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24 検証

翌日、ウィル様に時間を取ってもらい、事情を説明した。


「俺のためにそこまで…?本来なら俺が自分で取り組むべきことなのに、すまない。ありがたく試させてもらうよ。」

申し訳なさそうな、しかしやはり嬉しさを隠しきれないといった表情で、ウィル様は言った。


「いえ、わたしが勝手にやったことですから、お気になさらないでください。ウィル様は、わたしにとってとても大切な方ですから、ぜひお力になりたかったのです。」

まだ確実に成功すると決まったわけではないが、喜んでもらえたようでよかった。

ウィル様が嬉しそうだと、わたしも嬉しい。


「大切…、そ、そうか。本当にありがとう。俺にとってもメアはとても…、大切な存在だよ。」

ウィル様は少し顔を赤くして、目を逸らしながらそう言った。


そこで、横にいたヨハンがウィル様のことを凝視していることに気付いた。


「ああ、ごめん、ヨハン。まだ紹介していなかったね。ウィル様、こちらはヨハン・デイカー。わたしの唯一のお友達です。以前お話したこともありますよね。ヨハン、こちらが昨日話したウィルフリード・ノーフォーク様だよ。」


「やあ、はじめまして。ウィルフリードだ。君のことはメアから聞いているよ。天才魔導師の友達がいるって。正直、羨ましい限りだ。メアと仲良くしてくれてありがとうな。」

「はじめまして。ヨハン・デイカーです。俺もウィルフリード様のことはメアから聞きました。優しい兄のような存在だとか。こちらこそ、いつもメアを可愛がってくださってありがとうございます。」


二人とも笑顔で挨拶しているが、なぜか空気がギスギスしている。


「あの、さっそくですが、この指輪を持って、そこの木から魔力を借りられるか試していただきたいのです。」

「わかった。やってみるよ。」


ウィル様は指輪を受け取って、木に近付いた。

ウィル様が木に手を触れると、ウィル様の方から大きな魔力が溢れるのを感じた。


「こ、れは。魔力が多いというのは、こういう感覚なのか…。」

ウィル様もかなり驚いている。


ヨハンの仮説の通り、魔力量の少ない人でないと魔力の借り受けは上手くいかないようだ。

だが、魔力の器の小さい人は借り受けた魔力を保有することはできないから、木から手を離してしまえばせっかく手に入れた魔力を使えなくなってしまう。


「木に触れたまま、何か魔法を使ってみていただけますか。」

わたしがお願いすると、ウィル様が答えた。

「俺の魔力は火属性なんだけど、魔力が強くなってる状態で、ここで魔法を使うのは危険じゃないかな。」


「ああ、自分の属性の魔法になる可能性もありますね。わたしの予想では、木の魔力を借りた場合は土属性の魔法が使えるのではと考えたのですが…。」

「とりあえずそこの池に向かって、土属性の魔法をイメージして発動してみたらいいんじゃないか?もし火属性の魔法になっても危険が少ないだろ。」


ヨハンの提案通り、ウィル様が魔法を発動した。


すると、とてつもなく巨大な火の球が池に向かって勢いよく飛んで行った。

直後、大きな音がして、池の水が半分ほど蒸発した。


「…思ったより派手でしたね。」

「…すまない。今までどう頑張っても小規模な魔法しか発動できなかったから、加減がわからなかった…。」

ウィル様は本当にすまなそうな顔で謝った。


「まあ、ここは魔法の訓練場ですし、池の水が少し減ったくらい何の問題もないですよ。」

「…少しって感じじゃないけどな。」

わたしはウィル様を励ますように言ったが、ヨハンは呆れたような表情をしていた。


「魔力を借り受けて使っても、自分の持つ属性の魔法しか使えないようですね。でも、これでウィル様も立派な魔導騎士になれますね。」

「ああ…、本当に嬉しいよ。俺のためにいろいろ考えてくれてありがとう、メア。ヨハン君も、協力してくれて感謝しているよ。」

心から喜んでいるウィル様の様子を見て、わたしも嬉しくなった。


「…それで、えっと、魔導騎士って?」


その後、わたしの考える魔導騎士と黒銀騎士団についてウィル様に説明した。


「なるほど。メアがやってみたいことがあるというなら、ぜひ俺も協力したいと思う。それに、メア達のおかげで魔法は使えるようになったけど、今さら剣術を辞めてしまうのはもったいないしね。」

ウィル様も入ってほしいとお願いしたら、快く引き受けてくれた。


「ありがとうございます。団員が3人になりましたね。そろそろ私立騎士団新設の手続きをしておきます。私が団長でも良いでしょうか?」

「もちろん、構わないよ。団長はメアが相応しいと思う。」

「ありがとうございます。ヨハンもそれで良いかな?」

「ああ、俺も異議なし。」

なら明日早速手続きしてこよう。


「あ、それと、今ウィル様が持っているその指輪は、実はわたしが作ったものなのです。その、拙いのですが、一生懸命作ったので、よろしければもらっていただけないでしょうか。」

わたしはおずおずとウィル様に申し出た。


「え、これをメアが?すごいな。デザインも洗練されていて美しいし、メアは手先も器用なんだな。本当にもらっていいのかい?ありがとう、ずっと大切にするよ。」

そう言うと、ウィル様は左手の人差し指にミスリルの指輪をはめた。


「おい、メア。俺にもくれるって約束だろ?忘れてないか?」

「忘れていないよ。はい、どうぞ。でもこれはミスリルじゃなくて銀の指輪だし、それにヨハンには指輪は必要ないと思うけど。」


「…いいんだよ。メアが作ったのをウィルフリード様にだけあげるっていうのがやなんだよ。」

ヨハンは少し拗ねたように目を逸らした。


「…?まあ、そんなに気に入ってくれたのなら嬉しいよ。」

何も分かっていない様子のメアを見て、ヨハンもウィルフリードもこっそり溜息をついた。

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