俺の妹が妹じゃなかった件について。
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秋葉原の駅前で龍と合流した俺はさっきの出来事を龍に話した。
「俺に妹がいたんだぜ」
淡々と笑顔で話す俺の言葉をさえぎって。
「てかさぁそれ妹喫茶のツンデレdayだったんじゃないの?」
なんだそれ?
意味がわからない。
「とりあえず説明して」
「あぁ…妹喫茶ってのはコスプレをした女の子が客の妹として接客する喫茶店の事だよ」
えっ!?
じゃあれは接客!?
じゃああれは俺の妹じゃないのか…!?
いや。それにしたっておかしい。だって。
「じゃあなんであんなに接客態度悪ぃんだよ?あんな接客じゃ普通すぐ首になるだろ!俺を客じゃなく兄弟と思ったからあんな態度とれたんだよ!」
そんな俺の疑問に龍は淡々と。
「ツンデレdayは文字どうりツンデレな接客をする日なんだよ。つまりそれも含めて接客なんだ。普段はあんな接客しないはずだぜ。」
....マジか。
そりゃよく考えてみたらそうだよな。
急に来た秋葉原で適当に入った店にたまたま妹が居た。なんて普通ありえないわな。
...くそ。
「俺あんなに驚いたり…どうすれば仲良くなれるか考えたりするの…初めてだった…また会おうって約束までしたのに...」
あの妹の接客で俺がだまされてその気になってただけかよ。
...クソッ
「元気出せよ!また行けばいいじゃん!行って話して、友達になればいいじゃん!」
それじゃあダメなんだよ。
妹ができたと思ったから…
あんなに嬉しくて…
仲良くなろうって思えたんだ…
「それじゃ駄目なんだよ…」
思わず気持ちが口にでる
「でも約束したんだろ?」
「えっ?」
「また会おうって」
それは…
「それはあいつが妹だって思ったから…」
なんとも言えない思いが口に出る。
そんな俺に渇を入れるかのように。
「お前は一度した約束をそんな簡単にほうり投げちまうのか?」
「…」
「男だったら自分で交わした約束ぐらい守れよ」
それはいつもチャラチャラしてる龍の顔じゃなく。
真剣に友達を思って言っている顔だった。
多分。俺が本当は彼女に「もう一度会いたい」と思っていることを察したのであろう。
そうだな。男だったら約束は守らなくちゃな。
「わかった、明日行ってみる」
ありがとな、龍。
絶対口には出さないけど…(笑)
「俺の勝ちぃ」
龍の笑顔とその言葉に急に恥かしくなって、そっぽを向きながら。
「うるせーよ、てか早く電車乗ろーぜ」
「あれぇ~、剣君照れてんのぉ?」
「てれてねーよ、てか電車きたぞ」
改めて俺は本当にいい友達をもった。
今の俺があるのは本当にお前のおかげだよ。
そんな事を心の中でつぶやいた。
ーーー
電車に乗ると俺は相当疲れていたのか空いてる席に即座に座り。
すぐに眠りについてしまった。