「何が麻衣の為か。」平手が痛すぎる件について
外に出ると店の前で先ほどのオタクが正座をし涙ながらに声を荒げていた。
「僕の麻衣ちゃんへの愛は本物なんだ!僕は殴られようとも、脅されようとも絶対に彼女とは離れない!」
「お前のやってる事で麻衣は迷惑してんだ。それでも近づくのか?お前がただどうしようもないストーカーだったら私もこんなに説得はしない。だがお前が本気で麻衣の事を大切だと思ってるのはわかった。麻衣の事を考えるならお前が身を引くのが一番なんじゃないか?もう一度よく考えろ」
俺は二人に割って入りオタクの胸倉を締め上げる。
「なぁオタク。お前が今してる行為で麻衣は苦しんでるわかるか?」
オタクがだんだんと悲しそうな表情をして。
「....はい」
「だがな。あの写真の麻衣は俺が見たこともないような顔で幸せそうに笑ってた」
オタクの胸倉を離す。
その瞬間今度は俺が美鈴に胸倉を掴まれ。
「おい!剣...お前まさかとは思うがこいつと麻衣をもう一度会わせようというわけじゃないだろうな?」
「その通りで」
言い切る前に平手が飛んでくる。
「いってぇ...!何するんですか!?」
「お前殺すぞ?こいつのせいで麻衣がどんな気持ちになったのかわかんねーのか?」
「それはわかりますよ!でもこいつがいたおかげで麻衣が笑顔になったのも事実ねーんすか!?」
そんな俺の真剣な表情に美鈴は「はぁーーー。」と深いため息をつき。
続けてオタクの顔をじっと睨み。
「お前に最後のチャンスをやろう。いいか?これで麻衣が少しでも不快な思いをしたと思ったら剣から貰った手紙に書いてある通りの事をする。いいな?」
オタクはゴクリと唾を飲みこみ意を決したように。
「はい...!」
そう言ったオタクの腕をとりシスシスに向かって行く美鈴達を追いかけた。