愛-キョウキ-
あのひとの笑顔がほしい。
あのひとのコトバがほしい。
あのひとの日々がほしい。
あのひとの幸せがほしい。
あのひとのすべてがほしい。
あたしはあのひとがほしい。
あのひとをあたしだけのものにしたい。
あのひとを独り占めしたい。
あのひとのすべてをあたしだけにしたい。
そうするためにはどうしたらいいのだろうか。
そうだ、あのひとの近くにいるやつに消えてもらえばいいの。
あのひとの近くにはあたしがいればいいのよ。
そうだ、そうだそうだ。
みんな消してやるわ、この手で。
あのひとの近くに寄ってたやつら
みんなみんな消したのに
あのひとはあたしだけのひとになってくれない。
どうして……?
どうしてあたしのところへ来てくれないの?
どうしてあのひとはあたしだけを見てくれないの?
そうだ、あのひとの目が悪いんだわ。
きっと目があたしのほうに向いていない。
きっとそうだ。
だとしてもどうしよう。
大切なあのひとを大好きなあのひとを
傷つけることなんてあたしにはできないわ。
どうしよう、どうしよう……?
そうだ、傷つけるんじゃないの。
あたしがあのひとの目を手術してあげるの。
あたしだけを見てくれるように。
そう言ったらあのひとはあたしを避けるようになったわ。
あたしがどんなに探しても
あたしの前には姿を現さなくなってしまった……。
あたしは悪くないのよ。
すべてはあのひとのため。
あのひとにはあたししかいないもの。
あのひとにはあたしだけいればいいの。
だから余分なものは見えないように手術してあげるって言ったのに。
あのひとはきっと頭も悪いのね。
いや、まだまだ子どもなのかしら。
まだあたしさえいればいいんだって現実に気づいていないのね。
そうだわ。
じゃあ気づかせてあげなきゃ。
3日たって、やっとあのひとを見つけたわ。
長かった3日間。
逢いたくて逢いたくて仕方なかったのよ。
でもきっとそれもわかってはいないのよね。
そういうところも可愛いんだから。
あたしはあのひとを連れて帰った。
乱暴なことはしていないわ。
ただちょっとだけかつん、って
殴っただけよ。
あのひとの体に傷つけるようなことしないわ。
真っ暗なあたしの部屋。
あのひとは初めてあたしだけを見てくれたわ。
そしてこう言ったの。
「お前の望みはなんなんだ」って。
あたしは素直に言ったわ。
あなたの笑顔がほしい。
あなたのコトバがほしい。
あなたの日々がほしい。
あなたの幸せがほしい。
あなたのすべてがほしい。
あたしはあなたがほしい。
あなたをあたしだけのものにしたい。
あなたを独り占めしたい。
あなたのすべてをあたしだけにしたい。
そう言ったわ。
そうしたらね、あのひとはあたしに
ひっそりとキスしてくれたのよ。
あたしの唇とあのひとの唇が重なって……
ものすごくどきどきしたわ。
だけど
あのひとはこう言ったの。
「満足してくれたか?」
って。
なに、ふざけてるの?
あたしはあなたのすべてがほしいのよ。
たった一回のキスだけで満足するほど
あたしは安い女じゃないわ。
馬鹿にしないで。
「馬鹿にしないでよッッッ!!!!!!!!!!」
あたしはあのひとをめちゃくちゃにしてあげたわ。
目もあたしだけを見れるように
片方を塞いであげた。
これで他のやつに惑わされないわ。
足だってこれ以上動かないようにしてあげた。
これでもうあたしから離れられないわ。
手もそうよ。
あなたにはあたしが必要なの。
ねぇ、わかってくれたかしら……?
*
こんな病んだものを書くつもりは毛頭ありませんでした。
ただただ恋しい人に想いを寄せる可愛らしい女の子を書くつもりでした。
なのに……。
どうしてこうなっちゃうんだろう、私……?
まぁこれもこれで気に入ったので
いいかな、と思います。
読んでいただき、ありがとうございます。
感想、ご指摘等よろしくお願いします。
それから、どうしたら病んでないものが書けるのでしょうか?
教えていただけたら嬉しいです……。