50 図書館です
学校がまた膨らんでいます。
最初は個人レッスン用のような、多くても3人位生徒が入ればいっぱいになる小さな教室だけだったんですよね。
でも、デイビス君がやって来て、そんなに経たない内に50人位はゆっくり入れる大学の講義室みたいな教室が増設され、最近では最初の個人レッスン室の様な部屋が幾つも。
まだ、生徒って二人なんですけど?
なぜトイレが男女それぞれ5室ずつのが3か所もあるんでしょうか?
チェリちゃんが時折生徒をやっているので3人?
まあ、私も時々生徒になるので4人かな~?
一般教養もやるようなったら、学力が全然足りてないチェリちゃんや、高校中退の私や圭太君もそちらでは普通の生徒ですが。
それでも豪華すぎません?
元々、外側だけは立派に作られてました。
だから、中身が充実して来たってだけかも知れませんが、今回の増築は外側も膨らんでいます。
図書館が出来ました。
普通の図書もありますが、一角が魔法図書になっています。
これまで、魔法使いさん達が研究して来た事や前世で研究していた事などが本になりました。
実は、私がせっかく魔法言語を覚えても文字の読み書きがあまり出来て無い事を上げて、本でもあればしっかり身に付くのにと言った事が発端です。
研究を本にして他の人に読んでもらうと言う発想が無かったのだそうですよ、前世の魔法使いさん達には。
長く長く生きている魔法使いさんの塔には弟子以外見る事も無い研究資料などがただ無為に積み重ねられ、その魔法使いさんが死ねば、殆どの研究結果は灰燼に帰す運命だったとか。
何のために研究していたのか判らなくなっちゃいません?
研究結果など殆ど書き残す事の無かった魔女さんや、一部の大魔法使いと呼ばれる人達はともかく、一度は書き残して頭を空にして、それから別の研究に移ると言うやり方をせざるを得なかった普通の魔法使いさん達の塔と呼ばれる研究所はそんな研究書類が堆く積み上げられていたそうです。
その長年の研究が無駄になるなんてなんて勿体ない。
それらがすべて世に出ていれば重複した研究に時間を無駄にすることも無く、もっと魔法が発達していたかもしれないと思うのは私だけ?
立派な図書館ですが、本はまだチョッピリです。
由紀ちゃんの出した『魔女っ子ナンナ』シリーズやその他のファンタジーが全巻揃っているのは作者が居るのだから当然ですが、他の本は少しだけです。
でも、それよりも重要なのが鍵の掛かる扉付きの魔法書の本棚。
立派な皮張りの上製本がズラリ。
これって、業者に作らせたのではなく、全部手作りです。
魔法使いさん達が器用なのは魔法グッズ作りで判っていた筈ですが、これには驚きました。
本なんて作れるものなんですね~。
鍵付き扉に手を触れると、カチリと自動的に鍵が外れます。
この鍵は登録された人が触れるだけで外れる魔法の鍵です。
中から一冊取り出すと自動的に扉が閉まり施錠されます。
中身は魔法文字がギッシリ。
筆記体では無くちゃんと印刷されてる!
たった、一冊しかないはずの魔法書なのに、ちゃんと印刷されているなんて。
まあ、筆記体だと癖が出過ぎて中には書いた当人でさえ時間が経つと読めなかったりする物も少なくないらしいのですが、これなら読めます。
私が取り出した本は『魔法概論』。
難しそう~な題名ですが、魔法についての要約です。
これって小夜さんが書いたんですが、最後の方には私が執筆した部分もあるんですよ~。
魔法陣に付いての説明を書きました。
そこの部分だけ、図を中心にした構成で作られてます。
実は、魔法陣に付いて一冊書くはずだったんですが、どうしても薄くなりすぎて本の体裁を保てないので小夜さんの本に入れて貰いました。
この本の日本語訳、噛み砕いた子供でも分かる簡単な本を魔法が周知され始めたら出す予定です。
今回私が依頼されたのはこれらの本のコピーです。
原本としては製本前の現行の状態で保存されていますが、それ以外にも保存用、展示用、貸し出し用と最低3冊はコピーする必要があります。
小夜さんが一押しの本は10冊コピーするんだって。
うん、現在魔法陣による強制換気が発動しているので魔素は十分。
一度に出来ない事は無いけれど、整理も必要だから一冊ずつ、やりますか。




