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フレアシティー周辺の魔物

 フレアシティー周辺はそれはもう暑くて暑くて、ちょっと出歩いただけなのに、乾燥の異常状態に罹ってしまった。


 「で、これどうしたらいいの?」


 「さあ?私に聞かれてもなあ……。なにか薬を持ってないの?乾燥を無効化するようなもの。」


 「そんなこと言われてもなあ……。いや、あるわ。」


生理食塩水:3分間、異常状態(乾燥)の被ダメージを無くす。


 「こんなやつがあったわ。」


 「へーー。生理食塩水なんてあったんだ。初めて見たわ。お兄ちゃんのオリジナル?」


 「そうだな。ちなみに、これは俺が始めて完成させたオリジナルレシピだ。あ、レシピは公開済みだから、ギルドでも売られてるんじゃないかな。それに……上位互換が見つかってるかもだな。」


 「じゃあ、ギルドに行ってみますか。フレアシティー(ここ)のギルド支部でも購入できるかなあ?」



 その後無事に生理食塩水を入手した俺たちは、再びセーフティーエリアの外へ。生理食塩水の効果がある間は暑さも感じなくなるので、逆に効果が切れたタイミングを認識しやすい。なかなか助かるシステムだな!


 「ねえ、お兄ちゃん?」


 「なんだ?」


 「暑くないのはありがたいけどさ。」


 「だな。」


 「なんだか、視界の情報と体感気温がマッチし無さ過ぎて、変な感覚じゃない?」


 「うーむ、確かに言わんとしている事は分かる。」

 人間は視界を使って他の感覚を補うことがある。例えば、かき氷を食べるとき、緑色のシロップがかかっていたら「メロン味」と認識するし、赤色のシロップがかかっていたら「イチゴ味」と認識するだろう。たとえそれらのシロップが実はすべて砂糖水だったとしても。つまりは、目で見た情報を使って味覚を「勝手に」補っているのだ。

 そして、今のように、如何にも暑そうな……というか熱そうな景色が目に飛び込んできているにも関わらず体感気温が普通だと妙な違和感を覚える事はある。


 「まあ、涼しい方がありがたいけどねーー。」


 「それはそうだな。うお!なんかマグマ中から何か出てきた!」

 モンスターだ!鑑定した結果によると、このモンスターの名前はマグマクロコダイル。全身が燃えているワニの姿をしたモンスターだ。


 グガアーーー!

 ワニは咆哮したかと思えば、ゴフ!という変な音と共にファイヤーボールを飛ばしてきた。

 「へ?」

 火の塊は俺に直撃、いってーー!あっつ!!


 「お兄ちゃん!大丈夫?」

 と俺の心配をしつつも、リオカはモンスターを召喚。クロコダイルに攻撃を仕掛ける。


 「俺は……何とか平気だ。けど、HPが1/3ほど削られた。」


 「結構なダメージね……。今のお兄ちゃんは鎧のバフも合わさって防御力が高いはずなのに……。」

 そう、リオカの言った通りHP1/3はかなり大きなダメージである。レベルが0~1の頃の俺ならスライムの攻撃でもワンパンだったが、水竜を倒した事でレベルが大きく上がった上に、その後も新作の大砲のダメージ量の検証をするべく何度か足を運んだ。結果、俺のレベルも30を超えた。だから、俺のHPはそう簡単には減らないようになっていた。それを踏まえると、クロコダイルは相当強いと分かる。

 ところで、せっかく、ボーナスポイントも増えたことだし、農耕関連のスキルを伸ばしたいと思ってはいるのだが、なんやかんや忙しくまだ実行に移せていない。マシカクサボテンの栽培が出来るのはいつになるのやら。


 「どうだ、倒せそうか?」


 「なんとかいけるかなあ……。弱点の水属性が乗った攻撃が出来ればもっと簡単なのかもだけど……。ひゃあ!」

 クロコダイルはその場で360度回転した。ぶるん!いかにも熱そうな尻尾が振るわれ、近くにいたリオカと召喚獣にヒットする。


 「大丈夫か?!」


 「大丈夫……じゃない!火傷になった!」


 「火傷?!……ああ、異常状態のことだよな。」

 ゲームで熱い物を触ってもリアルの体が火傷する事は無いし、それどころか痛みも残らない。だから心配する必要はないのだが、時間経過でHPが減っていくのは確かだ。


 「回復してっと……。ちっくしょーー!まだまだいくわよーーー!」


……

………

 15分が経った頃。

 「や、やっと終わったあ……ふひゃあーー。」


 「お疲れ……力になれなくてすまんな。」


 「まあ、その装備を着けてるからねえ。攻撃してもHP1も減らないよね。」


 「ああ。代償の鎧だっけか?」


 「そうそう、そんな名前の。」


 「それにしても、かなりの苦戦だったよな?」


 「そうね……。流石に竜と比べたら弱いけど……。」


 「そりゃあねえ。大きさからして竜の方が強いだろうなあ。」

 竜は全長15mくらいだ。対してクロコダイルは全長1.5m程度。長さが1/10なのだから、体積は1/1000である。


 「ええ。水竜の30%くらいの強さかしら。」


 「いやいやいやいや。マジ?」


 「マジ。」


 「ええ……。」

 俺は戦いを近くで見ていただけなので、その強さが分からなかったが、かなりの強さだったようだ。だって、1/10の大きさの生き物が1/3の力を持ってるっておかしくね?伸長17cmの小人の力が大人の1/3の強さって事だぞ?にわかには信じがたい。


 『フレアシティーの敵は見かけよりも強い。』

 心に刻んでおくとしよう。





お読み頂きありがとうございます。

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