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三題噺  作者: 緋室井 茜音
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春風 ネット 仮病――『春風の贈り物』

 出会いというのは、どこからともなく必然的に――いや、偶然かもしれない。春は出会いが多い季節だと感じている。

 俺は出会いを求める、ならず者だ。とりあえずネットで出会いを求めた。どこもかしこも俺と同じ者がいた。しかし、見ていくとどいつも「自然な出会いがしたい」と書いてあるが、まずネットを使っている時点で自然なのかと頭の中でクエスチョンマークが浮かぶ。まぁ気にはしなかったが。

 最初の頃は、俺はこいつらと違う、俺の方がすぐできるなどと考えていたが、どうも運がないらしい。現在においては、きっと――運を使い果たしたのだろう。

 思えば、中学の頃は野球をしていて、『出会いの塊』と友人達には、言われていた。まぁ早い話、モテていたのだろう。その頃は、現在と違って出会いなど考えてもいなかった。というよりも気づいていなかったのだ。いいや認めたくなかったのかもしれないな。あのことがあったから……


 あれは中学に入学したての頃の話だ。授業が面倒くさくて、仮病を使い保健室にいた。そこには俺以外にもう一人、女性がいた。

「あなた、本は読むの?」

 俺はいきなり喋りかけられたことに驚いたが、漫画しか読まないと伝えると女性は何が気に入らないのか顔を顰めた。

「せっかくだしこれもなにかの縁、あなた読書をしなさい」

 さらには訳がわからないことを言って来る。

 だが俺はなぜだか「いいぜ、読み易い本を教えてくれよ」と意外にも乗り気であった。保健室が思った以上に退屈だったからだろう。それが俺と彼女の出会いだった。

 最初のうちは、本のセンスを指摘されるとか、面倒くさい女だなと思っていた。しかし彼女の人徳なのか何なのか、いつの間にか、他にあと三人が加わり、殆ど部活のようなものとなっていた。

 活動は彼女の家で行われていた。俺は野球部に入っていたので、週に一度ぐらいの参加率だった。


……気付けば、俺は彼女に惚れていた。


 その年度の終わりに彼女に告白すると決めた。バレンタインでチョコをもらってから、彼女が恋しいと思う気持ちに歯止めが効かなくなったからだ。

 ホワイトデーに告白しようと考え、計画を練った。友人にも相談した。

「お前、あの女が好きなのか?最初、面倒な女とか愚痴ってたじゃん?」

 友人は、そう笑いながら俺に言ってきたが、出会った頃、部活をしてても本の紹介に来るので面倒な女とは思っていたはずだ。

 いつから惹かれたのかは、覚えていない。

 例えるなら、原子と原子が引き合う強い力のように、自然なことだったのだろう。

 ホワイトデー。決行の日。緊張しながら学校に向かう。


 彼女は休みだった――


 次の日も次の日も、彼女は休みだった。

 そして四日後にようやく担任から、彼女は家の事情で引っ越したのだということを聞いた。

彼女は風のように消えてしまった。

 胸が苦しかった。立ち直るのに一ヶ月はかかり、俺は心の隙間を埋めるように野球にのめり込んだ。


 自棄になってのめり込んだおかげなのかどうかはわからないが、野球の腕は上がり、二年の時はレギュラーになった。

 色々な女性に告白されたりしたが、あれ以来どんな女性とも恋愛をしていない……というよりも、その相手がいなくなることが怖くなり、恋愛ができなかった。

 それでも出会いはしたかったが、五年経った今も、女性関係は上手く行っていない。

 大学は中学時代から化学が好きということもあり化学科がある大学に進学した。隣は文学部。謎の配置だ。

 入学式の日に、俺は入学式の開場に足を運んでいた。今度こそ、大学で新たな出会いを……と心に決心していたところに、後ろから誰か衝突してきた。

「……痛ぇ」

春風からの贈り物だろうか、背後から聞こえる懐かしい声があの時の気持ちを蘇らせる。「大丈夫?ごめん、本を読んでて気付かなかった」

 出会いは偶然というが、不思議とこの――春風の贈り物(ものがたり)――だけは必然だと確信できる。


 今度こそ伝えなきゃ――あの時の気持ちを(・・・・・・・・)――



こんな恋がしたかったですね(半ギレ)リア充爆発しろーー


とそんな感じな作品と思って作りました。(笑)

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