表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/69

16 ヨハン目線

俺は全属性の魔力の持ち主で、天才魔導師だ。

大抵の人間は一つずつしか持っていない、水、火、土、風の四つの属性を全て持ち合わせている。

しかも魔力の量も凡人とは桁違いだ。


貴族のくせに魔力のないやつもいるっていうんだから、どう考えても俺はこの世で一握りの天才のうちの一人だろう。

将来は王立魔導師団で大活躍する予定だ。


デイカー男爵領は王国の端っこにあるど田舎だ。

大した特産品もなく、まあまあの品質の小麦をそこそこの量生産しているだけの、特に見どころのない領地だ。


アカデミアのやつらは、俺のことを田舎男爵の子だといつも馬鹿にしている。

でも俺からすれば、奴らの方こそ一属性の凡庸な魔力しか持たない凡人で、天才魔導師の俺とは次元が違うのだ。

それなのに、何をあんなに偉そうにしてるんだか。


「そこを退いてくれないか、デイカー。」

クラスメイトの男が横柄な態度で声をかけてきた。


「あ?なんだよ。向こうから通ればいいだろ。」

「そりゃ田舎では場所に困らなかっただろうけど、王都では君のその大きな体は通行の邪魔だよ。」

近くにいた奴らがクスクス笑う。


「お前、魔法で俺に勝てたこともないくせに生意気だぞ。痛い目に合わせてやろうか!」

「おや、辺境出身者はやはり野蛮だな。ちょっと魔力量が多いからって調子に乗るなよ。いくら魔法が得意でも、怠惰でヘタレな君が魔導師団に入れるわけがない。」

「なんだと!」

「悔しかったら必死に運動でもして嵩を減らすんだな。」


運動は嫌いだ。

勉強も嫌いだ。

嫌なことはずっと避けてきた。

天才魔導師の俺には必要ないからだ。


「教養科目はほとんど落第しているそうよ。」

「田舎者で外見に気を遣えない上に頭も弱いなんて気の毒ね。」

「いくら全属性持ちでもそれじゃあ魔導師団は厳しいわよね。」

女どもは面と向かっては言わないが、いつもヒソヒソ馬鹿にしてくる。


中等部に上がった新学期最初の日、ユリシス先生が騎士科からの転科生を連れて来た。


騎士科の野郎たちに魔力なんかほとんどねえだろ。

魔法科に転科なんかしてどうしようっていうんだ。


ウィンチェスター?

たしか子爵家、とかだったか…?

もちろん領地の場所なんて知るわけない。


むかつくことに、転科生の少年はかなりの美形だった。

おまけに、すらっと背が高く、手足が長い。

長く伸ばした銀髪を後ろで一つに結んでいる。

確かに服装は騎士科の制服だが、本当に毎日鍛錬していたのかと疑うくらいに肌は白く滑らかだ。


「あのウィンチェスター家の御子息よね。お美しいお姿だけれど、きっととてもお強いのでしょうね…。」

「ええ、わたくしもあんな素敵な騎士様に守っていただけたら…。」

教室の女子たちがアイツを見て頬を染めているのがわかって、余計にイライラした。


俺は太った容姿を馬鹿にされることも多いから、見た目の良い男は嫌いだった。


ちっ。

ユリシス先生は俺の隣に机を置いていたから、アイツはこの席に来るんだろうな。

気に食わない奴がいつも隣にいるなんて最悪の気分だ。


予想通り、ユリシス先生に言われて奴が俺の隣に座った。

「よろしく。」


声をかけられたので、一応奴に目を向けた。


…っ!!!

女の子だ。

か、可愛い…。


クラスメイトの女子もまあまあ可愛いとは思うが、彼女の可憐さ、美しさには遠く及ばない。


騎士科から来たって聞いて男だと思い込んでいた。

近くで見れば、間違いなく女の子だ。

長い睫毛に縁取られた、大きなペリドットの瞳が俺を見ている。


「よ、よろしく。俺のことはヨハンでいいよ。」

「わかった、ヨハン。わたしもメアと呼んでくれて構わないよ。」


ヨハンと呼べと自分で言ったのだが、彼女に名前を呼ばれて俺は有頂天になった。


メア、か。

ああ、可愛い…。

こんな綺麗な子がいつも隣にいるなんて最高の気分だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=347402166&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