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二日目の始まり

いつも読んでいただきありがとうございます!!


今後ともよろしくお願いします。

「香ーー! 朝だぞ~。朝食出来てるぞーー」


「むにゃむにゃ。あと5分……」


「だ・め・だ! そうやって生活リズムを乱すと、ゲームすらも十分楽しめなくなるぞ。さあ、起きた起きた!」


「ふにゃあ……。あれ? もう朝? 今何時?」


「5:45だ。6:00にログインするんだろう?」


「え! あと15分じゃあない! なんでもっと早くに起こしてくれなかったの?」


「何度も起こしたぞ。でもお前が『出て行って~』とか『うるさい静かにして……』とか言うから起こせなかったんだよ」


「そ、そうなのね」


「ほら、朝飯だ。お前の好きなクッキーとコーヒーのセットだ」


「おおーー! いただきます!」


……

………


「それじゃあ、ログインするか」


「はーい。それじゃあねー」


 そういう訳で、香とは別れ俺たちはゲームの世界へ飛び込んだ。



「今日は平日なだけあって人が少ないなあ……」


 今日、リアルでは平日だ。だから、夏休みの概念がある俺たち学生などはログインしているが、プレイヤーはかなり減っている。

 そうなるとだ、薬草採取に行くことが難しくなってしまうなあ。非戦闘職の俺にとってスライム一匹が化け物だ。どこかのパーティーに寄生するのは流石に悪いしなあ……


※寄生といっても、ドロップアイテムは直接インベントリに収納されるし、経験値は戦ったパーティーにしか分配されない。だから、寄生行為が迷惑という訳ではないが、印象は悪いだろう。


 しかし、俺には究極の手段がある。これはできればしたくなかったのだが……やむを得まい。俺の必殺技を使う時が来たようだな。フレンドコールをぽちっと。


「もしもし? 香? 今いける?」


「ええ、もちろん。今から西の草原でレベル上げをしようと思ってるところよ。どうしたの?」


「ものすごく申し訳ないが、俺の護衛をして頂けないでしょうか?」


「突然敬語で話すの辞めて! うーん、ちょっと待って、パーティーの子に事情を話すから」


「パーティー? え? ええ?」


「いいよ。それじゃあ、私たちは西の門に向かっている所だから、お兄ちゃんもダッシュできてねーー! それじゃあ!」


「あ、ああ。それじゃあ……」


 あいつ、ソロじゃないのか。まあ、学校の友人とパーティーを組んでいてもおかしくないか。


 そんなわけで、妹に助けてもらうのが一番いい手段なのだ。うーん、兄としてそれはどうなのか……。まあ、しかたないよね!



「あ、お兄ちゃーん。こっちこっち!」


 香は兎(角が生えているのでホーンラビットかな?)を抱きしめている。あいつ、動物好きなのにアレルギーだったから、ペットを飼う事が出来てなかったんだよな。こういう形で動物と触れ合えたのは良かったと思う。

 香の隣には香と同い年くらいの女性が立っており、その足元にはすごく大きな猫が寝そべっている。彼女が香のパーティーメンバーなのだろうか。


「どうも、セイです。妹がお世話になってます」

 取りあえず、無難に自己紹介する。


「はじめまして、私は姫川(ひめかわ) (はな)と言います。プレイヤー名はフラウです。よろしくお願いします。香のお兄さんなんですよね。うーん、香に写真見せてもらった時から思ってましたが、やっぱり似ていますね」


「そうかな?」「そう?」


「ええ。流石は兄弟ですね。あ、香とは高校時代の友人です」


 ふむ、フラウは香のリアルの友人みたいだな。そういや香が「クラスメイトの姫川さんって子、すごい子なの!」って言ってた気がしなくもない。いずれにせよ、本名を名乗ってくれたんだし、改めて俺も自己紹介せねば。


「なるほど、妹が世話になっているな。改めて俺の名前は三条誠でプレイヤー名はセイだ。よろしく! フラウは……召喚術師か?」


「ええ。それにしても、セイさんは錬金術師とはマニアックなジョブを選びましたね……」


「まあな」


「それじゃあ、お兄ちゃんも加わった事だし、Let's Go!!」


……

………


「へえ、その子がお前の召喚獣か」


 改めて、リオカの前を歩く兎を見ながら話す。


「そうよ。かわいいでしょ。真っ白な兎さんなの! 名前はラビリンスよ」


「ラビリンスか……何故に迷宮? そういえば、目は黒いんだな。普通、白色の兎は赤色の目だよな?」


「そうね。網膜を通る血管が見えて赤色になると言われているわ。けど、ゲームだし、その辺は適当なんじゃない?」


「まあな、赤色の目だと『充血してる?』って思ってしまうしね」


「さすが三条兄妹……雑学で満ち満ちてる……」



「フラウの召喚獣はその猫か」


「はい。一応、猫キャットという名前のモンスターです」


「へえー。そうだ、これ使えるかな?」


 そう言って取り出したのはエノコログサ、いわゆる雑草だな。俗称『ねこじゃらし』の名をもつ草なのだから、猫型モンスターをじゃらす事も出来るんじゃあないだろうか?


「へえ! 猫じゃらしですか。それは、どこに生えているんです?」


「そのへんに生えてるが、『植物図鑑』っていうスキルを持っていないと採取できないんだ」


「そうなんですね。早速使わせて頂きます。ほらほら、タマ~。猫じゃらしだよ~」


「にゃーん!!」


「あはは、喜んでる喜んでる!」


「また欲しくなったらいつでも言ってくれ。大量に持ち合わせているから」


「はい、ありがとうございます! ほらほら~タマちゃん~。あははは」


 何事もGive and Takeだ。護衛してもらうだけでは悪いからな。ちょっとでも役に立とうではないか。今後、フレンドコールをかけないといけない時が来るかもしれないし、フレンド登録しておいた。

 それにしても、あの猫の名前「タマ」って言うのか? なんというか、安直だなあ……と思ってしまった事は秘密だ。


「お兄ちゃん、あたしにも頂戴!」


「うん? ウサギって猫じゃらしにじゃれつくのかな? まあいいぞ。ほれ」


「ほらほら、ラビリンスちゃーん。あれ、食べてる……?」


「ははは、食べるのか……」




誤字報告、すごく助かります。


自分では気が付かなかったミスが見つかるたびに、自分の拙さ……というより不注意さを思い知らされます。

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