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不老不死の兄と純血魔法使いの妹の日常  作者: ロラン
日常編(カイム)
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鉱山とゴブリンの親玉

相変わらず鉱山は苦手だ。

狭いし、粉っぽいし、おまけに暗いし。

それに今回はゴブリンまでセットで付いてきている。


こういうのは大体親玉がいて、そいつを叩けば自然と集団は崩れてどこかへ行くものだろう。

俺が親玉を見つけるために痕跡探し等の魔法を使えたら良かったんだが、そういうのはミネアの専門分野だ。


なので、自分自身で痕跡を見つけたり追跡しないといけないのだが・・・小柄なゴブリン発見。

大体体の大きさは俺と同じくらいの160cm位だ。

双眼鏡らしき物に、森のなかで隠れやすい服装。


そして、右手には恐らく依頼主の農家達から奪ってきたであろう物資・・・。恐らく偵察係と物資輸送専門のゴブリンだ。1匹みたいだし後ろを付いていこう。


「さてと・・・。」


懐から銀のナイフを出して左手に持ち、相手に音で感知されないようにゆっくりと後を付いていく。

突然追跡していたゴブリンの前に別の大柄なゴブリンが現れ


「・・ギギッ」

「ギッ」


何やら会話をしているようだが、当然人間の俺には分からない。

ただこいつらはそれぞれの役割でもあるんだろう。

もう少し追跡したいから今は後をつけるだけにしておくとするか。


ゴブリンはお互いに挨拶を交わしたのか分かれる。

が、先程の大柄なゴブリンはその場に残ったままだ。

このままでは小柄のゴブリンに逃げられてしまう。


仕方ない、この大きいのには眠ってもらおう。

その場で跳躍し天井に張り付く。


不老不死なのが原因か分からないが、魔法使いにしては身体能力はかなり高いのが自分の強みだと今あらためて痛感する。

そして、大柄なゴブリンの上まで移動し、ナイフを構えて頭部目掛けて静かに落下しそのまま脳天へナイフを射し込む。


「ギ!・・・・」


ゴブリンは何をされたのか理解する間も無くその場に崩れ去った。

見つかったら面倒くさいがこのままにしておこう、今は追跡が優先だ。


「グルル・・・」


暫くすると大きくくり抜かれたような場所に出た。

恐らく奪ったものであろう大きな椅子には、右手に大きな槍を持ち、想像よりも細身ではあるが王冠らしきものを被り、親玉らしきゴブリンが低い声を鳴らしながらご機嫌そうに座っていた。


周りには取り巻きと思われるゴブリンが両隣に2匹、先程のゴブリンを加えると3匹。

少々面倒だが、ここは正面突破で行くか。


そのまま前に歩み寄り今まで追跡してきたゴブリンの左胸をナイフで突き刺す。


「ガ!・・ガ、ガァ・・・」


ナイフを抜き、反応がなくなったゴブリンを床に投げ捨て、残り3匹と対峙する。

3匹ともこちらに敵意を剥き出しな様で両隣のゴブリンは棍棒を取り出し、親玉は槍を構える。

先に仕掛けてきたのは取り巻きの2匹だ。


「グルアアアアァアアア!」

「ガアアアァアアアアア!」


ドスドスと大きな音を立てながら2メートルもあるゴブリンがこちらに迫る。

そして俺を潰そうとするかのように棍棒を振り上げ叩きつけて来ようとした瞬間、懐に潜り込み喉元へ一刺し。

もう1匹も棍棒を横払いして刺したゴブリンごと俺を吹き飛ばそうとする。当然俺は避けようとするがナイフを深く刺しすぎたのか抜けない。


――ゴッ!・・・・・


棍棒が俺の左側に直撃し全身にミシミシと音を立てながら地面に転がるように弾き飛ばされる。

・・・左腕が動かない。骨折したんだろう、この体質のためか痛みは然程感じないが動かないのは問題だ。流石に骨折となると一瞬では治らない。


こいつをさっさと倒してボスのために治るまでの時間を稼がないと・・・。

懐からクナイを出しゴブリンの左目へ投げると、見事に直撃しそのまま膝を地面に着け蹲る。


「・・・・終わりだ。」


右手から拳大の火の玉を作り出し投げつけると炎がゴブリンの全身に周りそれに消そうと慌てるものの消えない様子で


「ギャアァアアアアァア・・・アァ」


最初は叫んでいたものの段々反応も弱くなり遂には動かなくなる。


「・・・・次はお前だな。」


仲間の死を顔色人使えずに見つめる親玉ゴブリン。しかしその裏にはマグマのように煮えくり返った怒りで頭の中は一杯だろう。

その証拠と言わんばかりにそのまま槍を持って直進してくる。


「GAAAAAAAAAAAAAA!」


先程の奴らよりも小柄な体から出るとは思えない声の圧に少し、気圧されそうになった。

しかし見えやすい軌道だ、左手でいなそうとするものの動かない。

・・・・折れているのを忘れてた。


――ザクッ


相手の槍が俺の腹部を貫く。

流石にこれは痛い。


「ぐうぅ・・・・」


刺さった槍を無理やり抜くと刺された部分からは出血をし、服を赤く染め上げたものの直ぐに傷口は塞がった。

それと同時に左手も動くようになった。


「GRYAAAA!」


再び槍を向けて襲いかかってくる。

こちらもナイフを持って相手の攻撃を防ぎなら攻めようとするものの、向こうも上手く対応してくる。

更には頬や腕に少しずつ切り傷が出来始める。


このままではジリ貧だ。

荒っぽくなるけど、被弾覚悟で行こう。


――ドズッ


槍の穂先ではなく柄が再び腹部を襲う。

体の奥から何かこみ上げてくるものがあるが、それを抑え、相手の喉元へ今までと同様に一突きそしてダメ押しの心臓へ一突きを決めナイフを抜き血を自分の服で拭う。


「Ga・・・Gu・・・・」


体に刺さっていた槍の圧力はなくなり、その場にゴブリンは倒れ込む。

ひとまずはこれで依頼は達成だろう。


「はぁ・・・・疲れた。次からはちゃんと武器を持ってこよう。あと武術とかもちゃんと訓練しないと・・・」


不死身の体質を利用したゴリ押しに毎回後悔するが、一人で訓練は続かないんだよな。

とりあえず、こいつの王冠を持って帰って村人に見せるとしよう。


王冠を手に取ると入り口に向けて俺は歩き出した。


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