20 魔法陣は特許物件
結界陣は魔法使いさん達に大絶賛していただけました。
最近、皆さんは作業のために前世で着ていたらしいいかにも魔法使いと言った風な長衣を着てらっしゃいます。
皆さん、自分で作ったんですよ。
元は普通の生地ですが、魔法で丈夫で汚れない、薬品類に劣化する事も無い服になっています。
魔法使いの装束は、そもそも研究や調合、実験などの時下の衣服や体を守るための白衣みたいな物なんだそうです。
伊達に、ゾロリとしたいかにも魔法使いって恰好じゃ無いんですね。
今は寒いので下に着こんですっかり着ぶくれていらしたのが、下着一枚でも吹雪の中でさえ平然としていられると喜ばれました。
起動時にちょっと発光するのですが、起動中は外見からはまったく判りません。
ただ、大量生産された陣に自分の魔力を通して自分の物にする時に起動キー、解除キーを自分で決める必要があります。
人によってキーを自分で決めたいかもと思ってそこの所を選択できるように作りました。
まあ、発動キーは、『発動』『開始』『バリア』『結界』『起動』『オン』、解除キーは、『解除』『終了』『停止』『オフ』位であまり中二病っぽいキーは無かったですね。
結界陣を緊急を要する時に展開する場合に長々とキーになる言葉を言ってられませんもの。
さすがに皆さん大人です。
ただ、チェリちゃんは~~~~。
『結界よ我を守れ、発動』なんてキーをノリノリで決めようとして、征一さんに窘められていました。
緊急発動の時に遅れてしまうからなんですが、「人前でそのキーを唱えられる?」と私が聞くと赤くなって『発動』と言う言葉に変えました。
中二っぽい発言は一人の時は良いけれど人前じゃ恥ずかしいよね~。
私は、発動キーは単純に『結界』です。
そして、解除キーはちょっと長くて『結界解除』に決めました。
これなら間違えっこ無いでしょ?
結界使用中に間違えて解除キーを口にして、吹雪の中とかでうっかり解除なんてされたら目も当てられませんもの。
もっとも、結界の自働展開なんて機能もついてます。
これは、体に衝撃が加わった時に自動的に最大級で展開します。
車のエアバッグって感じかな?
最大級で展開した後、元の設定サイズに戻る仕組みになってます。
もし、何かをぶつけられたりした場合、それが体に当たる前に撥ね返してしまいます。
それも、どんな方向からでも、すべてやって来た方向に、同じスピードで。
何故か小夜さんは『凶悪なカウンターねえ』と言ってましたが、何故?
何かが当たったと言う感じはするけれど、痛いほどの衝撃が加わる前に展開します。
ただ、最大展開の場合、体表から1m近く結界が広がるので、単純に転んだだけでもボールの様に体が弾んで転がってしまうって事にもなりかねないので、そこは要研究課題です。
プリンターで作った魔法陣、魔力を込めた時点で色がとびました。
でも、完成しているので効力は完全に残っています。
色が無くなった魔法陣は起動時に魔法陣の図形を現しますが他の時はただの白い布が張り付けてあるだけに見えます。
「陣を秘匿するには良いわね」と小夜さんが言いますが、別に秘匿しなくても良いと思うんだけど?
でも、これから魔法時代に入って世界が落ち着いたら、魔法陣の図形は立派な特許物件なのだそうです。
「これで、麻代ちゃんも特許料セレブね~」
と、小夜さんにからかわれますが、いつの事やら。
春になったら、征一さん達土魔法の得意な人達に頼んで訓練用結界のある場所の近くに学校が作られる予定です。
これから魔法使いが増えて来て、その人達が妙な力を持つ異物として迫害されるようならそこに連れて来て、きちんと教育する事になりました。
先生は前世持ちの魔法使いさん達。
でも、私も生活魔法の先生をやるんだって~。
なんか、ちょっと恥ずかしいかも。




