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40 新人紹介

 『魔素が地球にやって来てまだそれほど経っていないし、地球の内部を巡って地球産の魔素となってからはさらに短いから、魔法の定義ってよく判ってはいないのよね』と、小夜さん。

週に一度の研究者会議です。

参加人数が多いので学校の中で一番大きな教室で開かれます。

大きな映画館の様に後ろに行くほど高くなっている階段上の部屋です。

机と折りたたみの椅子が設えられていて、デイビス君に言わせると大学の講義室の様なんだって。

小学校をイメージしていた私はこの学校が出来た時あまりの立派さに驚きましたよ。

この会議には全員が参加します。

もちろん、新参の私が昨日連れて来たばかりの緑川圭太君も参加です。

いかにもな魔法使い達の集団に囲まれて物凄くビビってます。


 うん、まだ説明をきちんと受けていない今の状態だと混乱するだけでしょうね。

「はい」私は手を上げます。

ホワイトボードに書かれた『魔素の現在の状態と魔法に付いて』と言う魔法文字の前で唐突に発表会に突入しようとする小夜さんを止めました。

「緑川圭太君は昨日来たばかりなんだから何の事か判らないし、言葉も判らないから、まずは同時通訳で紹介から始めるべきだと思うの」

「あらあら、そうよね。

魔法言語だと何言ってるのか来たばかりの人は判らないわよね~」

小夜さん達の前世の言葉は『魔法言語』と呼ばれるようになっています。

いちいち前世の言葉と言うのも変ですしね。


 『皆さんに紹介するわ。

純粋に地球産の魔法使いの緑川圭太君。

覚醒は魔素到達時からだけど、魔法が使えるようになったのは麻代ちゃんが治癒魔法を施してからだから、地球産の魔素に満たされてからね。

私達の誰とも血縁が無いから強制的に魔法言語を叩きこむ訳にも行かないのよね~』

隣に座っている私が同時通訳をすると、圭太君は慌てた様に立ち上がり皆の方を向いてぺこりと一礼した。

外国からの魔法使いさん達も礼儀正しい子だと好感を持った様子。

唯一人、デイビス君を除いて。


 何が気に入らないのか、デイビス君は最初から圭太君に突っかかってます。

連れて来た翌日、ご近所に紹介しに行くと、デイビス君はいきなり私の背後からガバッと抱きつき『これ、僕のだから』などと、不届きな事を言い、チェリちゃんに蹴られてました。

「あらあら、モテモテね麻代ちゃん」なんて、小夜さんには笑われるし、圭太君にはビックリされるしで恥ずかしいったら。 


 その後、早口で魔法言語での討論を圭太君に通訳しながら、絶対に自動翻訳機を作ってやるって、心に決めました。

実は、由紀ちゃんに魔法語を頭の中に入れてもらう時、チラッと術式みたいな物が見えた気がしたの。

それを改造すれば、きっと魔法言語を別の人にも覚えて貰えるはず。


 今回の討論は新魔法の可能性。

私が幾つもの新魔法を作りだした事も話題にされたわ。

科学技術を魔法に転用する事によって魔法技術の幅が広がるんですって。

でもね~、私最近思うんだけど、結構コチコチに固まり、枠に嵌めまくっているような由紀ちゃん達の前世世界の魔法はダメダメだけど、科学世界の法則なんかに捕らわれてもダメなような気がするの。

魔法って、もっと無限の可能性を持った自由な力だと思う。

それが証拠に、私みたいな人生経験も無い小娘が思いついた魔法が全部とは言わないけれど簡単に実現するんだもの。

実現しなかった物も時間さえあれば実現しそうじゃない?

ラノベやゲーム世界の便利グッズ、きっと作って見せるんだから。

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