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短文ミステリー ~榊田刑事の事件簿~  作者: 双子座流星群
第二話 自殺か、それとも・・・
4/14

【短文ミステリー】自殺か、それとも・・・(解決編)【難易度:★★】

 (アンサー)


「な、なに!?自殺じゃないと証明できる証拠が――」

「というより、不自然な箇所に気付いたのです。警部は自殺だと思ったのですよね?」

「ああ、そうだが?」

「それには不自然な箇所があります。この家には30年間住んでいたのですよね?」

「ああ、それが?」

「だったらおかしいんです。この寝室には『指紋が誰のも何一つ見つからなかった』のですよね?――本人のでさえ」

「え!?」

「『誰一人として』、とわざわざ言ったのです。普通は『遺体のもの以外は』と言うでしょう。しかし、今回はそう言わなかった。つまり、本当に誰の指紋も見つからなかったのです。30年住んできたこの家、指紋が一切つかないなんて有り得るでしょうか?」

 推理を聞いてスッカリうろたえる石頭警部。

「し、しかし・・・自殺じゃないとなると・・・」

「おそらく他殺です。借金を抱えてたのでしょう」


 榊田の助言を聞いた警部が部下に交友関係を調べさせたところ、一人の男が浮上した。警察はこの男を任意で聴衆したところ、容疑を認めたので逮捕した。


 男の供述はこうだ。

 金を貸していた被害者に、金を返してもらおうと自宅を訪ねたが、そこで口論となり、逆上して首を絞めてしまった。

 我に返ったころにはすでに死んでおり、男はとっさに自殺に見せかけようとした。

 有線で首をくくらせ、吊り上げた。パソコンで遺書を作り、指紋が残らないようにありとあらゆる場所を拭いた。鍵を持って誰にも見つからないように出て行った。鍵は川に捨てたという。

 さすがに、被害者本人の指紋のことまでは考えていなかったという。



 公園のベンチに座り、缶コーヒーを飲む榊田と石頭警部。(このとき、石頭警部が缶コーヒーを奢ったことについてしつこく言ってきたことは無視しよう)

「・・・金銭がらみのことになるとよく分からないですね」

「お前は正直者だからな」

 缶コーヒーを飲みながら少し笑う警部。少しその笑顔に悲しみが見えたのは気のせいか。

「世の中生きてるといろんなことがある。無論、理解しがたいこともな。警察は、犯人を逮捕するのが仕事。理解できるできないとかは、どうでもいいんだ」

 雲も無く晴れ渡る青空。今日は今シーズン一番の寒さらしい。

【要約】

30年間住み続けた部屋に、被害者本人の指紋すら無いのはおかしいということに気付いたのでした。

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