「シスシスオリジナルセット」ネーミングがひどすぎる件について。
「で、どこに昨日の店があるんだよ?」
「うるせーな、黙ってついてこいよ」
歩くこと10分…
俺は昨日の店を指差して。
「この店」
「ここ姉貴と行ったことあるわ」
また美鈴さんか…
「お前やっぱシスコンだろ?」
「いやいやいやいや、そんなわけねーじゃんって何そのかわいそうな者を見る目は?今何か一人で納得しただろ?おい」
「お前がシスコンでもずっと親友で居てやるよ」
「やめろ。それ以上そんな顔するな。ほ、ほら!入ろう?早く!お願いだから中ではその顔やめてね?」
カチャ...
店に入ると私服の可愛らしい女の子が。
「お帰りお兄ちゃん」
と優しく出迎えてくれた。
昨日の〝何勝手に入って来てんのよ〟
との違いに動揺した俺は龍の顔を助けを求めるような顔で見つめた。
すると龍は俺の耳元で。
「席に着くまで待て」
と小声で言ってきた。
「お兄ちゃん達今日はタバコ吸う?」
「まだ学生なんで!」
「ごめんごめん。そーだったね!じゃあ奥の席で待ってて」
「はーい」
そんな手際の良い龍のやり取りに少し感激しながら席に座った。
「お前なんでこんなに慣れてんの?てか何回ぐらいこういう店来てんの?」
「ふっ。妹系の店は10回くらいだけどメイド系の店は数え切れないくらい行ってるぞ。」
いやいや。笑えない笑えない。
てか普通にきめー。
お前本当はオタクなの?
今まで俺こいつがこんな店に来てる様子なんて全くなかったし意味がわかんねー。
てかこいつ美鈴さんと65回近くもこういう店に来てんのか!?
いや…待て待て。
まだ美鈴さんと一緒って決まったわけじゃない。
「こういう店来る時って全部美鈴さんと一緒?」
そう聞いてすぐに従業員が。
「今日は何にする?お勧めはこの「シスシスオリジナルセット」だよ!オムライスにドリンクがついて好きな妹とチェキも撮れるよ!」
「ププッ。あ、いや今日はアイスティーを二つで」
シスシスオリジナルセットって何!?
ネーミングセンスやばすぎだろwww
普通にオムライスとドリンクのセットで良いじゃねーかww
「分かったよすぐ持ってくるね」
ひとわらいいした俺は話を戻す。
「こほんっ!でどうなの?」
「何が?」
「こういうところ来るときは誰と来てるかだよ」
「まぁだいたい姉貴だよ」
大体って…
他の奴とも来てるって事か?
しかも今更だけど零神の総長がこんな店に何回も出入りしてるなんて…
「お前っていつ頃からこういう店に来るようになったんだ?」
「姉貴が零神引退してからだよ」
という事は一年前くらいからか。
「零神引退してから美鈴さんに何かあったのか?」
「さあな。姉貴は一つの事にはまったらトコトンそれをやり通すからな」
「まぁ根性はあるわな。じゃなきゃ女で零神の総長は務まらないもんな」
「そーゆうこと。で次がオタクにはまったって事か」
「オタクにはまったってか可愛い女の子にはまったんじゃないか?こんな店に何回も連れて来られるくらいだし。あ、てか昨日の「あの子」ってどこだよ。」
俺は改めて店内を見渡す。
デブなおたく。がりがりのオタク。めがねのオタク。室内なのになぜかリュックを背負ったオタク。
そしてメイドや変なコスプレ(きっとアニメ)をした美少女。
...だけどあの子は居ない。
「うん。まだ居ないみたいなんだよな。見渡しても居ないし。」
もしあの子が居なかったら、何の為にこんな気持ち悪いオタクばっかのところに来たんだよ。
そもそも今日この時間に居るかどうかなんてわかんねーじゃんか。
...そっか!だから龍は早めに集合をかけたのか!
そんなことを考えている俺に龍は親指をグッドにしながら。
「俺に任せろ!」
言ってすぐに、猫耳のカチューシャをつけたメイドさんに近寄って行った。
少したってからその猫耳をつれてきて自己紹介を始めた。
そこで龍がオタクなのかも知れないという疑念が確信に変わった。