71 魔法世界になれば
パパの会社は上手く方向転換を始めたみたい。
今までのお掃除洗濯グッズの部門を縮小してバスソルトやボディオイル、温泉の元等魔法では再現できないと言うか再現しようとは思わない高級フレグランスグッズの方向に向かう予定みたい。
それから、パパは会社の社員の魔法教育係になったそうです。
教えて欲しいと言って来る社員の手を取って相手に魔力を注いで回すと言う方法で眠っている魔力を起動させ、何人も魔法が使えるようにしたんだって。
その功績でパパは部長になったそうです。
パパの上司の部長さんですがパパに魔力を注がれた途端若返っちゃったそうです。
やはり魔力を注がれると固まっていた魔力が動き出すみたい。
そして、魔素そのものじゃ無く魔力となって体を巡ると細胞が魔法的に活性化するのよね。
部長さんは頭髪が寂しい人だったそうですが髪が黒々と復活。
それはもう涙ながらに感謝されたんですって。
うーーーーん、毛生え薬要らなくなるよね?
一生懸命それを研究していた人に悪いな~。
お医者さんは外科医とか歯医者さん位しか要らなくなるし、それも治癒魔法が知られるようになると要らなくなるよね。
と、心配していたら、治癒魔法って一度体験したら殆どの人が使えるようになるけれど、魔法使い以外の人が多用すると魔力枯渇を起こしやすいのだそうです。
それに一定以上の魔力が無ければ擦り傷を治すくらいの力しか無いとの事(治癒魔法を研究中の魔法使いさんのお言葉)。
まあ、外魔法が一般的になればそうとも限らないのでしょうが。
パパはまだ内魔法。
100年位は内魔法で魔力量を増やしてもらわねば。
パパは魔法使いとは言え、今はかなり下位の魔力しかありません。
このまま外魔法を覚えたら魔力が増えないでしょ?
やはり魔力の大きさで魔法の威力とキレが違うみたいですよ~。
魔法使いの町に住んでいる圭太君やデイビス君、トミー君の様に訓練に明け暮れている訳じゃ無いんですからね。
私?
私は良いの。
だって、魔女様達から底が見えない程の魔力量だって言われてるし~。
そうそう、錬金術をいつ発表するかです。
錬金術が発表されると確実に今の社会に大激震がはしるよね。
錬金術にも色々あるけどもっともお役立ちなのが錬金薬。
いくら魔素のお蔭で丈夫になっている体でも治らない病気はあるし部位欠損も普通の治癒魔法じゃ治せません。
でも、錬金術で作られた薬なら治せるんです。
さすがに部位欠損は無理だと思ったら由紀ちゃんが今の魔素量があれば大丈夫だと言います。
治癒魔法でも、私が作り出した分解の魔法で出来た『超高密度魔素』(小夜さん命名)があれば部位欠損は治せますけど、今の所創造魔法の使い手は私だけだしね~。
と、思っていたらもう一人、創造魔法じゃないのですけれど、分解の魔法が使える人が現れました。
それは眠り続けていた小夜さんのお弟子さんです。
殆ど枯渇していた魔素を大量の超高密度魔素で置き換えられ、部位欠損もそれで修復したせいかもしれないと小夜さんが言いました。
まあ、それを他の人に試す訳にはゆかないよね~。
半年も眠り続ける事は無かったのですが飲まず食わず、排泄さえ無い状態で数か月眠り続けた後目覚めた魔法使いさんの名前はフェルローダさん。
転生後の名前はダニエルさん。
イタリア系アメリカ人だそうです。
とっても陽気なラテン系の美青年の姿になって目覚め、もう誘拐のトラウマも無いようです。
今世の性格が前世のちょっと暗めの性格を圧倒し小夜さんを見た途端プロポーズして小夜さんに殴られてました。




