に水瓶を追加購入しておこうかな。それじゃあ、錬金ギルドへ行くべきだな。
…
……
………
「ちわーす。水瓶追加購入に来ましたーー」
「いらっしゃーい。今日もログインしてくれたのねー。私達は一日中この世界に居られるし、この世界で稼いだお金が直接生活費になるけど、あなたたちは違うでしょう? 大丈夫なの?」
NPCにリアルの生活を心配されるとは思ってなかったので、ちょっと面食らってしまった。
「ああ、俺は学生で、今は夏休みだから問題ないぞ。これから暫くはほぼ毎日ログインすると思うぜ」
「ああ、なるほどね。それはともかく水瓶の追加購入ね。いくつ欲しい?」
「追加で15個!」
「結構買うわね。15×500=7500ゴールドね」
「了解。送金っと」
「はい、ありがとね。商品はインベントリに入っているわ」
「どうもありがとうー」
…
……
………
さらさらと水が流れる南エリアの清流へとやってきた。それにしても、この水の表現とかもめっちゃリアルだよねー。ゲームプログラマーとしてはあこがれるよね。
さて、20個の水瓶を沈める。さて、今回はお魚紛れ込まないかなあ……。お! インベントリに仕舞えなかったのが三つあったぞ! これはもしかして……。
「ラッキー。魚が入ってる! 3匹ゲットーー」
ナイフでしめて刺身にしてインベントリに仕舞っておいた。うーん、これ繰り返したら際限なく魚が手に入るのかな?俺がこのゲーム作るとしたら、各瓶に対してランダムで魚が入るようにプログラマするからなあ。川にいる魚の総数まで考慮したプログラムを作ったりはしないと思うんだよなあ~。うんぬんかんぬん…………。
「まあ、その検証は今後ここで水を汲む際に徐々に行うとするか……。今日は帰って錬金しようーー」
…
……
………
「錬金室使いたいんだけどー」
「はいはい~。どうしたの、難しい顔して?」
「え? ああ、いや。川で魚が獲れたからラッキーって思ってたんだ」
「へー。うん? もしかして南の川で獲れる魚の事?」
「ああ、うん。それだな」
「ああ……あれねぇ……」
「……?」
「あんまりおいしくないのよね……(苦笑)」
「マジっすか?」
「マジ、マジ。食べてみなよ。セーフティーエリア内だからお腹壊す事も無いしね」
「それもそうか。ちゃんと調理しないとお腹壊すかもとか思ってたけど、言われてみればそんなはずないよな。それじゃあ、頂きましょうか……」
刺身を取り出して口の中に放り込む。うーん。こ、これは!
「ちょっと泥臭いなあ……」
「泥臭いでしょう……」
「食べれなくはないけど、わざわざ食べたいとは思わないかな……」
「ちなみに、猫なら美味しく食べてくれるらしいわよ」
「そうなのか。友人に猫キャットをサモンしている奴が居るし、そいつにあげるかーー」
「そうしたほうがいいと思うわ」
あとでフレンドコールするとするか。いやあ、まさかこんなに早くフレンド登録しておいたことに感謝するとは思わなかったよ。
「それじゃあ、俺は大人しく錬金するよー」
「一時間1000ゴールドだよー。それじゃあね~」
…
……
………
「ふへー。今日も終わった~。200本のHP微回復薬完成っと。熟練度も1上がって7になって切りも良いし、これらを売ってそのまま昼飯とするかー」
3000ゴールド支払って、代わりにHP微回復薬200本を売った。50G×200本―3000=7000ゴールドの儲けが出たのだった。