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13 ウィルフリード目線

「メア、こっちだよ。おいで。」


「ウィル様!」

メアが俺を見つけて嬉しそうに駆け寄り、抱き着いてくる。

それをいつものように優しく抱き寄せ、そっと頭を撫でる。


家では俺が一番末っ子だから、3つ歳下の可愛い弟ができたみたいで嬉しい。

今日のように一緒に昼食を取るのが、いつの間にかとても楽しみになっていた。


メアも俺のことを本当の兄のように慕ってくれている。

メアには兄が一人いるが、あまり仲が良くないらしく、よく相談を受けた。


俺の兄や姉も、魔力の少ない俺をいつも見下しているような態度だし、きっとメアの家も似たような関係なのだろう。

そう思っていたが、話を聞くうちにそれは少し違うようだとわかった。


メアは兄ヴィクトルのことを心から尊敬しているようだし、ヴィクトルもメアのことを認めているように感じられたのだ。

口煩くなんだかんだと言ってくるのは、きっと可愛い弟が心配で仕方がないのだろう。


メアは認められているのを薄々感じながらも、もっと構ってもらいたいと思っているようだ。

まあ、俺がメアの兄だったら、嫌というくらい目一杯可愛がってしまうだろうな。


「ウィル様?なぜ笑っているのですか?何かおもろしろいことがあったなら教えてください。」

無意識ににやけていたらしい。


「いや、メアは可愛いなって思っていただけだよ。」

「えっ…。」

メアは嬉しそうに顔を赤らめた。


「わたし、いつもいつも男の子に間違われるのです。だから可愛いなんて久しぶりに言われました。ありがとうございます。」

そう言ってメアははにかむが。


な…!?

男の子に間違われる!?

女の子だったのか!?


とても美しい少年だと思っていた。

メアは女の子、そう思って見てみれば確かに女性的な顔付きだ。

身長は高めだが、あれだけ鍛錬を積んでいるにしては華奢だ。

ペリドットの大きな瞳も、長い睫毛も、銀色に輝く長い髪も、白く透き通る肌も、薄紅に色づく唇も、一気に女の子のものにしか見えなくなった。


「あ、そういえば、ウィル様も初めてお話したときは、わたしのことをウィンチェスター侯爵の御子息って言っていましたね。ふふ。」

その時のことを思い出しているのか、メアが笑った。


初めどころか今までずっと男の子だと思っていたとは言えず、適当に誤魔化す。

「あ、ははっ。そんなこともあったね。今はちゃんとメアのことを可愛い妹のように思っているよ。」


「嬉しいです。わたしもウィル様のことを本当の兄のようにお慕いしています。」

少し恥ずかしそうに微笑むメアを見ていると、胸のあたりが切なく痛む心地がした。


メアにとっての俺は兄のような存在でしかなく、これまでも異性として意識されていたことはなかったように思う。

だけど俺は、メアが女の子だと知ったこの時から、どうにも意識せずにはいられなくなった。


気が付くとメアの姿を目で追っているし、無邪気に笑顔を向けられると、力一杯抱き締めたくなるような衝動に駆られる。

どうやら俺はこの子に恋してしまったらしい。


この気持ちをメアに知られたら、もう今までのような関係ではいられなくなってしまうかもしれない。

急に気持ちを自覚したことで、メアが離れて行くのが途端に怖くなった。

この感情は決してメアに悟られないよう心の奥に仕舞っておこうと俺は心に決めたのだった。

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