【短文ミステリー】偽りの殺人(推理編)【難易度:★★】
連載が遅れてごめんなさい。受験があったんです・・・
ある日、仕事を終えた榊田は、少し遠回りすることにした。これと言った理由は無い、単なる気まぐれである。
少し一般的な住宅街から離れ、薄暗い路地を進む。周りにあるのは、わずかな街灯と、一軒だけの家である。
そこを通り過ぎたとき、何かが割れるような音がした。だが、榊田は特に気にすることもなかった。直後に女性の悲鳴が聞こえてこなければ、彼はそのまま歩き去っていただろう。
中に入ると、女性がボロボロと涙を流しながらあえいでいた。
「主人が・・・主人が・・・!」としか言わず、しばらく会話が出来そうにも無い。
しかし、どうにか聞き取れたところを解釈すると、強盗が侵入し、彼女の夫が抵抗したところ、その強盗に刺されてしまったようだ。
榊田は警察手帳を見せ(彼女は少し安心したようだった)、中を見ることにした。
リビングの窓ガラスの一つが粉々に砕け散っていて、大量の破片が庭に散らばっている。ここから侵入したようだ。物取りらしく、あたりの棚などを乱暴に物色したような跡があった。現に、いくつかの宝石などが盗まれているらしい。棚の一つのすぐそばに男の遺体があった。出刃包丁で胸を一突きされている。検査しないと詳しくは分からないが、おそらく即死だろう。他の部屋はどこも荒らされてなく、強盗がここだけを物色し、男を刺殺、そのまま逃走したように見られる。
榊田は一旦外に出て、応援を呼ぶようにした。
「あ、もしもし、榊田ですが――あ、警部、事件があったんです――ええ、殺人です。男性が一人――えっと、出刃包丁で・・・たぶん即死かと――はい、え?――あ、奥さんもいるようですが――あ、彼女が事件を目撃してて――はい、強盗が入ったと言いました。はい――彼女の言うとおりなら、強盗殺人ですね。ええもちろん、警部。私はそうは思っていません」
Q
どうして、榊田は彼女を疑ってるのでしょうか?