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【短文ミステリー】桜散るとき(解決編)【難易度:★】

 (アンサー)


「は・・・はぁ?俺が・・・嘘をついてるって?じょ・・・冗談じゃない!!証拠を出せ!!」

「あなたが犯人だと示す証拠はありません。ですが、あなたが嘘をついてる証拠ならあります。あなたの発言によると、『ここ数日は車に乗っていない』・・・とのことです。しかし、それだとするとおかしいんです。あなたの言うここ数日間は強風が吹き荒れていて、桜をかなり散らしてしまいました。しかし、車には『少々の花びらが積もってるだけ』です。もし数日動かしてないなら、もう少し積もっててもいいのではないでしょうか」

「な・・・そんなの感じ方によるだろ!!」

「なるほど、では、その強風が桜の花びらだけでなく、花粉をも飛ばさせていることはご存知でしょうか?ですが、あなたの車に『全く花粉がついていない』のも感じ方の問題でしょうか?あなたの車は黒のミニバン。多少の黄色い花粉がついていても、黒ならかなり目立つはずです。なのにあなたのには全くついていません。ええ、全くです。なにしろ『新品ではないのに綺麗だ』と私が思ったくらいですから」

「あ・・・いや・・・そう、確かに車には気を使ってて・・・この前洗車したばかりですよ・・・」

「それなら、花びらが積もってること自体がおかしいんですよ。花びらだけを残して洗車するなんて芸当は出来っこありませんし、そもそもする必要がありません。あなたの言うこの前がいつだかは分かりませんが、昨日や一昨日だとしたら、花粉は多少はついてないとおかしいんです。その日から私が来るまでの間も、日中は風が強かったですからね。今日だとしたら、やはり桜の花びらが積もってることが問題になります。この強風のせいで、枝についてる桜の花びらなどたかが知れてますしね。」

「な・・・なにを・・・」

「私の考えはこうです。あなたはここ数日は車を使ってなかったのではなく『ついこの前使った』。それが何の目的かはまだ分かりませんが、あなたはそのことを知られたくなかった。だから『花びらを車に積もらせて、ここ数日使ってないように見せかけた』。しかし、花粉までには意識が回らなかったのでしょう。そして矛盾が生まれてしまった、という考えです。」

「な・・・」

「さて、岸田さん。あなたは取り調べに対し嘘の証言をしました。これは偽証、ということになります。何の目的もなく嘘をつく人はほとんどいません。つまり、あなたも何らかの目的があって嘘をついた、と考えるのが自然でしょう。しかし、嘘をつくのは基本的に褒められることではありません。人の命が関わってるとなると尚更です。署までご同行願えるでしょうか?」


 結局、井桁殺しは岸田だった。

 前々から井桁の能力の高さを妬み、恨んでいたという。

 岸田はなんとか見返そうと、新しいプランを編み出していたのだが、その道中でどうしてもお金が足りなくなり、会社の金を横領した。そのことが井桁にバレ、追及されていた。岸田は口封じのために井桁の家を訪れ、殺したという。


 事件解決から一週間後、ようやく花粉は収まり、花粉症で倒れていた人も次々と復活していった。

 しかし、石頭警部の花粉症はなぜか治りそうもない・・・

 上田曰く「しばらく休めってことなんじゃないんでしょうか?」とのことだった。

【解説】

ここ数日車を使ってないのだとしたら、花粉が飛んでるのに綺麗に見えるのはおかしいと思ったのでした。

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