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体育祭11:木下夕子

・救護室にて



志保「夕子ちゃん、歌舞伎役者みたいな顔になってる

わよ」


夕子「夕子が志保様の代わりに怒ってあげてるんですよ!!さ、志保様、どうぞこの夕子にくまなく気持ち

悪いことをされて嫌だったお気持ちをぶつけてください!!」



息を巻いて志保様をみつめると、



志保「………んー、まあそんなとこかな」



と志保様はどこか遠くを見つめるような目をした。




夕子「ほらぁ!!!やっぱりそうなんですね!?私人の気持ちに敏感だからわかるんですよ!!」


志保「そうなの?凄いね」


夕子「そうです!!それにそれなら仲良しのいちい先輩にもそうやって相談するみたいに話すべきです!!

最近は色々あってちょっと態度が微妙かもですが、

きっと親身に志保様のお悩みを聞いてくれますよ!」


志保「一子に話す必要なんかある?」


夕子「あ、ありますよ!!夕子は人1倍察しがいいから

志保様のことがよくわかりますけど、いちい先輩は分からないタイプならきっと寂しいと思いますよ」



そう一息に捲し立てると志保様はふむと首を傾げた。



志保様って、ほんの少しだけ鈍感なのね。



そこも夕子にとってはチャームポイントで愛らしいと

思うし支えてあげたいけど、これじゃいちい先輩は毎日訳がわからないと思う。


いちい先輩はライバルとはいえ、志保様とギクシャクしてる最中に私が横から志保様をかっさらって最高に上手くいくのはルール違反よ!!


それは夕子のポリシーに反するし、恋敵とは正々堂々

戦わないと!!



志保「ふーん、一子って私の事好きなのかな」



メラメラと美人なライバルに闘志を燃やす夕子を他所に、志保様は考え込みながら呟いた。



夕子「そ、それは……く、悔しいですけど、多分そうだと思います。夕子の強敵です……あ、でもあっちは美少女系ですが夕子はスーパー可愛い系だからな……志保様

よーくよーく夕子のお顔を見て、好きになってください」



ほら、可愛いでしょ、と志保様に向かってにっこり

笑ってアピールする。


すると志保様は弾けるように笑った。


可笑しくて仕方ないみたいに肩を揺らして……。



志保「ふふ、夕子ちゃんって本当に面白いね……

ねぇ、ちょっと肩貸してよ」



志保様はそう言うとベンチで隣に座る私にもたれかかってきた。



夕子「どうされま___ハッ!!!!」



か、可哀想に!きっとあの変態自称婚約者のこととか

日々悩みすぎて睡眠不足だったんだわ!!


夕子に胸の悩みをほんの少し話したら安心して眠たく

なってきたのね……!!


……ん?


こんなのが志保様がお気持ちをちゃんと話した事になるのかしら?



夕子「もちろんです!さぁ!!」



まあいいかとバンバンと肩を叩けば笑いながら志保様は顔を預けてくる。


ち、ち、ちか〜い♡♡


しかもバニラの匂いがしてクラっとしちゃう♡♡


どこの香水か聞こうとすると、



志保「……お姉ちゃんがよく肩貸してくれたんだよね」



目を瞑りながら志保様は幸せな子供みたいに無邪気に

微笑む。



夕子「お姉様は……どんな方だったんですか?」


志保「見た目も中身も一子にそっくりだったわ」


夕子「えっ……、」



それはどういうことかと聞く前に、志保様はすやすやと寝息を立て始めた。


いちい先輩にそっくり……?


………。


…………………。


上手くは言えないけど、何となく私の胸がモヤついた気がして右手をそっと心臓に当てて首を傾げた。





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