43 完成しました
『う~ん、僕の英語は庶民が喋るコックニーだからねえ、お隣のジェイムスならクイーンズイングリッシュだと思うよ』
『違う違う、ジェイムスはスコットランド訛りが結構出てるよ』
簡単には行きませんでした。
英語に様々な訛りがあるなんて知らなかった・・・・。
それでも、私が何をしようとしているのか知って、外国から来た魔法使いさん達は自分達の研究を放り出して私に協力してくれることになりました。
だって、これが出来あがれば自由にあちこち観光やショッピングが出来ると言う事ですから。
「訛りがあったって良いじゃない」とは小夜さんのお言葉。
全く訛りの無い綺麗な言葉で会話なんて、凄く不自然なのだそうです。
「〇〇さん、△△県出身?私もなの~」
なんて事になれば親しみがわいて人の警戒心はかなり減ります。
ただ、女性の使う言葉の言い回しだとか男性しか使わない言い回しがあるので要注意です。
陣には性別チェックの術式も入れなくっちゃ~。
そう言えば魔法言語に男女の性別は無かったのかな~。
私は同性の由紀ちゃんに教わったけど、チェリちゃんはお祖父ちゃんの征一さん、デイビス君はエレンさんに習ったので性別が逆です。
結論から言うと、ごく僅かですがあったそうです。
ただ、教えるために先生である教える側が修正して教えたので大丈夫だとか。
世界各国様々な言語、さらに訛りがあるのを全部は無理。
と、言う訳で思いつきましたよ~。
その場その場で使う言葉を取得して自動的にその場限りの翻訳魔法を実行すれば良いじゃない?
うん、術式が相当大きく重くなりますが、大丈夫。
全世界の言葉の標準語だけを納める量よりはずっとコンパクトです。
どうしても、完全に覚えたい言語があればそれを恒久的に取得できる機能も付けて・・・・。
途中から小夜さんや由紀ちゃんも参加して全力支援してくれたおかげで10日も掛からず出来上がりました~。
ちゃんと、魔法言語も入ってます。
これで、世界中どこに行ってもネイティブな言葉が使えます。
その場限りの術式なのは余分な物を覚えて頭に負担を掛けないためです。
魔法使いの頭脳は特別製で長生きしてもどんどんと知識を吸収できるそうですが、限界はあって、歳を取ると新しい知識を取得するのに時間がかかったり、覚えきれない事もあるそうです。
ただ、こちらに転生して来た魔法使いさん達は前世でかなり一杯になっていた魔法知識を整理する方法を知りました。
コンピューターです。
今まで大容量のメモリ頼りにそこに広げてあったものから当座必要無い物をハードディスクに仕舞っちゃう事。
ついでに圧縮なんて方法も。
仕舞っちゃってても、ちゃんとそこに繋ぐ事の出来る軽量のショートカットキーが残してあるので取り出すために探し回らなくても大丈夫。
その事を発見した時は、魔法使いさん達はさらに新しい知識を吸収できると凄く喜んだそうです。
魔法使いさんってアルバランティスさんの様な一部武闘派を除くと学者や研究職なんですね~。
「うん、完璧だったわ」
使用試験に赴いた小夜さんが帰って来てVサイン。
待ち構えていた魔法使いさん達が歓声を上げます。
「物凄く訛りの強い場所に行ってそこの人達と話をしたけど、皆近くに住んでいる住人だと思い込んだわ。
旅行者を装うなら別の場所の言葉を第2段階で記録しておけば良いの。
第2段階なら頭に刻み込まれる事は無いしね。
まあ、強制知識習得だからそうしなくても使わなくなったら数年で消えるでしょうから邪魔にはならないわ。
今回は使用試験だから陣のまま持ち歩いたけれど、アクセサリーにしても良いわね。
ただ、タトゥーはお勧めしないわ。
新言語習得のたびに陣が発動して光るのよ。
カバー付きのブレスレットやペンダントがお勧めね」
あ、光るんですか。
少し失敗しちゃったかな~。




