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99 桜吹雪

 春、日本のあちこちにミサイルが降りました。

と、言っても一発も地上まで届いたのは無いのですけどね。

たとえ、地上まで届いたとしても中身はカラです。

発射元の某国まで行って予めミサイルの中身を『分解』した上に遠隔操作で地上に落ちる前に粉々になる術式、その他を刻んでおきました。

粉々の金属片は降って来る間に金属ですら無くなりました。

だって、吸い込んだり目に入ったりしたら危ないじゃないですか。

だから、全部桜の花びらに変えちゃいましたよ。

さらに魔素に変わるようにね。

 地上からそれを見た人の目には何かがキラッと光って飛来し、それが手品のように花びらに変わって降り注ぎ、それも地上に落ちる前に儚く消えて行ったと言うように見えたでしょうね。


 もちろん、政府は何が日本に撃ち込まれたのか知ってますよ。

でも、前もって私達が知らせておきましたから、念のために迎撃用の戦闘機は飛び立ちましたが、桜の花びらの中を飛行しただけでした。

思えば一番の特等席でそのイリュージョンを見る事が出来たかも。

このイリュージョン、テレビで放映されました。

各テレビ局にあらかじめお知らせしたからです。

なぜ、ミサイルの事が日時まで正確に判ったかと言うと、とある魔法的な理由です。

勿論監視もしていたからですよ。

何発もミサイルを撃つのに決めました、はいスイッチポンなんて訳ないですから、十分余裕を持ってマスコミにお知らせできましたよ。

ずっと、日本が魔法を独り占めしているのなんのと文句を言っていましたので政府も予測は付いているようでした。


 ミサイルが発射された途端に別の某国からもミサイルが発射、一番最初の発射元に跳んで行きましたが、もちろんそれも花びらに成り果てました。

最初の発射元の某国は発射と同時にテレビで元首が偉そうになぜミサイルを撃ったのか、理屈をこね回し、さも自分たちが正義なのだと理由付けしていましたがとんだピエロです。

その演説と花びらに変わったミサイル映像が何回も放映され、すぐにネットでも世界中に発信されました。

某国の元首がカンカンに怒ってパソコンの載ったテーブルをちゃぶ台返ししたあげく発作を起こして倒れ、入院した事もリアルタイムで知ってますよ~。


 「それにしても綺麗だったわね~」

何度目かのテレビ映像を見ながら小夜さんが言います。

勿論、録画もしてあります。

「最初は天使の羽をイメージして白い羽にしようかなと思ったけど、羽根が大量に降って来たら気持ち悪いでしょ?

まあ、春なので桜の花びらが良いかな~って思って」

「予測はパーフェクトだったわね」小夜さんが満足そうに頷きました。

「未来予知みたいな魔法が本当にあるのかなって思ったけど、やはり麻代ちゃんは聖女だわ。

聖女や聖人がアカシックレコードを垣間見る事が出来るって本当だったわね」


 とある魔法的な理由、それは夢でした。

日本に、そして世界中に大量の核ミサイルが降る夢を見たんです。

それが唯の夢じゃ無いって判りました。

だから、小夜さんに相談すると小夜さんが世界中の物騒な広域破壊兵器のある場所を教えてくれました。

そこから予測を立てて、一番最初の元凶とそれに打ち返された次のミサイルの場所を割り出しました。

準備を重ねて一か月。

小夜さんの言いつけでそれらに細工を施したのが半月前。

その後はあちこちの物騒な兵器に片っ端から悪戯して過ごしてましたよ。

もちろん魔獣の事があるのでミサイルや毒ガス兵器みたいなあきらかに人を傷つけるための兵器に限りましたけどね。

もちろん、誰にも見られないしカメラにも映りません。

完璧な認識阻害の魔法ですから。

でもまあ、ミサイルを撃ったり撃ちかえしたりの世界が壊れそうなアルマゲドンにならなくて良かったです。

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