シルファードとミネアと不死の血液
マヌエル魔法学院。
それはこの周辺に住む魔法使いが自分たちのスキルアップのために通う場所である。
魔法の原理を研究したり、生活に使えないか応用してみたり、はたまた戦争のために研究しているものもいる。
今、俺たちは今その学院の正門の前に立っている。
「ここがマヌエル学院かぁ、大きいねぇ」
「まぁ、このガゼス王国の中でも有数の魔法学院だからな」
「ここって私も希望すれば入れるのかな?」
「・・・結構高いぞ」
やっぱやめた! と騒ぐミネア。
うちの稼ぎじゃあ、特待生で入らないと無理だろうな・・・。
「あの・・・・何か御用ですか?」
流石に正門の前でウロウロしすぎた、警備員が訪ねてくる。
動き回るミネアを捕まえ。
「あぁ、シルファードに用事があるんだけど・・・入っても?」
「教授のところに用があるのですね。でしたらこちらを・・・」
そう言って手錠らしきものを差し出してくる。
俺がいた時代にはこんなもの無かったぞ。
「これは・・・?まるで囚人みたいだな」
「えぇ、すみません。最近物騒なもので・・・ソレをつけると魔法が一切使えなくなるのと、こちらの意思で拘束できるんですよ」
なるほど、暴走とかを防止するための装備か・・・。
納得しながら自分の手首につけ、ミネアにも着けさせる。
「これでいいかい?」
「ありがとうございます。ではこの地図を」
警備員はシルファードの研究室のところにマークを付けた地図を渡してくる。
ずいぶん親切的だな、こんな人がもう少し前にいれば・・・。
「ありがとう、優しいね」
「いえ、自分は仕事を全うしてるだけですから」
少し嬉しそうに頭をかく警備員。
手を振る彼を後に研究室に向かった。
研究室に向かう最中、いろんな部屋が目に入る。
図書室、会議室、人体実験室なんて恐ろしいものもあったがミネアには見せないように上手く隠す。
油断すると、どこかへ行ってしまいそうなくらい興味津々だからな。
「ここすごいねー。前まで居たんでしょ?」
「あぁ、嫌な記憶しかないけど・・・」
それ以降ミネアは過去の俺について聞いては来なかった。
両者共に無言を貫いたままシルファードの研究室の扉の前まで着く。
「・・・・」コンコン
「あぁ、来たんだね。どうぞ」
ノックをすると扉の向こうから声がする。
その声に従うように扉を開けると、そこには多数の薬品が入った棚。
何やらいろんな言語で書いてある本が沢山敷き詰められた本棚。
その部屋の真ん中に書斎椅子に座るシルファード、扉を開けると立ち上がりこちらを振り向き笑顔を見せる。
「やぁ、いらっしゃい。カイム・・・とお嬢さん?お姉さん?」
「妹。妹のミリアだ」
「初めまして!ミリアです!」
あぁ、よろしくね。と笑顔で答えるシルファード、相変わらずこいつは俺の嫌な所を知っていやがる・・・。
「ところで、僕に会いに来たのは何かようがあったんじゃなかったのかい?」
「あぁ・・・・ミネアに魔法を教えてほしい」
「・・・もしかして今まで独学?」
コクリ、と俺は頷くとシルファードは悲しそうな表情を浮かべ。
「そうか・・・、もっと前に出会っておきたかったな。分かった、引き受けよう」
「じ、じゃあ 「ただし、条件がある。お前の体を研究させてほしい」
突然友人を実験体扱いは変わってないなこいつは。
「・・・具体的にはどんな感じで?」
「そうだな・・・。血液だ、血液をくれればいい」
「はい」
そう言いながら手を出すと、シルファードは驚いたような顔を見せながらこちらを見つめる。
「不死身の体研究できる資料がこんなに簡単に手に入るんだ・・・・」
「早くとってくれ」
わかったよ。と言いながら注射器を右手に刺し、血液を採取する。
彼は満足そうにそれをケースに入れると、俺とミネアの方を見て。
「約束だ、魔法を教えよう。何についてからが良いかな・・・・?ちょっと考えておくから、また今度来てくれ」
「また今度?今じゃないのか?」
「下手したら此処が吹き飛びかねない魔力の持ち主の教育なんだ。慎重になるのは分かってくれ・・・」
そう言われると納得せざる負えない。
俺は頷き、同時にミネアもあまり分からなさそうだから頷く。
「また分かったら連絡するよ。それか学院に遊びに来てくれ」
「今日はお前以外の知り合い似合わなかったからまだ良かったよ」
そう言いながら俺たち兄妹は学園を後にし、ギルドへ向かうのであった。