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タンポポコーヒーを作ろう3

 翌日になった。ログインするや否や、俺は縁側へ赴く。さあて。天日干ししていたタンポポの根はどうなったかな?


 縁側には乾いてシナシナになってしまったタンポポの根が鎮座されていた。ちょっと待て、一日でこんなことになるか?違和感を覚えた物の、よく考えたらこの世界は一日中太陽が南中している。つまり、俺がリアルに帰って寝ている8時間ずっと炎天下の中放置していたわけで……。確かにこうなってもおかしくは無いか。


 あれ?一日中太陽が南中ってことは、ここの気温は尋常じゃないほど暑くないとおかしいのでは?うーん、でも大気循環によって熱が分散する事で気温が程よく保たれる?いや、でも、一日中太陽が南中だろう……。いくらなんでもなあ。

 結論:考えても無駄



 さて、シナシナになったタンポポの根を拾い上げ、鑑定する。


乾燥したタンポポの根[灰汁抜き済み]:一定の条件下でタンポポの根を枯らすと入手できる。


 耐久値関係の表示がない。おそらく、乾燥させたことによりこれ以上枯れる事が無くなったからだろう。あ、灰汁抜きしていない物も鑑定してみたが、内容は同じだった。

 あとは、これらをフライパンで炒って完成だ。上手くいくかなあ?錬金室へ行って火を使うとするか。


……

………


 「こんちはーー?」


 「む?むーー?失礼ながら、PCですか?」


 「あ、はい。旅人、つまりPCで錬金術師をしている者です。」名前は名乗らない俺であった。

 目の前にいたのはアレス。彼も旅人の錬金術師である。前回の武術大会で実力差を感じたのかあるいは普通に生産職にも興味を抱いたのか、戦闘職からこの職に転職したそうな。つまり、アルカディアの()ではないと思われる。


 「そうですか、そうですか!では是非これを買いませんか?鍛冶職人の友人に作ってもらったんです!」


 と言って見せてきたのは盾だった。なんだなんだ?押し売りか?反射的にその防具を鑑定してみる。


薔薇の守り:薔薇を愛する者が持つ盾

<耐久値>

100.0

<効果>

PD(物理防御力):×1.1

<特殊効果>

なし


 「……?なんですかこれ?」

 薔薇を愛する者。それだけ聞くと「花を愛でる心を持つ者」という意味に聞こえる。だが、目の前にいるのはアレス。少なくとも、花を愛でる心を持っていそうな人ではない。むしろ、彼が愛でているのは……。


 「それはですな、いわゆるローズさんファンクラブの証でしてな!戦闘職から生産職に転職した者のほとんどは持っているのです!」


 「……?」


 「いやあ、みんな剣士とか魔法使いとかそういった物を選ぶから、流れに身を任せて戦闘職やってたんです。でも、武術大会でボロ負けしたことを機に生産職に転職。そしたら、なんとなんと、ギルドの受付で美人さんがいるではありませんか!いやあ、転職してよかった!」


 「……なんだか、ブラック企業からホワイト企業に転職した人みたいなノリですね。」


 「それを言うなら、ブラックギルドからレッドギルドですかな?」


 「えっと?」

 どういう意味だ?


 「ああ、紅一点みたいな感じで、男性を黒、女性を赤で表現する事があるじゃないですか。それにかけてみたんです。……自分の洒落を説明するのは恥ずかしいですな。」


 「他のギルドでは受付は男性なのですか?商業ギルドも錬金ギルドも女性だったから、全ギルドで受け付けは女性なのかと思ってました。……あ、そういえば鍛冶ギルドは男性だっけ?」


 「ぬわ?もしかして、元は召喚術師ですかな?」


 「?」


 「戦闘職系のギルドで、受付が女性なのは召喚術ギルドだけなんですよ。」


 「へえーー。あの、僕、一番最初から錬金術師なんですよ。」


 「ほわ?ふへーーー!そういえば、たった一人、錬金術師になったプレイヤーがいたと聞いていたら。実在したんですか。こりゃ失礼しました。まあ、そういう訳で、生産職に転職した人の心を癒すローズさんはひそかに注目を集めているわけですよ。で、あなたもどうです?ファンクラブに加入しませんか?」


 「遠慮しておきます。すみません。」


 「いえいえ~。ほかに推しがいるなら、強要しない。それくらいの心得はありますよ。ではでは、私はこれで~。」


 アレスは去って行った。

 いや、別に他に推しが居るという訳では無くてですね……?

 「あら、じゃあ誰が好みなのかしら?武術大会2位の女の子?それとも、時々連れてくる鍛冶職人の子?それとも、妹さんの友達?……まさかとは思うけど妹さん?いや、義妹(いもうと)さんなら結婚できるのかしら?」


 「いや、そういう訳では無くて……ってローズさん!!びっくりした!聞いてました?」


 「ファンクラブの件?それは知ってるわ。だって、掲示板に書かれているんですもの。」


 「……向こうは『NPCは掲示板見ないよね~』って思っているんだろうなあ。あ、錬金室使いますね。」


 「はーい。あ、そういえば、マイ錬金台は購入しないの?そろそろ買ってみてはいかが?」


 「……そういえば。」

 考えてなかった。自分の拠点たるマイホームも購入したし、錬金台を購入しても良いのか。

 「まあ、もうちょっと考えてみる。」


 「了解よ~。買うなら、言ってね~。」


 「は~い。」


いつも読んでいただきありがとうございます。


「いつか、実際にVRMMORPGを遊んでみたいな」と思いながら読んでいただければ幸いです。

今後ともよろしくお願いします!

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