魔法○○と僕
平凡で何の取り柄も無いし成績は普通だし背は低いし顔だって別にイケてる訳じゃないし。パソコン部とは名ばかりの帰宅部だし。
つまり。何が言いたいのかと言えば、僕は平凡で普通で少しだけアニメ好きな少年なんだよ。
ごめん。少し嘘つきました。かなりアニメ好きです漫画も好きです。小説は挿絵があるライトノベルしか見ません。
世間一般的に言えば僕はオタクの部類かもしれません。でも、こればかりは仕方ないと思います。だって好きだし。仕方ないじゃないですか。
そして僕は魔法のアニメが一番好きです。魔法少女のファンです。
だっていいじゃないですか、魔法で何でも出来て悪人を成敗ですよ。
つまりですね前置きが長くなりましたが今の僕はマジで魔法少女の存在を切望しています。
いや、危ない意味じゃなくて。むしろ僕が置かれている状況の方がまずい訳で。
人気の無い路地裏。目の前には金属バットを振り回している危険な二十代くらいの男の人。
あのバットで殴られたら一発昇天ですよ。大人の階段じゃなくて天国の階段上がる羽目になりますよ。
逃げようにも腰が抜けて逃げれ無いし、やばいもう金属バットは目の前だ。
やばいっ。動けない、誰か、誰か助けて!
神様マジで僕の為に魔法少女を二次元の世界から転移魔法でこの世界に連れて来て下さい。そして僕を助けてっ!
僕の頭にバットが振り下ろすされそうになった瞬間。目の前が白い閃光に包まれた。
あまりの眩しさに目を閉じる。
瞼の裏に光を感じなくなり僕は恐々と目を開けた。
目の前には金属バットを持ったイカれた人はいなかった。
「大丈夫ですか? お怪我はありませんか?」
顔だけ後ろを向けると不思議な事に誰もいなかった。
確かに女の子らしき声が聞こえたのだが。
「あっ。こっちです。上です」
上を見ると少女が宙に浮かんでいた。
黒と言うよりも漆黒の長い黒髪をリボンで結んで左右に分けている。アニメとかで流行りのツインテールだ。
かなり可愛い……少なくても僕のクラスの女の子より絶対可愛い。雪のように透き通った肌が一層可憐さを際立たせている。
片手には日本刀らしき物を持ち、背中には青白い光を放ちながら透き通った翼があった。
神様……いや。主よ今日程、貴方様の存在を信じた日はありません。あぁ主よ。僕の前に本物の魔法少女を使わせて下さり感謝致します。今日から貴方様を信じます。神よっ!!
「あの……どうかしましたか? まさかお怪我とか……」
魔法少女が目の前に降り立つと同時に背中の翼は消え、本当に心配そうな表情を作る。
あぁ!! 神よっ!! 女の子に心配されたのは初めてです。性格までも完璧なのですね。
「えっ!? い、い、いや、だ、だ、だいじょうぶででです」
まともに女の子と話したことなんてない僕は見事にどもってしまう。
しかし目の前の魔法少女は訝しい表情ではなく。安堵の笑顔を作る。
「良かったです。貴方に何かあったら私……」
そ、そんな顔で見つめられると……あぁ、愛の告白をしてしまいそうだぁ。ハァハァ。
ま、待て落ち着け僕! ここは硬派な健全男子を装え。そうっ!! あくまでスマートに!
「危ないところを助けて頂きありがとうございます」
よしっうまく笑えた。
「僕は前木耕一です」
「あっ私は川澄空です。よろしくお願いします」
空ちゃんか。確かにこの青空みたいに澄んだ瞳の色をしている。
「実は私……魔法使いなんです」
「そそそそうなんだ?」
くそっ。駄目だ落ち着け前木耕一!!
「あまり驚かないんですね。やっぱり貴方を頼って良かった。魔法好きな貴方なら私の話を信用してもらえそうな気がしたんですよ」
「それは、どうも?」
どうして疑問形なんだよ僕っ。
あれ? てか何で僕が魔法好きだって知ってるんだろう?
まままままさか!? ずっと貴方を見てました的な!?
「失礼とは存じておりましたが……ずっと貴方を見ていました」
来たっこれ。フラグ? フラグ立った!?
「私と……」
ごくり。
「お友達になって下さいっ!!」
………………あれ?
「…………ともだち?」
「はいっ」
「…………ふれんど?」
「はいっ」
「…………あみーご?」
「はいっ」
「…………こいびと?」
「違います」
なんとまあ……。
はぁ〜。
「そ、そうだよね……空ちゃんみたいな可愛い女の子が僕に愛の告白なんて……しないよね」
「はい? あのっ何か勘違いしていませんか?」
「えっ……?」
恋人を前提に友達からとか実はそうなのか!?
な、なんだよそれならそうと言ってくれれば、良いのに。
「私、男ですよ?」
「…………………………はいっ?」
「だから。私は男です」
世界が……時が凍止まった……少なくても僕の世界の時は確実に止まった。
主よ……この怨み……絶対に晴らしてやるからなぁ!! 覚えときやがれドチキショウ!!
という訳で魔法少年な訳なのです。完全に思い付きで書きました。反省はしてません。僕の辞書には後悔という文字はあっても反省はないのです