【短文ミステリー】誘拐現場の不自然な点(推理編)【難易度:★】
え~と・・・初心者なので、温かい目で見守ってください(汗)
閑静な住宅街のマンション。この個室で誘拐事件が発生した。
事件が発生してから2時間後、警察は事件発生現場と思われる被害者の個室に踏み込んだ。
警視庁第一課の榊田 嘉明もその中にいた。
彼は若くして、いくつもの難事件を解決してきたが、本人は「全ての証拠を照らし合わせただけ」と驕らない。(それとも、なかなか事件を解決に導き出せない仲間に奮起を促してるのか)
「お疲れ様です!!」と声を掛ける彼、上田 浩介は鑑識である。
彼も鑑識の目線から事件の真相を探ろうとしてるのだが、なかなかうまくいかず、いとも容易く事件を解決する榊田に頭が下がるばかりである。
そんな榊田も、「鑑識の能力で、彼の右に出るものは無い」と評価はしてるのだが。
「おぉ来たか!!」と声を掛ける彼、すでに事件を捜査し始めていた。
おっと、彼の名は石頭 龍一郎というちょっと変わった苗字なのだ。
自称,天才刑事・・・なのだが、影では「石頭の龍さん」と呼ばれてるのを彼は知らないらしい。
色々と自慢げに自分の推理を発表するのだが、素人でも思いつくような馬鹿げた推理ばかり。
最近はスッカリ榊田頼みになってるのが現状だ。
こんな人が、榊田の上司であり、非常に嘆かわしい|(榊田本人はそう思ってないみたいだが)。
「あ、おはようございます」と榊田。「何か分かったことはありますか?」
「まあ、被害者の身元とかな。現場はこれから洗うところだ」
石頭が言い終わらないうちに、現場を捜査し始める榊田。
「被害者は・・・ってオイ!俺の話を聞いてるのか?」
我関せず、と言わんばかりの態度の榊田。一つのことに集中すると他のものが目に入らなくなる。榊田の数少ない欠点の1つだ。
榊田は部屋をグルリと見回した。
今ここにいるリビング。部屋の散らかり具合から見てここが犯行現場と言っていいだろう。
ダイニングキッチンはついているが、ごく普通のリビングだ――部屋が散らかってること以外は。
真っ先に目に入るのは、やはり大きな額縁に入った絵画だろう。どうも近くの河川敷らしい。自分で書いたようだ。
絵画の隣には、縦長の鏡が立てかけられている。といっても、部屋で暴れた拍子で倒れてしまっていた。幸い割れてはいない。
テレビはこぢんまりした棚の上に置かれていた。棚の中には、本が数冊、ぬいぐるみなどが入っている。榊田は女の趣味には興味ない。
テレビは薄型の16インチ。土台には耐震用の何かが張られていた。名称を榊田は覚えていない。
テーブルは2台あった。大きめな長テーブル、ちっちゃな丸テーブル。椅子は長テーブル用に3脚ある。
まず長テーブルだが、上にはいろんなものが置いてある。使った食器、箸、ティッシュペーパー、リモコン、メガネケース、ポット、まだ熱いコーヒーが入ってるコップが1つ、大学の教科書やレポート――あまりキレイな字とはいえない――が散乱してある。あまり整理整頓が得意ではないようだ。
丸テーブルには、手鏡や化粧ケース、つけまつげ――これを見ると、いつも毛虫を想像する――、スマートフォンが置いてある。こちらは少し余裕があるか?
洋服箪笥もある。中にはワンピースやら帽子やらよそ行きのドレスまである。
床は、その洋服箪笥から出たと思われる服で散乱していた。ゴミも落ちている(これは長テーブルから落ちたのだろう)。
これだけ見た榊田の目には、もう何も映ってなかった。
「榊田!・・・調査は終わったのか?」
「ええ、まあ。あ、そういえば現場に踏み込んだのは我々が最初ですか?」
「え?まあ、そうだな・・・じゃあ、被害者の身元は確認できたから、今すぐ本部を立ち上げ」
「ちょっと待って下さい」
焦る石頭を榊だが遮る。
「何だ榊田ぁ?」
「もう少し待ってくれませんか?」
「何だって?」石頭はスッカリ困惑している。
「本部を立ち上げるのをもう少し待ってほしい。と言ってるのです」
困り顔の石頭に榊田は言う。
「明らかに不自然な箇所があったのです。それの真相が分かるまで、本部立ち上げは待ってください」
「何ぃ?一体どこが不自然だって言うんだ?」
「・・・全ては、この現場にあります!!」
Q
現場にある明らかに不自然な箇所とは、一体ドコでしょうか?