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遺伝子組み換え植物の作り方

長らく更新が止まってしまいすみません!

今回は知識回(?)です。

リョーマ君との会話は雑学程度に楽しんで頂ければ幸いです。

 本屋をぶらついていると、偶然高校時代の同級生である竜馬(りょうま)(リョーマ)と出会った。互いの学科の話など、他愛のない話をする。

 そして、リョーマもAWTをプレイしていると知り、今度はゲームの話をし始めた。俺の試行錯誤を話したりする中で、前に見つけた「粗悪な枝」の話をした。


 「木の伐採をしてたらさ。『粗悪な枝』ってアイテムが出たんだ。虫こぶがいっぱいついててとにかく気持ち悪い見た目の枝だったよ。」


 「へえーー!いくらリアルじゃないって分かっていたとしても、ちょっと触りたくはないなあ。」


 「だろ。炙ったりしたら、中から虫が出てきたりするのかな。」


 「もはやホラーゲームじゃん、それ!グロ表現OFFにしてから作業したほうがいいかもな。」


 「確かに。」


 「ところで、虫こぶって必ずしも『虫』によって出来る物じゃないんだぜ。知ってたか?」


 「え、そうなの?」

 俺の知識では、虫こぶとは木や草に虫が寄生した際に出来る(ふく)らみである。だからこそ「()こぶ」という名前が付いてるのだとばっかり……。


 「さすがのセイもこれは知らなかったか。虫こぶは虫以外にもバクテリアによっても作られるんだ。もっとも、その場合は虫こぶとは呼ばれず、『植物の腫瘍』とか『クラウンゴール』とか呼ばれるけど。」


 「そうなの?ふへーー。知らなかった。」


 「ああ。何らかの影響で植物に傷がつくと、植物は傷を修復するべく特殊なホルモンを出すんだ。」


 「なるほど。」


 「そのホルモンは植物自身に向けたシグナル伝達物質だが、自分自身だけじゃなく地中に居るバクテリアもそのシグナルをキャッチしてしまう。」


 「ふむふむ。傷口から血が流れ落ちるみたいなイメージかな?」


 「そうそう。そして、悪いバクテリアは傷口に集まり、傷口にたどり着くとVir遺伝子を発現する。」


 「?要するに、バクテリアが活性化するみたいに思えば良き?」


 「まあ、そんな所かな。活性化したバクテリアはTiプラスミドの中のT-DNA……簡単に言えば特殊なDNAを植物の体内に注入する。」


 「はあ。なんかウイルスみたいだな。」

 ウイルスが人間に感染する時も、ウイルスの遺伝子が細胞に注入される。


 「そうそう。で、T-DNAを注入された植物細胞はがん化し、オーキシンとサイトカイニンって言う物質を作り出してしまう。これらの物質によって腫瘍が出来るんだ。」


 「へえ……。マジでウイルスみたいだな。レトロウイルスだっけ?」


 「レトロウイルスを知ってるとは。流石は雑学王。レトロウイルスはRNAを注入して細胞をガン化させるが、さっき言ったバクテリアはDNAを注入して宿主をガン化する。違いはあれど、腫瘍を生み出すって点は似てるかもな。」


 「半分くらいよく分からなかったが、取り敢えず植物の腫瘍はバクテリアによっても生み出されるってことが分かったよ。」

 雑学が好きとは言え、こんな事実は初めて聞いた。改めて、世界は広いなと気が付かされる。後で詳しく調べてみようかな。


 「ちなみに、先ほど言ったようにアグロバクテリウム、つまり『悪いバクテリア』の腫瘍生成能力は遺伝子組み換え植物の作成にも利用されてるんだぜ。」


 「そうなの?えっと、つまり腫瘍を作るのではなく新しい能力を獲得させる『人工バクテリア』を作るみたいな感じ?」


 「おお、話が速い。いかにもその通り。アグロバクテリウムは本来T-DNAってのを注入するが、そこを人間が作ったDNAに置き換える。そうしたら、アグロバクテリウムが植物に人工DNAを注入してくれるって訳だ。」


 「人間が植物細胞に注射針を刺して注入するんじゃだめなのか?」

 何故、わざわざなんとかバクテリアに任せるのだろうか?いまいちわからない。


 「最近はその方法も取られるな。注射針ではなく高速で移動する金属粉末で穴を開けるがな。」


 「あ、そうなんだ。」


 「だから、『粗悪な枝』ってアイテムを使えば遺伝子組み換え植物が出来るかもな。まあ、AWTの製作陣がこの事を知っていたらだが。」


 「面白い発想だな。ちょっと帰ったら試してみるよ!」


 「おう!楽しいゲームライフを!よし。それじゃあ俺はSDS-PAGEの結果を確認しに行くか。またな!」


 「じゃあな!」



 家に着いた俺はすぐにAWTにログインする。「粗悪な枝」のドロップ率はかなり低いからできれば自分で探すのは嫌だなあ。という訳でやってきたのは鍛冶ギルド。『鍛冶』という名前だが、木工職人含む物作り系の職業を統括して管理するギルドである。

 受付の人に聞いてみると、『粗悪な枝』を買う事は出来ないそう。というのも、使い道がないとされている以上、売り買いがなされないそうだ。だが、持っている人を見たことはあるそうなので、次からは自分が一本50ゴールドで買い取るから、ギルドに仲介してほしいと頼んでみた。普通に了承された。


 その後、自分でも粗悪な枝を取得しようとアクアシティの周りの木をばっさばっさ切り倒した。森林破壊の権化と化した俺だが、切っても切っても1hで再度伐採可能になるこの世界で自然環境を気にする必要などない。

 結果、「粗悪な枝」と「粗悪な木材」を入手する事が出来た。明日、ギルドの方でどのくらい集まってるか確認しないとな。





ガンを誘発するバクテリアやウイルスがいるという話でしたが、悪い事ばかりではありません。

人間のDNAの中には元はウイルス由来の物が数多く見つかっています。つまり、ウイルスの感染は進化のトリガーにもなり得るのです。


いつも読んでいただきありがとうございます。

今後も更新は不定期になりそうです……。すみません!!

今後とも温かい目で見守って頂けますと嬉しいです。

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