第2話 領地改革スタート! 魔法の田んぼ
朝日がスラムの村に差し込んだ瞬間、俺は小屋の外へ飛び出した。
昨夜の親子丼大成功で、村人たちはみんなまだ夢見心地だ。
あちこちから「若様の料理……また食べたい……」という寝言が聞こえてくる。
「よし、今日から本気で領地を変えるぞ」
俺は10歳の小さな体で、領地の荒れ地を歩き始めた。
辺境男爵領ローレル——森と岩だらけの不毛の土地。
川は細く、土は痩せていて、普通に耕しても1年で実りなんて期待できない。
でも俺には【無限食材創造】がある。
「ここだな……」
村の北側、広大な荒野を指差す。
村人たちが俺の後をついてきて、不安げな顔で集まってきた。
「若様……ここは昔から作物が育たない土地です……」
「種を蒔いても、半年で枯れるだけですよ……」
俺はニヤリと笑って右手をかざした。
【無限食材創造】
淡い光と共に、無限の種米が山積みになる。
さらに「魔法成長促進肥料(1週間で成熟)」「マナ強化種子(収穫量10倍)」「自動灌漑用水(MPゼロ)」まで一気に生成。
「う、うわぁ……!」
村人たちがまた目を丸くした。
昨日のご飯に続いて、今日も“神様の奇跡”が目の前で起きている。
「みんな、聞け。
これからここを“魔法の田んぼ”にする。
種は俺が無限に出す。肥料も水も全部俺持ち。
お前たちはただ、俺の指示通りに耕してくれればいい」
俺は現代日本の知識をフル活用して指示を飛ばした。
まず、荒れ地を均すための簡単な木製クワとレーキを設計。
村の男衆に作らせ、すぐに土を起こさせる。
次に、魔法肥料を土に混ぜ込みながら種米を蒔く。
「若様……本当にこんな速く育つんですか……?」
「信じろ。3日で稲が実る。1週間で収穫だ」
村人たちは半信半疑だったが、昨夜の親子丼の味を思い出してか、必死に作業を始めた。
俺はさらに【無限食材創造】で「おにぎり大量生成」して、作業中のみんなに配る。
塩むすび、梅干し入り、鮭入り——全部無限。
熱々のご飯の香りが風に乗り、作業効率が一気に上がった。
「うまい……! 若様のご飯を食べながら働くなんて、夢みたいだ……」
「腹が満たされると、力が出る……!」
その時、森の木陰から小さな影が近づいてきた。
「……あの……」
耳がピクピク動く、14歳くらいの猫耳少女。
ボロボロの奴隷服を着て、尻尾を縮こまらせている。
銀色の髪に大きな青い目。瘦せているけど、顔立ちはかなり可愛い。
「ミア……お前、昨日まで森の奥の廃屋にいた奴隷の子だな?」
彼女はビクッと肩を震わせて頭を下げた。
「は、はい……アレックス様……
昨日の親子丼の匂いがして……どうしても……
私も……お手伝いしたいんです……
ご飯……また食べさせてくれたら……何でもします……」
ミアの瞳がうるうるしている。
昨日、村の外から匂いを嗅いでやってきたらしい。
元は隣国の戦で捕まった獣人奴隷。親はもういない。
俺は胸が熱くなった。
この世界で初めて出会う“ヒロイン候補”だ。
「ミア、いいぞ。一緒にやろう。
お前には特別に『猫耳特製おにぎり』を毎日作ってやる」
【無限食材創造】で、ミアだけにツナマヨおにぎりと、猫が好きそうな「マグロ入りおにぎり」を生成。
熱々を一つ手渡す。
ミアが一口食べた瞬間——
「んっ……!? あっ……は、はむっ……!
お、お魚……こんなに新鮮で……ふわふわ……!
お、おいしすぎて……尻尾が勝手に……!」
彼女の尻尾がパタパタと高速で振り回され、耳がピンと立った。
頰が真っ赤になって、涙目で俺を見つめてくる。
「アレックス様……私……一生ここにいたいです……
お料理……教えてください……私、掃除でも洗濯でも……何でもしますから……!」
フラグ成立。
可愛い猫耳メイド候補ゲット。
村人たちも笑顔でミアを迎え入れた。
「ミアちゃんも若様のご飯で元気になれよ!」
作業がさらに盛り上がる。
3日後——
荒野は見違えるほど緑に変わっていた。
魔法の稲が一斉に実り、黄金色の穂が風に揺れている。
収穫を始めると、1反あたり通常の10倍以上の米が獲れた。
「若様……奇跡だ……!」
「これだけあれば、冬も越せます……!」
俺は収穫した米で即席「カレーライス」を大量生成してみんなに振る舞った。
スパイシーな香りが村中に広がり、ミアが俺の隣で尻尾を振りながら「アレックス様の料理は世界一です……!」と頰を赤らめる。
税収も一気に跳ね上がった。
今までは年額50金貨だったのが、たった3日で300金貨超え。
兄貴から「金寄こせ」という手紙が届いたが、俺は即座に燃やした。ざまぁ。
「これが領地改革の第一歩だ。
次は正式なレストランを建てる。
そして……もっと可愛い子たちも集めていく」
俺はミアの頭を優しく撫でながら、空を見上げた。
ミアが幸せそうに目を細めて、俺の腕に少しだけ寄りかかってくる。
(領地はもう貧乏じゃない。
これからが本番だ。
エルフの魔法使いとの出会い……楽しみすぎる)
村の空に、炊き立てのご飯の匂いが漂っていた。
(第3話 初めての領主レストラン開店)




