[0:50] 「王道(?)ラブコメ、シリアス全部載せ」ということでよろしゅうございますか ~ 『前世悪役だった令嬢が、引き籠りの調教を任されました』
「年末~」
「ねんしは~っ?」
「「なろうざんまーーーいっ!」」
やっと息があいましたね。
さて、連続で続けてまいりました『年末年始はなろう三昧』、いよいよ最後のご紹介作品となりました。
オオトリを飾るのはこの作品、田井ノエル先生の『前世悪役だった令嬢が、引き籠りの調教を任されました』です!
作者様より表紙絵を頂いておりますので、早速ご紹介させていただきましょう。
「すごいのなっ! 本物の本みたいなのなっ!」
本当にすごいですよね。こんな本が店頭にあったらすぐに手にしてしまいそうです。
なお、作者様からのご伝言に寄りますと、こちらの表紙絵は艅織 きぉ様から頂いたファンアートを編集した“書籍化風味のお遊び表紙絵”とのことです。
また、『引き籠り令嬢』には、これ以外にもたくさんのファンアートを頂いているとのことです。その中でも、杞紗様から頂いたファンアートがこちらですね。
「これもすっごくかわいいのにゃっ!すごいのなっ!こういう絵をかけるのはうらやましいのなっ!」
本当にすごいですよね。なお、杞紗様のファンアートにつきましては、旧なろうコンこと『ネット小説大賞』と同時開催されております『Crafe イラストコンテスト』の出品作でもあるとのことです。
『Crafe イラストコンテスト』では、投稿作品にコメントを寄せた方の中から“コメント賞”がもらえるチャンスもあるとのことですので、ご興味のある方はぜひ覗きに行っていただければと思います。
「でも、これだけたくさんのファンアートがもらえるというのはすごいことなのなっ」
本当にそうですね。でも、このたくさんのファンアートが生まれる背景にこそ、この作品の特徴が表れていると言ってよいかと存じます。
『前世悪役だった令嬢が、引き籠りの調教を任されました』、通称『引き籠り令嬢』は、悪行の挙句に刺されること7回、悪役だった前世で殺される記憶を持った女の子が今度こそ幸せになりたいと健気にドタバタする物語。全体としては楽しく読めるラブコメカテゴリの作品です。
その中で、もっとも注目されるのが、とにかく個性的なキャラクターたち。
まず、“刺されBAD END通算7回”という前世を持つ主人公の令嬢は、現世こそは幸せになろうとBAD ENDフラグに繋がりそうなところを片っ端からへし折っていくよう奮闘します。
しかし、前世の記憶を持ったまま転生しているということは、前世で嗜んだ趣味嗜好というところから早々抜けられるものではなく、“とある方法”で日々のストレスを発散していきます。ぴしーんぱしーん。
「ふにゃっ?なんか不穏当な音がきこえたのなっ!」
さぁ、何のことでしょう?
主人公の話の相手方になるのは、“引き籠り”の王子様。過去のトラウマがあるとはいえ、この王子様はなかなかの引き籠りっぷりを見せます。
そうすると、主人公のストレスがマッハで溜まるわけで……。ぴしーんぱしーん。
「またなのなっ!なんか怖いのなっ!」
大丈夫です。健全なストレス発散方法(作中の主人公談)らしいですよ?
このストレス発散を受けるのが、主人公の従者。ご主人様のストレスを解消すべく、自ら率先してその身をご主人様の前に差し出す、まさに従者の鏡です。
よろしゅうございますっ!よろしゅうございますっ!
