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21 春が来ました

 春です。

冬の間に教わるべき座学はほぼ終了。

後は、自分でそれを発展させて行くか、色んな魔法使いさんに師事して専門知識を覚えるだけだそうです。

小夜さんから『魔法基礎学』の修了証書をチェリちゃんと二人揃って頂きました。

「魔法の基礎知識なんて簡単な物よ。

そしてそれが唯一の真実とは限らないから厄介なの。

人に教わらなくても自分の感性と直感で一つの流派を作り上げた人さえ居るわ」と、小夜さん。

「由紀ちゃんの前世のお母様のナンナヴィオル様なんて、その前に有った別の基礎魔法を駆逐して、より効率的な魔法を主流にしちゃった人で、ナンナヴィオル様がいらっしゃらなければ前世の魔法文化はもっと早くに破綻しちゃってたでしょうね」

薄い魔素の中でも何とか魔法が使えたのは省エネ魔法を考案し、広めたナンナヴィオルさんのお蔭だそうです。


 雪がすっかり山からも消えてこの土地の遅い春がやって来ると、もうじき地球に魔素がやってきて1年が経ちます。

 冬の終わりの猛吹雪の日に結界実験の為に住宅地の結界の外に出てしまってあっという間に迷子になったのは恥ずかしい思い出です。

魔法使いさん達が平気で出入りしているので私も結界さえあれば大丈夫と思ったのが間違いの元。

一瞬の内に辺りは真っ白。

薄暗くなって、結界が雪を弾いてくれても何も見えません。

そのまま後ろに後退れば良かったのに、ちょっとうろついちゃったので方向さえ判らなくなりました。

その時ばかりは魔法を弾く機能を持たせた結界がアダになってすぐに見つけて貰えませんでした。

ただ、あまり遠くに行く前に立ち止まってじっとしていたのが幸運でした。

その後丸々3日間吹きすさんだ吹雪に埋もれる前に見つけて貰えました。

住人総出で一列に並んで捜索しながら進むと言う人海戦術で最大規模に展開した結界を見つけてくれたのは由紀ちゃんでした。

由紀ちゃんとは魔力パターンまで殆ど一緒だと小夜さんから呆れられたほど似ていたので結界が触れ合った途端同じ物と認識され、私の結界の内側に入る事が出来ました。


 助け出された直後から私は小夜さんと由紀ちゃんにコッテリ叱られた後、吹雪の中でも方向を見失わない探知魔法を叩きこまれました。

もちろん、捜索に参加してくださった皆様には一人一人丁寧にお礼を言って回りましたとも。


 その後結界魔法の不備が判ったので春の花が咲くまでの間、基礎学の時間以外の全ての時間を費やして陣の改良に勤しみました。

だけど、勉強嫌いだった私が魔法の勉強には何故こんなに熱心になれるんだろう?不思議です。

改良型個人用結界魔法陣は雪解け前には完成しました。

親しい人の念話魔法は受付できるようにしました。

あれやこれや、機能をてんこ盛りに付けようとしたら必要無いと由紀ちゃんに笑われました。

大抵の事は魔法が使えるのだから十分なのだそうです。

でも、私個人用の結界陣にはそのあれやこれやが全部入っているのはナイショです。

だって、破棄しちゃうの勿体ないもの。


 攻撃魔法の御稽古をしなくて済むようになったので、別の魔道具の開発中です。

実は由紀ちゃん達の前世の世界には空間魔法はその理念さえ無かったそうです。

転移魔法があるので荷物を運ぶのも一瞬。

何処に行くにも一瞬なので長旅をする等という事は殆ど無く、町から町、国から国へ、人々は魔法使いで無い人でもゲートを通り自由に移動していたそうです。

だから、大量の商品を運ぶ商人でさえ、その商品をコンパクトにして持ち運びたいなんて考えもしなかったとか。


 空間魔法の術式、出来ましたよ?

わりと簡単に。

小さな袋の中を拡張するって感じかな?

これを使えば部屋だって拡張できそうですが、それは無理でした。

だって、実験の為に入れた由紀ちゃん謹製のクッキー、紙袋に入れて後で食べようと拡張袋の中に入れておいたんですが、いざ食べようとすると冷めて無かったんです。

ケーキクーラーの上でほんのり暖かいくらいに冷まして袋に入れたのに、出して見ると袋に入れた時のままでした。

時間が止まってる?

そんな物、部屋の拡張に使える訳ありません!

空間魔法は新しい魔法ですからこれから検証、また検証です。

何か、嬉しくて楽しくてワクワクします。

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