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三題噺  作者: 緋室井 茜音
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茜色 音色 室内――『夕焼けの色』

 茜色の空、それは太陽が沈み、月を運ぶ状態、夕焼けを説明するのにこれほどまでに、わかりやすい言葉はない。

 俺は友人達と学校の帰り道で空を見ながら、そう思っていた。なぜこんなにも神秘的な色が日常的に、起こっているのか。

 友人の一人に、俺がずっと空を見ていて話に入ってこなかったからか、背中を叩かれた。

「どうした、空なんか見てよー」友人が俺に向かって言った。

「いいや、なんでもない――ただ、茜色に染まる空ってなんか神秘的だよな?」

「そうか?いつも、見てるから、わかんねぇよ」笑いながら別の友人は言った。

 それからまた友人達はゲームの話やら、学校の話やらで、盛り上がったが俺は先ほどと同じように空を見ていた。

 現実逃避がしたかったからかもしれない。

 理由は、今日あった出来事のせいだ。夕焼けや茜色について考察すれば、忘れられる。

その出来事はできれば思い出しくない……

 なぜ、空には色があるのかについて考えれば忘れられる。

 

 

 まずそうだ、空が青い理由について考えよう、空が青いのはレーリ散乱によって起きるからだ。

 太陽から降り注がれる白色の内に含まれる波長が、大気中に含まれる分子に当たって起こる散乱のことだ。

 これは、波長に比べて分子が小さい場合に起きる散乱で、散乱は波長が短いほどに強くなる。白色内に含まれる様々な波長の中で、短い波長は青色のため、そのため空は青い。

 反対に、夕焼けは、太陽の光が突き抜ける大気層の距離などが原因で、午前中に比べ、夕方は大気層の距離が長くなってしまい、青色は散乱されきってしまうから、逆に散乱されにくい黄色、橙色、赤色などの長い波長が散乱されやすくなる。

 そのため夕焼けは、茜色になるというわけだ。来週の期末試験の復習も兼ねて、考えるのは、我ながら良い発想だ。

 次は雲が白い理由になるミー散乱について考えるか――と思っていた矢先に、友人達が俺が、触れたくない今日の出来事について話していた。 

 

 

 「曲で振られるとか―初めて見たわ」笑いながら友人は言うと、もう一人の友人も俺の顔を見て、笑った。

 「だよな、だよな」

 俺が触れてほしくなかった話題は、今日俺が学校で振られたことだ。

 

あれは、そう一ヶ月前の事だ。今日と同じ茜色が神秘さを輝かせていた、ある日の夕方、

俺は偶々、学校の音楽室を通ると美しい音色が奏でられていた。

その音楽は懐かしく、小学校の事に聞いたこともある下校放送で流れていた曲であった。

あとで調べると『交響曲第9番 新世界よりの第2楽章』という長ったらしい名前だった。

 音に色があるとしたらこの音は間違いなく茜色に違いないと断言できる。

 気になった俺は音の元である、音楽室を覗くと中で音を奏でていたのは、小柄な女の子だった。

 女の子は奏でるのを止め、驚いた顔で俺を見た。

「ご、ごめん、君が弾いてた、曲があまりにも綺麗で……」

「え?ありがとうこの曲は――」これが彼女との最初の会話だった。

 

 それから俺は、放課後に音楽室に通うことにした。

 彼女は隣のクラスで、音楽の才能が高いと有名な子であった。

 最初は音に惹かれていた俺だったが、いつしか彼女に惹かれるようになった。室内では様々な音が奏でてられ、毎度俺はその音色に色を付けて彼女に伝えた。

 彼女も俺に、「今奏でてる曲は何色に視えるの?」と聞いてくれた。

 俺はそれが楽しくてしょうがなかった。


 今日、決心し彼女に告白した、彼女は音でその答えを送ると言ってくれた。放課後、携帯を見ると、彼女から一通の添付ファイルが送られていた。

 俺は緊張しながらも開いて聞くと、暗い感じの曲であった。

 

 早い話振られたのである。曲は最後まで聞かずに停止した。

 友人達に笑い者にされながら帰っていた俺だが、急に後ろで俺を呼ぶ声がした。

 

 あの子だった――

 

「待って、最後まで聞いて――」

 理解した俺はもう一度開いて、曲を聞くと最後は明るい曲調だった。

なんだ、そういう意味だったのか――


「曲で振られる」っていうのを考えるのに、30分はかかった……


これがなければもっと早く上げられたのに


三題噺系はしばらくは青春系を書くと思います(多分)

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