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14 先生

2年ほど前からは、魔法のコソ練をアカデミアでもするようになった。

やはり自室だけでは限界があるし、アカデミアには広い広場や森、魔法科用の訓練場などもあってコソ練場所には事欠かない。

人目につかないように、誰もいないタイミングを狙って練習しているので、今まで人に見つかったことはない。


魔法の練習は楽しい。

夢がある。

ロマンがある。

それに、わたしがお父様やお兄様を凌ぐ最強の騎士になるためには、魔法の訓練は絶対に欠かせない。


ふふふ。

最近かっこいい技が出せるようになってきたんだよね。

「地獄の業火に焼かれろ!ゆけっ!ヘル・ファイヤー!」

メアは12歳で無事に厨二病を発症していた。


「ふぅ…。」

うんうん、なかなかの威力なんじゃないかな。

他人の魔法を見たことがないからわからないけど。


「いつも訓練場でとんでもなく大規模な魔法を使っていたのは君か。」

急に隣から声が聞こえてわたしは慌てた。


見ると、理知的で神経質そうなアイスブルーの髪の男性が立っていた。


「へっ!?あ、えと、いつもあんな恥ずかしい台詞を言っているわけではないのです。あの、今日はたまたま誰もいないと思って、ちょっと調子に乗ってしまって、その…。」

わたしは必死に取り繕った。


「何の話をしているんだ君は。わたしは魔法科の教師ユリシス・ペンブルックだ。君の名は。」

男性は訝しそうに眉間に皺を寄せた。


「メア・ウィンチェスターと申します。騎士科初等部6年生です。」

「騎士科…?ああ、ウィンチェスター侯爵家か。いやしかし、ここまで魔法の才能に溢れていながら騎士科とは…。今からでも遅くはない。メア・ウィンチェスター、君は魔法科に転科しなさい。」


なっ…!んえ?

そんな勝手言われても。


「いえ、それは困ります。お父様やお兄様がなんと言うか。とにかく転科のお許しはいただけないでしょう。」

「このように魔法を練習していたということは、家族はどうあれ、君は魔法を学びたいと思っているのではないのか。」

ぐっ…。それはそうなのだが。


「転科しなくても、今までのように一人で練習できますし、わたしは騎士を目指していますから、家の慣しに逆らうつもりはありません。」

「いや、すでにここまで大規模な魔法を発動できるようになっているのだから、自己流では危険だ。私が必ずや君の才能を伸ばすと誓おう。来なさい。」


この人、ゼノビアと同じくらいひとの話を聞かないな。


ユリシス先生はわたしを引っ張って歩き、そのまま、手際良くわたしの転科手続きを済ませてしまった。


アカデミアの転科には決まりがあり、在学したことのない科には自由に移れるが、一度在学した科にもう一度移ることはできない規則になっている。

つまりわたしは、たった今、二度と騎士科には戻れなくなったということだ。


ジーク・カーライルとの再戦を待たずに騎士科を辞めることになってしまった。

いや、それはどうでもいいか。


しかしなんて強引な…。

ああ、お父様やお兄様になんと説明しようか。

騎士科を辞めることも、道半ばで進路を変えることも、人に流されて転科したことも叱られるだろう。


わたしはすごく泣きたい気持ちになった。

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