「……えーっと、ドM確定でいいのかにゃっ?」
ええ。その通りです(笑)
この他にも、ストレス発散を羨ましそうに眺めるこの国で一番偉い人や、鍛えすぎたら脳まで筋肉になったと思われる近衛騎士、そして男らしくあれを追求した挙句あらぬ方向に目覚めた近衛騎士の息子、現在実質2位の実力を誇る女装家、そして海の向こうの国からやって来た脱ぎたがりの男の子……。
主人公の父親や兄は、娘/妹への愛をこじらせていますね。
「えーっと、まともな人はいないのなっ?」
大丈夫です。ちょっと変わった趣味嗜好を持っているだけで、みんなまともですから……たぶん。
主人公を含め、この作品に登場するキャラクターたちは、皆それぞれに“闇”や“影”を抱えています。それが特異的な趣味嗜好に繋がっている反面、キャラクターたちがそれらの闇や影に抗おうと一生懸命に悩み、考えております。
超個性的なキャラクターたちが悩みながらも行動し成長を遂げていく姿は、強く心を打ちます。
こうした“突き抜けたキャラクターの個性から生み出されるコミカルさ”が『引き籠り令嬢』の魅力の一つとすれば、もう一つの魅力は“複雑に伏線が編み込まれたストーリーラインが織りなすシリアスさ”でしょう。
王様からの指名により、引き籠りの王子様の調きょ……教育に励む主人公の女の子。普通なら玉の輿を目指すところなのでしょうが、自らの前世にある“BAD END=刺されて死ぬ”を全力で回避すべく努力を重ねます。
それでもなんだかんだ優しく(?)王子様を調きょ……生活指導する姿はやっぱり健気ですね。
「ふむふむ、けなげな女の子はかわいいのなっ!」
そうですね、ちょっとぴしーんぱしーんやロープワークを嗜んでいても、やっぱりかわいい主人公さんですね。女子力が高いです。主に物理的方面で。
そして、その努力する姿に主人公や周囲の“前世”が関わり、さらには二つの国を取り巻く陰謀、物語の核となる“宝珠”の謎、中盤以降にチラチラとでてくる不思議な男の影……、これらの“影”の部分の要素が“シリアスさ”となって編み込まれていきます。
強烈すぎるほどのキャラクターのコミカルな動きに笑っているはずなのに、いつの間にか真剣に物語へと引き込まれている、この見事なバランスに脱帽です。
「なるほどなのなっ! んー……わかったのなっ!」
ん?ニャーチさんどうしました?
「ちょっとルイーゼちゃんに弟子入りしてくるのなっ! ぴしーんぱしーん覚えてくるのなっ!」
覚えなくていいです(その辺にあったらロープでしれっと縛って吊るしつつ)
「なんでぇ!? なんでぇぇぇ!?」
迂闊に危険な発言をするからです。そこで反省していてください。
そうそう、この作品にも途中で“飯テロ回”が挟まれておりますが、この飯テロが他作品には無いほどの強烈なパワーでパンチの連打を浴びせてきます。主にみぞおち目がけて。
超個性的なキャラクターを生かし切った展開の妙、短いパートながらも『引き籠り令嬢』の面白さを存分に楽しませてもらえます。
さて、反省しました?
「ぶらーんぶらーんぶらーん、ぽいっ!」 (縄からするっと抜けて)
ちょっと縛りが甘かったかですね。まぁ、いいでしょう。
さて、5日間にわたり続けてまいりました「年末年始はなろう三昧」、間もなくお別れの時間を迎えることとなりました。
ニャーチさん、いかがでしたか?
「どれも個性的で面白い作品ばかりだったのなっ!みんなすごいのなっ!」
本当にそうですね。
まだまだ読みたい作品、ご紹介したい作品が一杯です。来年も、またこうして皆様とお目にかかる機会があるかもしれません。
その時はまた、チャンネルをこちらに合わせて頂ければ幸いです。
それでは、『年末年始はなろう三昧』、こちらにてお開きとさせていただきます。
皆様良いお年をお迎えくださいませ!
「まったね~、なのなっ!!」
■本日ご紹介した作品
「前世悪役だった令嬢が、引き籠りの調教を任されました」
作者名: 田井ノエル先生
ジャンル: 恋愛/コメディ
URL: http://ncode.syosetu.com/n6201cr/
Nコード: N6201CR
※掲載したイラストは作者様を通じてイラストを描かれた皆様のご了承を頂いております。