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オタクの彼氏がいた件について。

がちゃ





「お帰りなさいませ。本日は臨時休業と....あ、美鈴さん!お待ちしてました...ってあれ?剣お兄ちゃんまで!?」



ビックリする麻衣に俺は一目散に。


「さっきは本当にごめん!その...俺こういうお店なれてなくて。昨日の麻衣と全然ちがくて...なんだか同情して優しくしてもらったんだなって思ったら自分が情けなくて。それで...」


「良いんですよ!私もビックリさせちゃってすいませんでした。」


「全然!麻衣が謝ることないって!それより」


臨時休業ってどういう事?


そう続けようとした俺の言葉をさえぎるように美鈴が。


「ほう。お前ついさっきここに居たのか?」


さっき美鈴に会ったときに秋葉原に来たのは龍につれられてだ。と言い訳はしたものの、さすがにこういうお店に来ていた。


なんて事はばれたくなかった。


しかし麻衣との一連の絡みを見ていた美鈴にもう言い訳は通用しない。


あきらめた俺は。


「いや....まぁその....はい。」


「ほう。っと言うことは....」



そう言ってさほどまでとは一転してオタクが居なくなった店内を物色する。



俺も美鈴につられながらオタクが居なくなった事以外は先ほどと変わらない店内を見回しながら。




「なぁ麻衣。臨時休業って...」




おっと。猫耳がニヤニヤしながらこちらを見ているぞ。



俺と麻衣の絡みを面白がってるようなニヤけ方だ。



こいつはいつかブチ殺すとして。




「そういえば臨時休業とか言ってたな。ついさっきまでは普通に営業してたのに。何があったんだ?」




「実は少し問題が起きまして。でも剣お兄ちゃんが心配するほどの事じゃないので。」



「そうか!まぁ何か困ったことがあったら言ってくれよな!俺ができることなら何でも力になるからさ!」



そんな俺の少しキザな台詞に何か思ったのか一瞬悩ましそうな顔を少し見せたが、すぐに笑顔で。



「...はい!ありがとうございます!」



そんなやり取りをしている途中。


レジ裏に目が言った美鈴がそこで立ち止まった。




そこにはなぜか小動物のように隠れている龍が肉食獣を見るような目で。




「...おはようございますお姉さま」



あ。完全に龍の事忘れてた。



お姉さまは小動物のように弱弱しくなっている龍の胸倉を躊躇なく締め上げ。



「テンメーこの私の電話を無視とは良い度胸してるよなぁ?あぁ?私がこの二時間でお前にかけた着信は何回だった?」



「26回です」



「そうだよなぁ!このお姉さまの事を26回も無視したって事だよなぁ?26回もこのお姉さまの気分を害したって事だよなぁ?」



「ひぃ!お姉さま本当にす...」



「あぁ?勝手に謝ってんじゃねーよ。お前ごときの糞みたいな謝罪なんか逆に気分を害するんだよ!お前は今の不用意な発言で合計27回も私の気分を害したんだよ。わかるか?...よし!決めた!お前には27回燃燃キュンさしてやるよ。よかったなあ。この綺麗で可憐で美しいお姉さまから燃燃してもらえるんだぞ?しかも27回もな。」



そう言って綺麗で美しく可憐なお姉さまはポケットからライターを取り出し。



シュボー!



「や、やめてくれ!お姉さまそれターボなライターだよ?ねぇターボ!本当に次からは必ず電話にでまギャーーーーーー」




「ふー。スッキリした!で麻衣。そいつはどこに居るんだ?」



実の弟を燃燃させたあと平然とそんな事をたずねた。


真っ白に燃え尽きている龍の事などもう眼中にないらしい。


さすがにそれを見かねた猫耳が横たわっている龍を看病している。


俺は横たわっている龍の前座り込んで。



「龍。お前の事は二度と忘れないからな」



「...剣.....最後に..麻衣の事...タ..ノ...ム.....」



そう言い残し、コクっと安らかに眠った。


安らかに眠ってくれ...


俺は立ち上がりなにやら深刻そうな話をしてる麻衣と美鈴に割って入り。


「麻衣!死に行く龍が最後に麻衣ちゃんを頼む。そう言ってきた!だから何かあったら何でも力になるからな!何でも頼ってくれ!」



「ほう。言いこというじゃないか剣。じゃあちょっと下に居るリュックを背負ったオタクにこの手紙を渡してきてくれ。そして渡し終わったらこう言うんだ。ゼロノマイとな」



「ちょ!美鈴ちゃんっ!そんな事昨日であったばかりの人に頼めないよ...迷惑かけちゃうかもしれないし...」



申し訳なさそうに美鈴に訴えかける。



「それが麻衣のためになるなら喜んで!美鈴さんその手紙を!さぁ!」



そう言って店を出た。




ーーーー


あ、居た!絶対あいつだ!



てかさっきぶつかって逆に謝ってきた奴だ。



一応さっきのは俺が悪いし謝っておくか。



何せ今の俺はすごく気分がいいからな。



俺はそいつに向かって



「おい。」



「ひぃ。なっ何でしょう....?]



「さっきはぶつかって悪かったな。あとこれ。」



そう言って美鈴から預かった手紙を渡した。



「ななな、何ですかこれは!?!?」



「知るか。上に居る奴にでも聞いて来い。そういえば何でさっきからずっとこんなところに突っ立ってんだ?」



「いや....彼女を...待っていまして...」



あ?

彼女だぁ!?



こんなイケメンで男らしくて最強なこの俺様を差し置いて、何でこんな気持ち悪いオタクに彼女なんて居るんだよッ!!!



ふん!どーせキモオタの彼女だ。



ブスに決まってる。



.....



が。



一応写真くらいみしてもらおう。



「おい。オタク!彼女の写メ見せるかここで前歯をなくすかどっちがいい?」



「...いや...その。僕の彼女は人に彼氏が居るってばれたらまずいので....」



なにやらあまり見せたがらないようだ。



なら仕方ない。



俺はこぶしを握り締め振りかぶって....



「わかりましたっ!すぐ見せますっ!!!」



そう言ってかばんから


「写メじゃなくて写真ですけど...」


と写真を取り出した。



ツーショットの写真。




.....ツーショットノ写真





........ツーショットノシャシン



...........MAINOSYASINN



.........................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................




そこに移る満面の笑みを浮かべた麻衣の姿に俺はなんとも言えない気持ちになった。

そうか。麻衣はこいつと居れば幸せなのか。


「店は臨時休業だから...今から彼女呼んできてやるよ....何か悩んでるみたいだから後はあんたに任せるぞ....」


....そりゃそうだよな。


あれだけ可愛くて。あれだけ優しい子に彼氏が居ないわけないよな。


放心状態のまま店に戻ると。


「麻衣。彼氏が下で待ってるぞ。店は休業中なんだろ?心配してるみたいだから少しでも会いに行っても良いんじゃないか?なぁ。みんなも良いだろ?って痛ぇな!何するんですか!?」


頭をしばかれ一瞬溜め口になった俺の胸倉を掴み。


「痛ぇな!じゃねーよ!お前はストーカーに何をそそのかされてるんだ!!!」


「へ?」


「外に居る奴は麻衣のストーカーだよ!あいつが外で待ち伏せしてるから臨時休業なんだよ!」








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