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古代語解読スキル


「そういえば、セイは最近どうなの? 何か面白い物は見つけた?」


「あー、リオカと一緒にゴーレムを見に行ったよ。火の町の先にあるゴーレム。分かる?」


「ええ。現状見つかっているボスらしいボスだもの、腕試しに行ったことがあるわ。全く歯が立たなかったけど」


「やっぱりそうだよなあ」


「弱点とかそういった物があるんじゃないかって思って、色々試してみたのだけど、何も分からなかったわ。セイもそんな感じ?」


「ああ。といっても、本体への攻撃はリオカ達に任せて、俺は部屋の中を見て回ったんだ。何かギミックが無いかと思ってさ」


「へえ、なるほどね。でも、そんな悠長に部屋の中をぶらつく暇なんてあったの? 確かにセイはアタッカーではないからヘイトも少ないでしょうけど」


「あ、マルベーシには見せてなかったっけ? これこれ」


「『ヘイトを著しく減少』……。へえ、『著しく』ねえ」


「この効果がかなり凄くて、攻撃しない限り、まず間違いなく敵から攻撃されなくなるんだ。ボス戦でもそうで、リオカ達が生き残っている間は俺には全く攻撃が飛んでこなかった。リオカ達がやられて、俺一人になったら流石に狙われたけどな」


「なるほどね。それで、安心して部屋中を見た結果、何かわかったのかしら?」


「さっぱり。強いて言えば、この壁の模様が何かヒントかもしれないって思ってる」


 俺はマルベーシにスクショを見せる。


「あ、これ! 古代語じゃない?!」


「古代語?」


 何か新しい情報が飛び出したぞ?


◆マルベーシ、説明中……◆


「なるほど、地下のペナルティーエリアに、そんな場所があったなんて」


「ええ。そこにある本を開いたら、『古代語で書かれた本を開きました。古代語解読スキルを取得しますか?』って聞かれたの。ボーナスポイントがもったいないから、今の所取得していないけど」


「相当お高い感じ?」


「うんん、10よ。そんなに高くは無いわ。けど、私にはあんまり関係なさそうだから、取得する勇気もなくって。でも、この感じだと、取得した方が良さそうよね。今後の攻略にも関わってくるかもしれないし」


「かもなあ……。いや、俺が取得するよ。俺はどうせ、ボーナスポイントが余ってるし。いや、そんなに余っては無いけど、喫緊で取得したいスキルは無いからさ」


「そうなの?」


「ああ。で、本はここにある?」


「……今は無いわね。こうなるとは思ってなかったから。ゴメン」


「いやいや、謝る必要なんて。じゃあどうしよう。せっかくだし、俺をその隠し部屋まで案内してくれないか?」


 俺も一緒に行って、その場で古代語解読スキルを取得。そして、俺がその場で目ぼしいタイトルの本をピックアップして持ち帰るのが良かろう。


「分かったわ。じゃあ、行きましょうか。ってもういい時間だし、日を改めた方が良いかしら」


「うーん、そうだな。いつが都合いい?」


「明日の午前は大丈夫よ」


「りょーかい。俺も明日は暇だから、明日待ち合わせしよう」



 次の日。俺はマルベーシに連れられて、地下を歩いていた。この場所ってなんとも不気味だよなあ……。


「それにしても、どうやって地図を完成させたんだ?」


「武器転移って言うスキルを使ったの。距離に応じて消費MPが変化するスキルがあるから、消費MPから逆算して現在位置を把握……って感じね」


「うわあ。気の遠くなるような作業だなあ……」


「正直、もう二度としたくないわ」


 とそんなことを話しながら、マルベーシはある壁の前に立った。そこで剣を取り出して……


「『三相聖剣』」


「へ?」


 何やらカッコいい名前のスキルを発動したマルベーシは、壁を思いっきり攻撃した。何やってんだ?

 すると、壁がボロボロと瓦解した。え、壁って壊れるの? いや違うか。この壁だけが破壊可能オブジェクトなのか? どうやってマルベーシはこの壁が壊せるって気が付いたんだ? 後で聞こうかな。


「はい、これで開くわ。暫くしたら閉じるから、早く入って」


「お、おう」


 そして。マルベーシが開いた隠し通路を進むと、そこには……。


「おお! なんか広場に着いた?」


「ええ。で、この場所に魔力を注いだら、明かりが灯るの」


「かっこいいーー!」


 そこにあったのは、沢山の本。本本本。

 隠し通路の先にある部屋として恥ずかしくない、荘厳な雰囲気を醸し出していた。


「分かるわ~。いつかこういう部屋がある家で暮らしてみたいわ」


「あー、分かる。豪邸の書斎感あるよな」


 同意しつつ、俺は近くに会った本を拾う。パッと開くと、目的のシステムメッセージが表示されたので、その場でスキルを取得。


「どう? 読めるようになった?」


「読める、読めるぞ!」


「……」


「……」


「……」


「ふざけてすみません。えっとだな」



 はてさて。今開いた本のタイトルは以下のイラストで構成されていた


『家・横棒・山・棒人間・棒人間・縦棒・衣服』(7文字)


 そして、これらのイラストの上に、日本語訳が表示されていた。


『山暮らしの人々』(7文字)



「って感じだ」


「七文字に対して七文字。もしかして、日本語を記号に置き換えただけなのかしら?」


「そうだとしたら、対応表を作るだけで、読むことができるな。んじゃ、本の中身を読んでみるか」



 一ページ目にはゲートシティー周辺と思われる地図が乗っていた。そして、その地図の下に、以下の記号が並んでいる。


『∀みたいな文字・横棒・家が二つ・縦棒・太陽・山・×印・棒人間・Sみたいな文字・岩が三つ・川・剣・折れた剣・Sみたいな文字・×印・家』(16文字)


翻訳すると↓


『町の南にある山にはケルべ人が住んでいます』(20文字)



「って感じ」


「残念、一対一対応ではないみたいね」



 何はともあれ、これで俺は古代語を読めるようになった! 早速、ゴーレムの所に書いてあった内容を読むぞ!!


 スクショを開いてそれを見る。あ、スクショじゃスキルが反応しないかも? いや、大丈夫だ。ちゃんと読めてる。


「どう、どう? 読める?」


「ああ、読める! 読めるけど……」


「けど?」


「うーん……。一文字ごとの意味しか読めない。スクショを加工して繋げても、一つの文章として認識してくれない」


「でも、読めたんでしょう?」


「まあな。こんな感じ」



・ドラゴンのイラスト

 →竜


・ (空白)

 → (翻訳不可能だった)


・花のイラスト。

 →花


・棒人間のイラスト。

 →人


・風のような記号。(こんな感じ→「~」)

 →そよ風


・盾っぽい何かが描かれている。

 →盾


・バツ印。

 → (翻訳不可能だった)


・川を表した絵に見える。

 →川


・砂時計っぽい記号

 → (翻訳不可能だった)


・折れた剣のイラスト

 →壊れる


「どう思う?」


「えっと? 続けて読むと『ドラゴン 花人そよ風盾■川■壊れる』になるわね」


「……意味が分からないだろ?」


「そうね」


 そう簡単には、謎は解けないようだ。





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