体育祭9:木下夕子
・救護室にて
……。
………………。
う、うそ〜〜〜♡
や、やば〜い♡♡
やっぱり今朝テレビでおとめ座が1位ってのは当たってたのね!
恋愛運は気になる人と急接近♡だったからその通りってこと!?
志保「夕子ちゃん、上向いちゃだめよ」
夕子「だってこんなに志保様のお顔が近くに!!
見ておかないともったいないです!!」
志保「騒ぐのもだめ。隣座ってあげるから大人しくしてて」
パン食い競走で顔からすっ転んだせいで鼻血が
出ちゃって、更には足もちょっと挫いてしまった。
でも私の隣で大騒ぎするまいと何でか泣いてるいちい
先輩を見ていたらだんだん冷静になっちゃって。
まいは一緒に救護室まで着いてくって聞かなかったけど、競技の最中だし大騒ぎする程のことじゃないから
大丈夫って伝えて1人で救護室まで来たんだよね……。
うちの学校は愛知県体育館の控え室を救護室代わりに
借りていて、少し痛む右足を引きずりながらえっこら
えっこら歩いてやってきたの。
___ところが、その後からが急展開。
な、な、なんとね!!
志保様がわざわざ!!
わざわざ私を心配して覗きに来てくれたのよーーー!!!
しかも保健の先生がトイレで席を外してるのが功を奏して、志保様が代わりに控え室に用意してあった救急箱を使って軽く手当までしてくれてたの!
超超超ウルトララッキー!!
今は丁寧に鼻血まみれで汚れた私の顔を吹いてくれてる最中なんだけど……
夕子「そんなに見つめられると照れちゃいますぅ♡」
志保「別に見てないけど」
夕子「やだ、志保様の方が照れてて可愛いです♡」
志保「その調子なら私もう戻っても___」
夕子「あーん急に足が痛いです……♡♡」
志保様はそんな私を見て呆れながらだけど優しく笑ってくれた。
不謹慎なのは承知だけど怪我してよかったわ……♡♡
何とかこのままずっと一緒にいられないかしら?
先生頼むからあと30分くらい個室に篭って戻ってこないで!!と神様に願うけど、ふと気がついた。
夕子「あのー、志保様はもう他に出る競技はないん
です?」
志保「そういえば……リレーがあったわね」
夕子「リレーがあった……って、志保様リレーに出るんです!?!?」
志保「そう。でももう始まっちゃってるし。ちょっと
だけ面倒だったからそんなことは気にしなくていいのよ」
代わりに誰かが走ってるだろうし、と志保様はビックリして立ち上がりかけた夕子の体操着の裾を軽く引っ張ってまた椅子に座らせてくれる。
……えぇぇ〜?
本当に大丈夫かしら?
………ま、志保様がいいならいいのよね。
勝敗に気合いの入ったクラスメイトに怒られないかしらとは思うものの、本人がこの様子ならそこまで私が気にしなくてもいいように思えた。
志保「それにリレーには一子も出るし、上手く言っと
いてくれるんじゃないかな?だから大丈夫よ」
夕子「えっ!?」
その話を聞いたら非常にマズい気がして、ぎゅんとベンチの隣に腰掛ける志保様を力強く見つめた。
Eラインの完璧な横顔がめっちゃ綺麗♡♡
……じゃなくって、見惚れてる場合じゃないわ!
だって最近の志保様といちい先輩はどこかぎこちないんだもん。
志保様は特に変わった様子は見当たらないんだけど、
いちい先輩は……なんか志保様に思うことがあるのか、
変に気まずそうというかなんというか……。
夕子「あのー、志保様?」
志保「なぁに?夕子ちゃん」
夕子「夕子を愛してくれるのは本当に嬉しいんですけど」
志保「別に愛してないけど?」
夕子「一旦それは置いといて、夕子思うんですけど最近の志保様はいちい先輩にちょっと冷たい気がします!!」
思い切って伝えた言葉に志保様はパチパチと数回瞬きをした。
真顔でじっと見つめられるとやっぱりお綺麗でつい言葉に詰まりそうになるけど気合いを入れて尋ねてみた。
夕子「お、お2人は普段どんな話をするんです?」
志保「さぁ?でも一子が何か勝手に話してたと思う。
そうだ、夕子ちゃんも何か話してよ」
いちい先輩が勝手にって………。
ちょっぴり酷い言い草のような気がするけど志保様は
何故か夕子の話を聞きたがって、さぁ早くと急かしてくる。
夕子「___志保様が話してください」
何となく、志保様の口から志保様のお話が聞きたく
なった。
でも志保様はどうしてと言わんばかりにじっと見つめてくる。
志保「だって夕子ちゃんもいつも勝手に私に話しかけてくるじゃない?」
志保様はあっさりと、自分からは何も話すことはない
かのようにつまらなさそうな顔をした。




