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父の遺した禁断の力に触れて、神の掟に縛られた世界で未知の冒険へと踏み出す  作者: ちぃたろう


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第22話 森の秘密と古の神殿



 森の奥深く、日差しがほとんど届かない場所に、苔と蔦に覆われた古の建造物が姿を現した。

 木々の間から垂れ下がる蔦の隙間に、石造りの柱と彫刻がわずかに光を受け、古の神殿の存在を告げている。


「ここが……神殿か」

 アインは剣を肩にかけ、黒い紋様の力を軽く制御しながら周囲を観察する。

 胸の奥で紋様が微かに脈打ち、何か未知の力が呼応しているようだった。


 ルゥも慎重に前に進む。

「古の神殿……この森にこんな場所があったなんて」

 湿った石の香り、苔の匂い、微かな魔力の波動――すべてが彼女の感覚を刺激する。


 セリウムは両手を広げ、森の波動と神殿の古の力を感じ取る。

「……ここには、古の神々の意志が残っている。

 警戒を怠るな」


 三人は神殿の入口に立ち、慎重に内部へ足を踏み入れた。

 暗闇の中、壁には古代文字と絵画が刻まれている。

 戦士や魔法使い、未知の種族の姿が描かれ、まるで時間の流れを封じ込めたかのようだった。


「……これは、何を示しているんだろう」

 アインが小声で呟く。

 壁の絵画の一つに、巨大な影が人々を飲み込む場面が描かれていた。

 その力は、森の闇と似ている気がする。


 ルゥは壁の模様を触りながら、自然の波動と照らし合わせる。

「これ……古の神々の警告みたい。

 闇の力が世界を侵食する様子を描いてる」


 セリウムは柱に手をつき、古の魔力を感じる。

「……単なる警告ではない。力の封印と、試練の場所だ。

 ここに封じられた何かを、森の闇が呼び寄せた可能性がある」


 突然、神殿の奥から微かな振動が伝わる。

 石の床がわずかに揺れ、空気が冷たくなる。

 影が動き、闇の力がうごめき始めた。


「来たか……」

 アインは剣を構え、胸の黒い紋様の力を徐々に解放する。

 ルゥも自然の感覚を研ぎ澄まし、神殿内の障害を予測する。

 セリウムは光と闇の波動を同期させ、闇の力に対抗する準備を整える。


 暗闇の中から現れたのは、森の闇とは異なる存在だった。

 古代の魔獣――石と影でできた異形の巨体が、神殿内でうごめき、重々しい足音を響かせる。

 赤い瞳が三人を捉え、闇のオーラを放つ。


「……これが、神殿の守護者か」

 セリウムの声には覚悟が宿る。

 三人は互いに目を合わせ、無言で頷く。

 連携と力を試す新たな試練が始まる――。


 アインが一歩前に出る。

「行くぞ、ルゥ、セリウム!」

 黒い紋様の光が剣に沿って暴れ、石の床に衝撃波を走らせる。

 古代魔獣の石の皮膚に小さな亀裂が入る。


 ルゥは枝と葉を操り、石の魔獣の足元に罠を作る。

 動きを制御し、アインの攻撃が確実に当たるよう誘導する。

 セリウムは光と闇の波動で空間を制御し、魔獣の力の干渉を最小限に抑える。


 魔獣は力強く反撃し、床を揺らす。

 石の破片が飛び、三人を襲うが、アインは素早く身をかわし、剣で防ぐ。

 ルゥは枝で飛び散る破片を受け止め、森の力で身を守る。

 セリウムは波動を放ち、衝撃を吸収して三人を守る。


 戦いが続く中、アインは胸の紋様の力をより深く解放し、剣から黒い光を流し込む。

 ルゥは自然の力を極限まで引き出し、神殿の構造と生命の波動を同期させる。

 セリウムは古の神殿の波動を取り込み、光と闇を融合させて魔獣に反撃する。


 数分の戦闘の後、魔獣は石の体が砕け、力尽きて床に崩れ落ちる。

 神殿内に静寂が戻り、微かな光が天井から差し込む。


 三人は互いに息を整え、安堵の笑みを交わす。

 アインの胸の紋様は穏やかに光を収め、力の制御はさらに安定していた。

 ルゥの自然感覚も、神殿の古の力を読み取る力を得た。

 セリウムは人間としての感覚と神としての力を完全に融合させ、新たな戦闘力を手に入れた。


 長は微笑み、杖を掲げる。

「君たちの力と心は、古の試練を越えた。

 森と神殿、二つの試練を経て、真の力が目覚めたのだ」


 三人は互いに手を重ね、決意を新たにする。

 森の闇、古の神殿、そして未知の敵――

 これからも試練は続くが、三人は迷わず、未知の旅路へと歩みを進めるのだった。

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