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記入者4続:楠木舞

・旧音楽室にて

全員で立ち話




姫奈「てかあんたたち新入部員なんしょ?」


夕子「……え?先輩たちが新入部員ですよ?」


姫奈「は?おい、しっぽー。話違くね?」



ギャル先輩は男役デカ女を見て苦笑した。



夕子「しっぽ!?もしかして志保様のことですか!?」


美百合「夕子うるさいって、あんたが喋ると話が見えないくなるから一旦黙ってよ。先輩たちって……」



海棠が怪訝そうに3年をじっと見つめるとギャル先輩はごめんごめんと軽く笑う。



姫奈「アタシ榊原姫奈(さかきばらひな)!合唱部部長…って、もう〝元〟だけどね。よろしく!」


「…………」


姫奈「こっちはルコ!白樫薫子(しらかしかおるこ)、ちょっと静かだけどマジ優しいから!」



ピースしてウインクする榊原先輩と、俯いてお辞儀する白樫先輩に夕子ちゃんは震え出す。



夕子「さ、さ、さかきばら!?しらかし!?何それ!?名前がオシャレすぎる!!ひな先輩漢字は!?漢字は!?」



夕子ちゃんは自分の平凡な苗字と名前を心底嫌ってるんだよね。


名前も存在も全てが可愛いのに、そういうちょっとしたことを気にしてるところも可愛いな。



姫奈「漢字?姫に奈良の奈!」


夕子「ひ、姫!?ここには一位の美女に姫までいるの!?私なんて、私なんて___!!」


美百合「うるさいって!!すみません、あの、合唱部って?」



海棠が雑に夕子ちゃんを追い払ってるけど……。


偉そうに何だよ。


苛立つけどいつも通りその態度を顔には出さずに心で中指を立てる。



姫奈「その名の通りここで合唱してたんよウチら。でも3月にちょーっと色々あってみーんな辞めちゃって……部活って7人からしか設立出来ないから4月中に新入部員見つけらんないと廃部なんだよね」


一子「私も志保ちゃんも合唱部なの。ここは部室として使わせて貰ってるんだよ」



へぇー、旧音楽室は合唱部の部室だったんだ。



美百合「合唱部の部室って…夕子あんた知ってたの?」


夕子「ううん、今初めて知った」


舞「夕子ちゃん〜?もしかして部活申請とか教室使用申請とかなぁんにもしてないの〜?」



私の確認で海棠が固まるのが分かる。


完全に部として〝まったり部〟が設立したと思ってたんだろうけどそんな適当な部活に先生がOK出すわけないんだよね。


夕子ちゃんの意思を尊重して着いてきたけど、こんなことだろうとは思ってた。



美百合「じゃあ何!?私はただ6限終わりに部活でもないのにあんたたちとだべってただけってこと!?」


舞「そうなるね〜」


夕子「ま、待って待って!大丈夫だから!ほら私たち3人と先輩4人で7人!ね?まったり部成立したじゃない!?」


薫子「…………」



白樫先輩は榊原先輩のカーディガンの裾を引っ張って耳打ちすると、ふむふむと頷いた。



姫奈「ルコが『1年3人纏めて合唱部に入った事にすればいいんじゃない』だって!それならここも使えるし再申請とかしなくていいから楽っちゃ楽よな?」



確かに一理ある。児ポ先輩の言う通り。


確かに私達が正規の元々ある合唱部に入部した方が早いのよね。



夕子「えーっ!?合唱部じゃなくって、まったり部じゃないと嫌です!!」


志保「じゃあ今すぐ出てきなよ。ここで好き勝手やられても邪魔だし」


一子「し、志保ちゃん……」



ガーンと音が鳴りそうなくらい夕子ちゃんは打ちひしがれてるけど、元はこの人たちが練習場所として使用していたんだから男役の理論は正しい。


人数が集まらず合唱部が廃部になるにしても、別の部活がこの旧音楽室を使うことになれば夕子ちゃんの願いは叶わない。


どうしたら夕子ちゃんの思い通りになるかすぐに頭を働かせるけど、



姫奈「合唱部withまったり部にすりゃよくね?」



ギャルはすぐにそう提案した。



姫奈「どーせ合唱って言ってももうやらないだろうし……皆で楽しく遊べばいいんじゃん?しっぽもそんなカリカリすんなって」



榊原先輩が男役の肩を組むと気に入らないのかふいと顔を逸らした。


チッ……。


余計な提案しやがって。


海棠だけでも迷惑なのにこれ以上夕子ちゃんと私の蜜月を邪魔する奴が現れるのは勘弁して欲しい。



夕子「じゃあじゃあ、私達3人とも合唱部に入ります……」


美百合「は?私は___」


一子「ほ、ほんと!?改めてよろしくね!良かったー!ね、また皆でいれますね」



さすがの海棠も男役も超美人の櫟先輩に嬉しそうに微笑みかけられたらもう何も言えないらしい。


役に立たねぇなと思いつつも、私も夕子ちゃんの気持ちが優先なので良かったねと微笑んだ。



薫子「……」


姫奈「何何?あー、ね!『マカロン1個しかないならジャンケンする?』だって」


夕子「7等分しましょう!!頑張れば出来るはず……!」


美百合「そんなカスみたいなサイズ食べても味わかんないよ」


夕子「か、可愛くないわね!そんな意地悪言うあんたには絶対あげないんだから!!!」



夕子ちゃんは愛らしい猫みたいにシャーッとキツく構えているけどやっぱり可愛いだけだった。



姫奈「てか月曜歓迎会でもする?それぞれ菓子持ち寄ってさ!」


夕子「する!します!やったー!お菓子パーティーよ!!」


舞「良かったね〜夕子ちゃん〜。それなら私ティーセット持ってきます〜」


夕子「舞ほんと!?Wedgwoodのストロベリーの持ってこれる?あれ人数分ある?」


舞「いいよ〜何でも持ってきてあげる〜用意するよ〜」



やったーと喜ぶ夕子ちゃんは小躍りしていていて本当に可愛い。


夕子ちゃんの旧音楽室でまったり過ごすという夢が叶いそうで良かったと微笑んだ。




4/25(金)


旧音楽室は合唱部が使ってるということが

判明したけど、無事まったり部は存続できそうで

良かったです〜。

あの後マカロンジャンケンは梓先輩が勝って、

櫟先輩にあげたせいで夕子ちゃんは泣いて

しまいました〜。

可哀想なので、月曜日の歓迎会は栄の三越の

ピエール・エルメで色んな味のマカロンをたくさん

買ってこようと思います〜。

夕子ちゃんの喜ぶ可愛い顔が見たいな〜。


まい

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