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短文ミステリー ~榊田刑事の事件簿~  作者: 双子座流星群
第二話 自殺か、それとも・・・
3/14

【短文ミステリー】自殺か、それとも・・・(推理編)【難易度:★★】

第2話。

少し難易度がアップしました。

 そのころ、榊田は自宅で寝ていた。

 刑事にとって数少ない休日。

 つかの間の休息。

 榊田はそれを寝ることで過ごしていた。

 別に深い理由は無い。

 ただ単に、それ以外にすることが無かったからだ。

 突然、携帯電話が鳴り響く。

 石頭警部から――となると、用件は一つしかない。

 榊田は、まだ寝て過ごす予定だった2時間を、悔やみながらも仕事に回すことになった。

 榊田は自分の計画を変更させられるのが嫌いである。


 現場にたどり着いた榊田。

 閑静な住宅街にある、小さな一軒家。自宅からそこまで遠くはなかった。

「呼びましたか・・・」

 不機嫌な様子を隠そうと努力もせずに言う榊田。

 石頭警部は、そのことに一切気付かず、

「おお、来てくれたか!」

 と言うだけだった。


「・・・で、どんな事件ですか?俺は今日、非番なんですが」

「ああ、そうか、お前は休日が無駄になるのが嫌いだったんだな」

 スマンスマン、と言いつつも、全く反省してる様子が無い警部。


 部屋には首吊り死体があった。

 もう降ろされている。

 榊田は、首に巻かれている何かに気付いた。

「これって・・・LANケーブルじゃ?」

「? らんけーぶる?」

「はい、パソコンでインターネットを利用するときに使う、LANケーブルです」

 LANケーブルで首をくくったのか。


「目撃者は近所の人だ。最近姿を見せてないので、様子を見に行ったんだ。ホラ、あそこの窓から・・・カーテンが少し開いていたんだな。でも鍵がかかってて・・・中に入るのに大変だったよ。どうも死後3日、というところだな」

「・・・ちょっと調べてもいいですか」

「あ、現場をか?もちろん」


 遺体があった部屋は、一切散らかっていなかった。

 床など、それこそホコリ一つ落ちていない――いや、ホコリ程度は落ちていた。

 ココは、死亡した人の寝室だったらしい。

 中にはベッドだったり、デスクだったり、本棚―パソコンやビジネスの本がぎっしりと並んである―がある程度。あと、そのデスクの上にパソコンが――

「警部。このパソコンですが・・・」

「え?どれどれ・・・あっ!!」

 パソコンの画面を見た警部は、おもわず声を上げた。


 シゴトデツカレタ。

 イキテイクジシンガナイ。

 サヨウナラ。


 画面にはこう書いてあった。


「警部、ところで部屋の監察は済んだのですか?」

「ああ、だが、指紋は誰のも何一つ見つからなかったようだ」

「警部!遺体の身元が分かりました!」

 警部の部下が息せき切って飛び込んで来た。

「身元?」

「はい、遺体は『向田(むこうだ) 真一(しんいち)』52歳。仕事場ではいわゆる追い出し部屋に入れられてたようです」

「追い出し部屋か・・・」

「いけませんね、こういう機会にブラック企業は徹底的に鎮圧せねば」

「お前は黙ってろ――で、その他には?」

「はい。この家には30年間住み続けてきたみたいです。追い出し部屋に異動させられたのは半年前。金銭に苦しんでおり、借金を抱えてたようです」

 部下の報告を聞いた石頭警部は、顎に手を当て、こうつぶやいた。

「うーん・・・というと、借金が重荷になって自殺した・・・ということだろうか?というと――」

 榊田が石頭警部の言葉を遮る。

「すいません警部、コレを見て自殺だと判断するのは早計かと」

 意外そうな顔をする警部。

「何だと?中はいわゆる密室状態、遺書もある。どう見ても自殺じゃ・・・」

「しかし警部、家の鍵は持ち出せば外からかけることも出来ます。また、遺書もパソコンで書かれたもの、本人のものである保障はありません」

「・・・じゃあ、自殺じゃない証拠はあるのか!?」

 思わず声を荒げる警部に対し、榊田は淡々と答えた。

「はい。俺の考えでは、これは他殺だと思います。たぶん借金がらみでしょう」



 (クエスチョン)

 榊田は、自殺にしては妙なところがあるのに気付いて、他殺だと思いました。一体ドコでしょうか?

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