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24 魔法制御

 ドーン、ガガガッ!

「威力、強すぎるわよ。次は10分の1にして」

ドカーンッ、バリバリバリ!

「減ってないわ!何で、弱くすると雷属性が入って来るの!?これで10分の1?」

小夜さんに呆れられました。


 魔物に対してならば忌避感無く攻撃魔法が使えるようになった私は、翌日から結界を張り直した訓練場で攻撃魔法の制御訓練です。

私が作っちゃったクレーターは征一さんが土魔法で埋め戻してくれましたが、結界の内側にせり上がる様に外の地面から3メートルくらいの高さに出来あがった壁は残されました。

実はこの壁、土の魔法使いとして前世でも名の知られたスペシャリストだった征一さんが作る一番硬い石の何倍もの硬度を持ち、一瞬で大量の魔素を浴びせられたせいか、魔法抵抗が発生しているのだそうです。

相当な威力の魔法を撃ちこまれてもレジストしてしまうので、征一さんにも崩せず、穴も開けられなかったと言う迷惑な代物になっていました。

すみません、巨大粗大ごみを造ってしまいました。


 形としては上が少し窄んだ巨大ボウルでしょうか?

でも、小夜さんはそこをそのまま再び練習場にしました。

埋め戻された土も以前より2m位低い位置までで、少し狭くなりましたが、それでも十分すぎる広さです。

魔法抵抗のある壁のお蔭で結界が薄くて済むと小夜さんは笑います。

魔法が当たってもレジストされて跳ね返る事も無いので結界より都合が良いのだそうです。

ただ、中へは転移魔法を使うか空を飛んで上部から入る必要があるので少し面倒です。

ごく普通に魔法は使えるのですが、壁に対しての直接的な魔法が効きません。

物理的な力に対しても凄まじい硬さの壁はおいそれとは壊せなくなっています。


 壊せもしない迷惑な物を作ってしまったと反省している私に、小夜さんや由紀ちゃん、他の魔法使いさん達の意見は違っていました。

「前世の世界にこんなのがあればどれほど魔物の被害が減らせたかしら」

と、小夜さんは愛おしげに訓練場の壁を撫でてました。

この壁、周囲の魔素を吸って劣化せずほぼ永久的にレジスト効果を持ちます。

「作ろうと思っても作れなかったでしょうけどね」と、由紀ちゃん。

「魔素の塊の魔獣が攻撃を仕掛けても吸収してより強くなる。

魔素の塊であるだけに触れれば魔素を吸われて形さえ保てなくなるんじゃないかしら。

この硬さなら天災級の魔獣の物理攻撃でも壊せないでしょう」

「地下からの攻撃も地下が閉じているのでダメですよね。

肉の体に包まれ、気を纏わせている人間には何の影響も無いなんて、なんてご都合主義?」

「後は上空の守りだけなんて、なんて楽なんだ」

あの時現場に駆けつけて来てくれた魔法使いさん達はすぐに壁の性質に気付いて口々に褒めてくれました。

 因みに、魔法をレジストする壁が何故小夜さんの結界をレジストしないのか不思議だったんですが、原因はまだ判らないそうです。

クレーターを作ってしまった内からの大爆発に、耐えられた小夜さんの結界だからでしょうか?

それとも、壁が出来た時に接していた小夜さんの結界の魔力パターンを壁が覚えているとか?

由紀ちゃんの結界もレジストされなかったし、私の結界もレジストされませんでした。

でも、他の結界術の得意な魔法使いさんの結界は、張る前に術式が崩れてまったく形にならなかったので、魔力パターンが原因の最有力候補です。

壁は私と小夜さんの合作の様な物だし、由紀ちゃんの魔力パターンは双子の様に私とソックリなのだそうですから。


 「麻代ちゃんの魔力が大きすぎる上に、周囲の魔素を利用して魔法を撃つからほぼ無限に魔法が使えるのよね。

なんてチート?

普段は周囲の魔素しか利用してないのよね。

疲れ知らずの魔法。やはりチートだわ。

ズルしているとは言わないけどね」


 「えーーーと、小夜さん?普通、周囲の魔素を利用するんじゃないの?」

確かに自分の中の魔素を感じるし、それが体を巡っている事も判ります。

身体の中に貯まった魔素が少しずつ体の外に漏れだし、その分を辺りの魔素から補給しているのも感じます。

でも、その魔素を使っちゃったら減るじゃないですか!

周囲の魔素が濃いからすぐに補充が出来るけど、魔素が減ると疲れたり気分が悪くなったりするのよ?

じゃあ、そもそも大量に存在している周囲の魔素を利用した方が良いに決まってます!

と、私が言うと小夜さんは深いため息を吐きました。

「麻代ちゃんの魔法制御がしにくい訳が判ったわ。

地球規模って言うか、この辺り全部の魔素に対して10分の1なんて言ったって少なくなる訳無いのよね~。

麻代ちゃん、威力よ。

魔法に込める魔力を低くしないとまたクレーターを作っちゃうでしょ?

それにしても、魔法のそもそも根本的な部分がすれ違っていたなんて。

麻代ちゃん、すでに魔法が発現していたから油断してたわ」

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