記入者5:海棠美百合
・旧音楽室にて
テーブルを4つ縦に並べてロングテーブルにし、そこを囲んで歓迎会
【座り順】
志保 夕子 舞
一子 ██████
薫子 姫奈 美百合
夕子「完璧よ!!舞ってばさすがね!!」
舞「成金はテーブルマナーまで習わせるからね〜」
夕子「何言ってんのよ!お金持ち万歳じゃない!ねぇ、ここにこっそりミニ冷蔵庫とか置けないかなぁ……そしたらここでケーキとかゼリーとか冷やせるしぃ……」
3人纏めて合唱部に入部するという形で無事旧音楽室でまったりする権利を手に入れたわけだけど、楠木は夕子の要望通り人数分のティーセットを用意してきた。
籐の本格的なピクニックバスケット2つなはWedgwoodのワイルドストロベリーのティーカップからポットにナイフと全てを自宅から運んできたなんて正気じゃない。
舞「ん〜…3年の先輩方から許可が出たらね〜?夕子ちゃんそれまではクーラーボックスで我慢して〜」
うわ、これ楠木絶対買う気だ。
2人は幼なじみって言ってたけどこんなに甘やかして何でも通すと本人のためにならないわよ。
メイドじゃないんだからと仲の良い2人を見つめる。
美百合「それにしても先輩たちって今日のお茶会本当に来るの?」
夕子「来るわよ!ほら」
舞「……いつの間に〜」
夕子のピンク色のスマホを取り出して自慢げに見せつけた画面にはギャル先輩とのLIME。
いつの間に交換したのか2つ上の先輩でも物怖じしない変にコミュ力のある夕子にちょっとだけ感心してしまう。
一子「失礼しまーす」
美百合「ああ、噂をすればだね」
扉にはひょっこり美しい顔を覗かせる櫟先輩がいて、その後ろには安定に騎士の如く張り付いた男……じゃないや、女か。
いつもセットなのかと思うけど、この胡散臭い男女に友達がいるとは思えないし優しい櫟先輩が一緒にいてやってんのかな。
まぁ、どうでもいいんだけどさ。
一子「すっごーい!!お嬢様みたいなセット!」
志保「一子はお姫様みたいだけどね」
……男女の発言ってねっとりべったりバターみたいで何か落ち着かないんだよな。
夕子「あ、あの志保様!私もお姫様みたいじゃないですか?」
志保「全然」
お姫様ねぇ。
お姫様………
美百合「あーやっと分かったわ、あんたプリンセスみたいなんだ」
夕子「あんたに言われても嬉しくないの!…あ!!姫奈先輩たちいらっしゃい!」
何よ、うちのプリンセスにそっくりだからそう言っただけなのに可愛くない。
せっかくとびきり可愛い顔してるんだから、もっと櫟先輩みたいに可愛いことを言えばいいのに。
そうしたら私も……。
……私も?何?
………………。
……まぁいいか。
姫奈「やほー、うわ何これ!すごいじゃん!ルコほらあんたの好きな何だっけ、あれみたいだよあれ」
薫子「……」
姫奈「そうそう、『転生令嬢物』ってやつね」
賑やかにギャル先輩は現れたけど未だ一言も児ポ先輩の声は聞いたことなくて、ギャル先輩の通訳ありでも何の話かはわからない。
じっと見つめてると目が合ったのに、ささっとギャル先輩の背中に隠れてしまって何でここもこの2人で仲がいいんだろう。
友人関係って不思議だよね。
夕子「はーい!さっそくお菓子見せ合いましょー!!お茶会&歓迎会の始まりです!!舞、紅茶入れてね♡」
楠木がみんなのティーカップに紅茶を注ぎ始めると、男女は櫟先輩を誕生席に誘導し自ら椅子を引いてどうぞと座らせる。
夕子がうっとりとその仕草を見つめていて、あんなののどこがいいのかムカムカしてきた。
夕子「アールグレイ……志保様はこの髪色でも似合いそうですね♡」
志保「キモいね」
一子「こらこら志保ちゃん……じゃあ私から持ってたお菓子出すね」
櫟先輩が可愛らしい花柄の紙袋から取り出したのはアイシングクッキー。
苺にオレンジ、バナナに葡萄に夕子の好きなショートケーキの形までたくさんのカラフルなアイシングクッキーはどこの店のものなのか分からないけどとても可愛らしい。
夕子「えーっ、可愛い〜!!どこで買ってきたんですか?」
1つずつ丁寧にラッピングされたアイシングクッキーを夕子は1枚つまんで目をキラキラさせながら眺めているけど、
一子「……実はこれ、私が作ったものなの」
ところが櫟先輩の言葉に夕子はそのクッキーを机の上に落っことした。
夕子「つ、つ、つ、作ったですって!?び、美人は料理までするの、出来ちゃうの、どうしてなの!?だってこれ売り物みたいに綺麗ですよ!?」
志保「一子は料理得意だもんね」
夕子が大騒ぎしているのになんだその彼氏面は。
しれっと赤い苺の形をしたアイシングクッキーのラッピングを取って食べ始めてるけど、夕子のバカがそこで男女にあーんを強請ってまたもキモいと椅子を離されてる。
姫奈「一子ってマジ女子力高いんだよなー…あ、アタシはこれ!ポテチでーす」
舞「わ〜KALDIのフラ印のだ〜3種類も〜?」
姫奈「これヤバウマだから!ハワイアンサワークリームがおすすめね!ルコは何持ってきた?」
薫子「…………」
ガサガサと変な……アニメ?とかのストラップがたくさんついたスクバの中から児ポ先輩が出したのは山のようなウエハース。
しかも全部同じ種類のウエハースで、安かったのかと1つ手に取ると……
夕子「ば、ババンゲリオン?これはアニメですか?」
舞「あ〜これ見たことありますよ〜実家のスロットにあります〜」
美百合「いやスロットて……」
姫奈「ルコはこれのねー、こいつ?これがどタイプなんだよね!それのカードが出たら欲しいんだって!」
ギャル先輩が指さすのはウエハースのパッケージに描かれた細身のグレーの髪で赤目の色白男。
どうやら児ポ先輩はこの男のレアカードが欲しくて仕方ないらしい。
志保「白樫先輩ほんとにこればっかり食べてますよね」
美百合「だからそんな児ポ体型なんだ」
夕子「ちょっ、ゆりあんたはほんと言葉を選びなさいよ!ルコちゃん先輩私がこれ躾ときますからごめんなさい!!代わりに夕子がこの謎の男を引きますから!!」
夕子に机の下で足を踏まれて痛いけど、児ポ先輩は嬉しそうにコクコクと何度も頷いた。
女の子ってほんとお菓子とか好きだよね……。
そんなに美味しい?
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