カー情報誌創刊号
※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。
〜 かわら版 最良駕籠 〜
ついに見参 岩崎屋謹製 出離可豆
軽量且つ機動力に優れし お忍びづかいに至適の新造駕籠出来
岩崎屋があらたに披露せしその駕籠は 一人乗りの小型の駕籠なれど その室内大にして運ばれたる道程において快適なることこの上なし
おのこひとり乗りし後もなほ十分な隙間を生じたれば 具足などをそのうちに納め一人鷹狩に出るも一興
また 床下を一尺五寸以上とりしは 荒れた道を進むことも容易し
注 但し 担ぎ手が五尺三寸以上の者によるに限る
桐材竹材のほか 南蛮より仕入れし目方の軽い新たな材木をおほく使いしその身の軽さたるや比類なく その軽量により得られたる走力は 一刻のうちに五里を駆けるも可なり
注 走力は担ぎ手の力に拠るものなれば確たる証を示すになほ及ばず
なほ 軽量なるも頑丈なるはいふに及ばず また 囲いのかなめかなめに鉄線を編みこみしたるなれば 万一桜田門外のやうな凶事に出遭いしときも 先の大老の二の舞となる憂いは無し
さらに 軽量たることに加え 担ぎ棒を真綿にて包みしは 担ぎ手の疲労をこの上なく減じせしめ 遠出も然程の苦無く成し遂げらるること想像に難く無し また 家人からも 担ぎ手も労る優しき主人と評判となるは想像に難く無し
常は二人力なれど、別に備えたる長担ぎ棒を設えれば四人力となり 走力の更なる増力も期することもまた可なり
値段 二百廿八両三分より




