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【短文ミステリー】白い確信(推理編)【難易度:★★】

かなり久しぶりです!!亀進行で申し訳ない・・・

 この前の大雪のときに起こった事件の公開捜査に踏み切ってから10日後。偽の通報(「白い疑惑」参照)など色々とあったが、また一つ通報があった。しかし、今度はいくらか信憑性がありそうなものだった。

 容疑者の名は番井(つがい) 進一(しんいち)。22歳の独身で会社員で被害者の(つじ)の部下であった。

 メッタ刺しになってることと金がなくなっていることから怨恨か金銭目的かで調べていたが、彼はどちらにも当てはまりそうな人物であるらしい。怨恨の面では、被害者は部下に嫌がらせをしていたらしく、番井も例に漏れなかった。金銭の面は、景気の悪化の煽りを受け暮らしはよくなく、リストラされる可能性もあった。


「やっていません」

 榊田と石頭警部が事情を聞くと、開口一番でこう言った。

「しかし、事件が起きた日、えーと、2月17日のアリバイは?」と警部が訪ねると、番井は少し考え、

「えっと、その時は出掛けていたと思います」と答えた。二人は少し驚いた。おそらく「自宅で寝ていました」といったお決まりの言い訳をするのかとばかり思っていたからだ。

「出掛けていた?徒歩で?」

「いえ、この車に乗ってですね」番井はそう言って近くの空き地に停めてある車を指差した。一般的な乗用車だが、手入れは良さそうだ。

「大雪のときにですよね?いったいどこへ何しに?」

「えっと、午後11時ごろ、あ、これは16日のですね。電話がかかってきました。居酒屋に行ったのはいいが、雪がひどく降っていて帰れなくなったから車で迎えに来てほしいと。その時窓を見たのですが、ひどく降ってました。近くの居酒屋だったので迎えに行くことにしました」

「それって、少し収まっていた降雪が急に増えたんだよな」

「はい、ですので実際に車を出せたのは降雪が収まった二時間後の午前0時頃です、これは17日のですね。雪が積もってて道を掘り出すのが大変でしたよ。まあ、結局降りましたよ。居酒屋の200mほど手前で。そこまでは歩かせて乗せましたそこから各々の家に送ったのですが、最終的に家に帰れたのは午前4時頃ですかね」

「なるほど、ところでその居酒屋とは?」

「えっと、『居酒屋魚ヶ島』です」

「えーと・・・ここからそこまでは近いといっても5kmほどですよね。そこまではどうやって?」

「公道を使いました。少し遠回りですが、手入れとかが整っていると思ったので。彼らの家に送ったときもその公道を使ったのですが、家の前はあまり雪かきが済んでなかったので、ここまでかかったのです」

「なるほど、ところで、先ほどから彼らと呼んでいるのは?」

「ああ、会社の同僚です。彼らとはよく飲んでいるんです。その日は少し気分が悪くて。前日も飲んでいたので二日酔いですかね」

「分かりました。被害者の辻さんについて何か知ってることは?」

「心当たりとかですか?そうですね・・・正直あまりいい人とは言えませんからね。恨みは買っていたと思います。しかし殺されたりするほどかどうかは分かりませんが・・・僕ですら、今殺されたと聞いて驚いてるんですから」

「なるほど・・・同僚の方については?」

「彼らですか?彼らなら疑っても無駄ですよ。彼らの潔白は僕が証明します。彼らに人を殺すほどの度胸はありませんよ。大体、彼らならもっと良い方法が思い付いてるはずです。たぶん彼らも知らないと思います。必要ならば連絡先を教えましょうか?」

「あ、お願いします」

「分かりました・・・」

「ところで、あなたが被害者に嫌がらせを受けてたという話もありますが・・・」

「えっと・・・あくまで個人の見解ですが、かなり悪質だったと思います。詳しい内容は伏せますが。それが原因で辞職した人もいるらしいですし、被害に遭った人たちが水面下で訴訟を起こすという噂も聞いたことがあります。あ、これが連絡先です」

「なるほど・・・しかし、公開捜査にそんな情報はありませんでしたね。なぜ言わなかったのですか?」

「公開捜査?いえ、知りませんでした」


 番井は連絡先を渡したあと、「このあと用事があるので」と言って車で走り去ってしまった。後に残ったのは二人の刑事と道路脇に寄せられた雪ばかり。


 しばらくして、榊田が口を開いた。

「警部、ところで公開捜査で公開した情報はどんな内容でしたか?」

「え?ああ、被害者の背丈と事件発生現場と起こったとされる時刻、あとは盗難車とそのナンバーだな」

「分かりました」

「しかし、良いやつだったな。第一印象は最悪だったがな。辻さんが殺されたとだけ言い、『少し話を伺いたいのですが』と聞いたらアレだもんな」

「それは仕方がないてしょう。上司が殺されたと聞いてかなり驚いてたようですし。それに警部、忘れてるかもしれませんが、彼は容疑者です」

「ああ、そうだったな。あいつが怪しいって情報があって来たんだもんな。だがそれはニセだったか、そうじゃなきゃ早とちりか」

「警部、僕はニセでも早とちりでもないと思います。おそらく計画的な犯行だと思いますが、彼は少しミスをしてましたね」




 (クエスチョン)

 番井が犯したミスとはなんでしょうか?

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