20 ヨハン目線
「それで、魔導騎士団の名前はもう決めてるのか?」
ヨハンがわたしに尋ねた。
「名前?そんなの何でもいいよ。ヨハンが黒髪でわたしが銀髪だから、黒銀騎士団とかでいいんじゃないかな。うんうん、それなりにカッコいいね。」
「そんな適当でいいのかよ。てか、俺とメアの2人だけなのか?」
「そうだよ?」
「…まじか。」
優秀な人材はそんな簡単に集まらないのだ。
それに、わたしにはコネもクソもない。
地道に少しずつ人員を増やしていくしかない。
「今日から毎日、放課後は一緒に鍛錬しよう。まずは、魔力による身体強化の練習。それから基礎体力づくり。そして、剣術、体術。慣れてきたら、徐々に並行してやっていこう。」
「うげ。なんかやっぱり無理な気がしてきた…。」
ヨハンが何か呟いていたが、わたしはそのまま身体強化の方法を説明し始めた。
ヨハンは魔力に慣れているので、簡単にできるようになるかと思っていたが、体を動かす習慣がなさ過ぎて、能力向上のイメージがしにくいようだった。
「まずは基礎体力づくりや剣術の基本が先かな。ヨハン、走るよ。」
「…わかった。」
ヨハン目線
「ヨハンじゃないとだめなんだ。」
「一生大切にするよ。」
メアに言われた言葉が頭から離れない。
あれって、やっぱりその、一生、俺と、とかそういうことか…?
メアがつくりたいっていう魔導騎士団も、メンバーはメアと俺の2人だけだと言う。
教室でも隣なのに、それ以外の時間もメアと一緒ってことだよな…?
そんなことを考えて顔がにやける。
だが、現実はそんなに甘くはなかった。
わかってはいたが、メアが俺にさせたいことは、俺の苦手なことばかりだった。
魔導騎士団というのだから、魔法だけできてもだめなのだ。
魔力で身体能力を強化して、武術も得意になってほしいとメアは言う。
メアの言う通りに、身体強化とかいうのをやってみるが、なかなか上手くいかない。
くそ。
メアに良いところを見せたいのに。
せめて、唯一魔力を使う訓練であるこの身体強化だけでも成功させたい。
しかし、思うようにいかない。
何をどうイメージすれば強化できるのかわからないのだ。
「ヨハン、走るよ。」
メアに言われて顔を上げる。
走るのは嫌いだ。
運動も嫌いだ。
剣術も嫌いだ。
得意な魔法だけ頑張ればいいと今までずっと思っていた。
はあ。
走りたくない。
メアが俺を見てる。
ここで嫌だと言ったら、やっぱりやりたくないと言ったら、メアは俺を軽蔑するだろうか。
根性のないやつだって呆れるだろうか。
身体強化だって上手くいかなかった。
俺じゃないとだめだと言ってくれたけど、やっぱり期待外れだったって失望するだろうか。
そんなの嫌だ。
運動なんかより、メアにがっかりされる方がもっと嫌だ。
ヨハンに頼んでよかったって言ってもらうんだ。
やっぱりヨハンじゃなきゃだめだったって、ヨハンがいないと困るってメアに思ってもらうんだ。
「…わかった。」
よし、メアのためにがんばるしかない。




