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41 知識譲渡

 「空間拡張バッグの改良をしていたんじゃ無いの?」

私が新しい術式を作って持って行くと由紀ちゃんが驚いた。

「それに、陣になって無い術式だけって麻代ちゃんとしては珍しいわねえ」

書かれた術式を見た由紀ちゃんの目が大きく見開かれた。

「これって、どこで見たの?ううん、完全じゃないわね。でも・・・・」

「選んだ知識だけの譲渡魔法」

側から術式を覗き込んだ小夜さんが言った。

さすがに小夜さん、一目で判りますか。

「由紀ちゃん、血統による知識譲渡って、そもそも血の繋がりが必要って式が術式に加えられた物よ、後から」と、小夜さん。

「え?そうだったの?」

言ったのは私だけど、由紀ちゃんも驚いているみたい。

「これは、私の師匠の師匠に聞いたんだけど、昔は弟子にも知識譲渡で様々な師匠の知識を譲渡していたようよ。

でも、選んだ知識だけと言う訳にはゆかず、知られたくない事や、知って欲しくない事も譲渡してしまう事故等色々あって、他人の弟子に対する知識譲渡はだんだん行われなくなったの。

まあ、一気に全部の知識を譲渡する訳じゃ無いからそこの所は少しは融通が利いたらしいけど、恩知らずな弟子も居てね、知識だけもらってその後は師匠を蔑ろにしたり、裏切ったりする奴らも居て、その内に最初の術式に血縁の有る者のみと言う式が加えられたようなの」

「これに不備が無かったら言語知識だけって言う術式を組み込んで魔法陣を作りたいの。

これから来るかもしれない、ううんきっと来るはずの新魔法使いさん達の為に。

たぶん、これから増えて行く魔法使いの人達は魔法言語の知識を持つ人の血縁で無い人の方が圧倒的に多いと思うから」

「確かにそうよね。

圭太君の事があるまで、それに思い当らなかった私達がのんびりし過ぎていたのよね~」


 魔法陣に組む前にまずは実験。

と、言う訳で被験者は小夜さんです。

小夜さんが被験者になったのは私と血の繋がりが無い事と、危険な事になれば即座に術をブロックできる能力が十分すぎるほどあるから。


 まずは、生活魔法から、家事魔法の伝授。

だって、小夜さんってば幼い頃はお嬢様で、長じては奥様、御隠居様で家事なんてろくすっぼやった事が無く、前世でもやはり姫様と呼ばれる立場から、魔法使いの弟子になっても家事をやる必要も無かったそうなので未だに家事魔法は覚えていません。

自分でやるのはお嬢様や姫の嗜みとして美味しいお茶を淹れることくらいです。

前世では、師匠のお世話を焼く弟子たちが居なくなった後も家事ゴーレムたちに傅かれて暮らしていたそうです。

って言うか、ゴーレムの方が弟子たちより家事はベテランだったそうですから、弟子にやらせる必要も無かった様です。


 「あら、まあまあまあ。

家事魔法ってこうなのね。

まあ素敵。この基礎が有ったら何でもできそうだわ」

私が譲渡する魔法を選び、余分なものを渡さないように他をブロックするのが大変でしたが、成功です。

余分な魔法を渡さないようにするって事は小夜さんや由紀ちゃんの様に前世で膨大な知識を蓄えている頭の中に余分な物で場所を塞がないようにするためです。

人間の記憶能力はもっと膨大な領域を持つのでしょうけれどね。

「でもねえ、言語魔法はともかく、魔法はちゃんと一から覚えた方が良いわね。

血統での知識譲渡に時間が掛かったのは完全に自分の物として知識を定着させるには何度かの繰り返しや何度も実際に使う必要があったって事ね。

やはり、弟子になってコツコツ覚えないと身に付きにくいわね。

簡単に覚えた物は薄れて行くのでしょうね」


 それにしても、コツコツ覚えたその膨大な知識をどうやって忘れずに居られるんでしょうね。

そっちの方が不思議なんですが。

何百年どころか何千年も生きる事の出来る魔法使いの頭の中は特別製なんでしょうか?

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