[0:10] 等身大の転生令嬢を囲む”ご飯ときどき青春”の物語 ~ 『悪役令嬢に転生したけどごはんがおいしくて幸せです!』
さて、早速ピックアップ作品のご紹介へと参りましょう。
最初のピックアップ作品は矢御あやせ先生作の『悪役令嬢に転生したけどごはんがおいしくて幸せです!』です。
「ごはんモノなのなっ。お腹か空くのなっ!ニャーチにも食べさせろなのなっ!」
それはタクミさんに作ってもらってください。
さて、それでは本作品について早速ご紹介させていただきます。
主人公は、とある乙女系ゲームの“悪役令嬢”の女の子。しかし、ある日、彼女の脳裏に転生前の記憶が蘇ってきます。
その記憶の先にあるのは、悪役キャラクターに相応しい“BAD END”。そんな目にあってはたまらないと、死亡フラグが回避されるように周りの人たちとの縁を結びながら努力を続ける、青春あふれる王道ラブコメ作品です。
「なるほど。飯テロ作品なのなっ!」
ニャーチさーん、人の話聞いてましたぁ?
しかし、その指摘はある意味正解です。
この作品の魅力の一つが、主人公の“庶民的な食欲”です。
記憶を取り戻す場面で主人公の脳裏によみがえるのは、過去に食べていたと思われる数々の料理。なかなか渋い取り合わせはシンパシーを覚えます。
さらに、蘇る記憶に混乱した頭の整理しているかとおもったら、“それはともかく”とばかりに良い香りにつられてキッチンへと向かったり。
カレーを“娯楽”と言い切りながら、その娯楽が保証された生活を求めてハードな方面の公務員職業を将来の夢に描いたり。
出前のラーメンが食べたいばかりに、とある“ご褒美”に策を弄してみたり。
何とも庶民派な味覚の好みを持った転生令嬢さんがとても愛らしいのです。かわいすぎます。
「(ピーー―)歳のオッサンが気持ち悪いのなっ」
いやいや、魅力あふれるってことですからねっ?
それに、前回のレビューでは字数制限の関係もあってまとめきれなかったのですが、主人公を取り巻くキャラクターたちの強烈な個性も見どころの一つですね。
双子の弟は、良い子に育っていった……かと思えば残念プリンスに。
本来のヒロインは、幸せを満喫しすぎてマシュマロボディに。
主人公の想い人は、隠密に。
孤独な少女は、愛らしい姿を量産型ボディスーツに包み。
目が点にさせられることも多々ですが、キャラクター一人一人にしっかりと根差した背景設定のおかげで、作品を読み進めていくたびに尖った設定も「ああ、彼/彼女なら仕方がないよねー、当然だよねー」と実に自然に受け入れられます。
「ふむふむなのなっ。私は至って一般人にしか書いてもらえないから、個性が強いのはうらやましいのにゃっ!」
いやいや、あなたもたいがいですからね? 作者の思惑とは無関係に勝手に動くし……。
さて、この作品のもう一つの大きな魅力、それが作中に登場する“庶民派グルメ”の数々。
最初は焼き芋から始まり。
パンケーキは当然のように総取りして。
杯の代わりに桃の木の下で栗まんじゅうを交わし。
すき焼きにつられてあんなことになったり。
この令嬢様、食欲旺盛すぎます。かわいすぎるんですけど!
「だから、(ピーー―)歳のオッサンが気持ちわr」
はーい、ニャーチはこっちに吊るしておきますねー(首根っこをつまんでぶらーんと吊るしつつ)
「にゅう……まけないよっ!」
を、強い。復活してきた。やっぱりタクミにやってもらわないとダメですね……。
って、これラジオじゃ伝わらないヤツでしたね。失礼しました。
さて、改めてまとめさせていただきましょう。
“悪役令嬢”とタイトルにはついていますが、その実態は王道ど真ん中のラブコメ作品。そして主人公がとても身近に感じられる飯テロの数々。
「聞いてるだけでお腹がすきそうなのなっ!」
ホントですよね。お菓子かおつまみをお手元に用意して読んで頂くのがお勧めです。
それでは、本日のご紹介はこの辺りで。明日もお楽しみにお待ちくださいませ!
「明日はちゃんとお菓子を用意しておくのなーっ!」
■本日ご紹介した作品
「悪役令嬢に転生したけどごはんがおいしくて幸せです!」
作者名: 矢御あやせ先生
ジャンル: 恋愛/ラブコメ
URL: http://ncode.syosetu.com/n8464cu/
Nコード: N8464CU