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短文ミステリー ~榊田刑事の事件簿~  作者: 双子座流星群
第三話 ひき逃げの証明に必要なものは?
5/14

【短文ミステリー】ひき逃げの証明に必要なものは?(推理編)【難易度:★★★】

しばらく止まってました。ゴメンナサイ・・・

 夜の道。くたびれた感じで歩く一人の男。

 紛れも無く、榊田刑事だ。

 仕事に疲れて、ブラブラと歩き回る。明日は非番なので、久々の休日を楽しみにしていたのである。

 そんな楽観的感情も、直後に見つけた轢殺体を見つけたことでブチ壊しになった。


 被害者は飯田(いいだ) 智仁(ともひと)、15歳である。3ヵ月後に難関私立校高校入試を受ける予定だった。


 衣装は私服・・・ということが辛うじて判断できる程度。それほどズタボロの状態だった。




 現場は一方通行。よって、榊田もその進路に従って現場を捜査することにした。


 まず、道路は大通りの途中を右折したところにある、細い道路であった。街灯はナシ。そのうえ、現場は月は雲に隠れ真っ暗だった。ただでさえ見通しが悪いところ・・・確かに事故を起こしてしまいそうな場所ではある。しかし、あんなヒドイ状態になるほどのスピードを出せるだろうか・・・

 少し進行方向に沿って進むと、事故現場と思われる場所に着いた。

 血だまり・・・あのいたいけな体にあれほど大量の血液が流れていたのか、と驚くほどの出血量である。

 血痕から数メートル前方にブレーキ痕があった。・・・そうとうなスピードが出ていたのだろう。

 車道と歩道の区別をつけるような印は全く無く、なるほど、事故も起きそうである(実際、事故が多発しているらしい)

 。



 現場での捜査を終えて署に帰ると、一人の男が事情聴取を受けているところだった。


 取調室には、ちょっとした修羅場が展開されていた・・・。

「だからっ!俺は違うっ!!あっちから飛び出してきたっつっただろっ!!!」

「嘘を言うな!お前の呼気からは、アルコールが検出された。それこそ違法スレスレの濃度だったぞ!!」

「それが何だよ!?ちょっと酒飲んだ程度で犯人だって決め付けんのかっ!!!?」

「どうしたんですか」

 修羅場に耐えられなくなった榊田が割って入る。

「ああ榊田・・・」

「被疑者に罵声を浴びせるなんてもってのほかですよ、警部」

「被疑者!?俺は無実だってんだろーがっ!!!」

 被疑者が吼える。

「警部、聴取を続けてください。ただし、声を荒げないように」

「あ、分かった・・・あ、榊田、ヤツの名前は『国木田(くにきだ) 信一郎(しんいちろう)』・・・42歳だ。」

「分かりました・・・では続けて」

 こうして事情聴取は再開された。

「えーと・・・じゃあ、君の話を聞いてもらおうか」

「だから言ってんだろ!俺が車運転してたら、あのガキが飛び出してきたんだよ。すぐに慌ててブレーキをかけたけど、車が完全に止まる前に・・・」

「子供が飛び出してきた・・・?」と榊田。

「ああ、ヤツのガキはたしか、今年受験じゃなかったか?」

「すいません、ヤツとは?」

「ああ、コイツの同級生でな、『飯田(いいだ) 和也(かずや)』でな・・・ヤツをいじめてたんだ」石頭警部が補則する。

「いじめてた?」

「ああ、不幸にも高校と大学で一緒になってな。まあ、井上が国木田にたかるためについていったようなものらしい」

「なるほど・・・それが動機になるのでしょうか?」

「ふざけんなっ!何が動機だよっ!!たしかにアイツのことは恨んでた・・・でも、わざわざソイツのガキを轢き殺したりはしねぇよ!!自殺だよ!アイツは!!」

「自殺?」

「ああ、被害者は難関私立高校に入試をする予定でな・・・相当厳しかったらしい」榊田の疑問に、また石頭警部が答えた。

「厳しいって、彼の両親がですか?」

「それだけじゃない、彼の学校の教師や塾の講師なども重圧をかけてたみたいで・・・実を言うとかなりギリギリだったそうだ」

「というと、受験の圧力に耐えられずに自殺・・・ということも考えられるわけですか」

「ああ、そういうことになる。とにかくだ、慎重に慎重を重ねて調査を・・・」

「その必要はありません。結論はもう出ました」石頭警部の言葉を遮って、榊田は断言した。



 (クエスチョン)

 榊田刑事はこれらのことから真実に気付いたようです。あなたはいかがでしょう?

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