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体育祭5:木下夕子

・借り物競争をCブロックで見てると……?




夕子「もー!!!ゆりってほんとガサツ!!」


姫奈「まあまあ、めっちゃウケてたし良かった

じゃん!」


舞「よくないですよ〜……」



ゆりに引きずられて3人4脚でこけて、会場中から笑われたけど、なんとか3着でゴールできた私たちは先輩たちが待つ席に戻ってきた。


姫奈先輩からもらったウェットティッシュで擦れたところを軽く拭いてるとルコちゃん先輩がアニメの絆創膏を

1人ずつ貼ってくれる。



夕子「あれ?志保様は?」


美百合「次借り物競争でしょ?多分あの人アリーナ

行ったよ」



ふと周りを見回すと、ゆりがポップコーンをポリポリ

食べながら言う。


何よ、やあんなに人の作ったポップコーンをバカにしてたのにちゃっかり食べてるじゃない。



夕子「じゃあいちい先輩は?」


舞「さっき飲み物買いにいったはず〜」


姫奈「てか、借り物競争って結構大変なんだよな」



……そうなのよね。


借り物競争なんて楽しそうじゃないと思っていたけど、良く考えればアリーナと客席はめっちゃ離れているのよね。


何を借りるにしても一旦階段を上がって客席の方まで

ダッシュしないといけなくて、かなりハードそう。



姫奈「走った場所に目当ての物持っている人がいな

きゃ、別のブロックまで探しにいかないといけないしね」



姫奈先輩が追加で説明までしてくれて、出なくて

良かったと思わず胸を撫で下ろしちゃった。



夕子「志保様そんなキツいのに出るなんて」


薫子「…………」



ルコちゃん先輩が姫奈先輩に小声で話しているけど

相変わらず聞こえない。



姫奈「あーね?ウチらのクラスも借り物競争はジャン

負けだったね」



姫奈先輩がルコちゃんの言葉を代弁してくれるけど、

やっぱりみんな出たがらない競技なのねとアリーナに視線を移す。



美百合「学年競技でしたっけ?」


舞「借り物と〜騎馬戦は〜学年まぜこぜのはず〜」



私もポップコーンをポリポリ食べながら志保様の姿を探すと、目に入ったのはスラリとした長身の……



夕子「あ!ねえあれ!あそこにいるのが志保様よ!!

志保様ー!!!♡♡」



いた!いた!


志保様はまるで玉塚歌劇団の男役スターみたいに輝いててうっとりしちゃう。


シルバーの髪がキラキラ輝いて遠目でもその麗しいオーラと完璧なスタイルが丸わかり。


舞台の上でスポットライトを浴びる王子様みたいで、

何食べたらあんなに素敵になるのか分からないくらい

かっこいいー!!♡♡



美百合「バカ!!うるさい、耳元で叫ばないで!!」


夕子「だって応援しないと!志保様ー!!ファイトーですー!!」



両手を振って精一杯声を上げたらゆりに叱られたけど、この子ったらなんでこんなイライラしてるのかしら。



舞「ここから聞こえるかな〜」



本当は前の席までダッシュして応援したいけど、借り物競争は人気競技だからどこも人でぎゅうぎゅうだった。


仕方がないからここから見るしかないできないけど、

志保様の神スタイルは遠くてもバッチリ目立つから

キッチリ追えるわね!


借り物競争は1学年10人ずつ、広いアリーナをフルに

使って50メートル先に置かれたお題を取るところから

スタートする。



姫奈「お、いよいよ始まるぞ〜」


薫子「…………」



体育委員の「位置について!」の声が響き、パンッ!と鳴ったピストルの音で一斉に選手が走り出した。


その瞬間、会場がどっと沸いて熱気が一気に高まる。



夕子「え!!志保様ぁ!!!」


姫奈「しっぽやる気ねぇ〜……」



皆が一斉に走り始める中、志保様は軽いランニングくらいのペースで走ってる。


あ、あれじゃあお題を取るまでロスが……!!



夕子「の、残り物には福があるから!志保様はそういう戦法なのね!!」


舞「それはさすがに無理あるかな〜」



私が必死にフォローしてるうちに、アリーナの志保様はようやくテーブルについてお題を開いていた。


同時に明らかに運動部っぽい人が1番乗りで客席まで駆け込んでくる。



「のり持ってる人ー!!いませんか!?」



さすがにのりはないとCブロック全体が首を振ると、

悔しそうに別のブロックに走って行った。


結構難しいお題が多いのか、走者が来た各ブロックは

大盛り上がりだけどてんやわんや。


私も何か貸してあげられたらな〜って思いながら志保様に目を戻すと……あれ!? もうアリーナにいない!



薫子「……?」


姫奈「しっぽはもう行方不明、後はアリーナに戻って

くるの見るしかないね」


夕子「ざんねーん…夕子ならなんでも貸すのに」



志保様に何か渡せたら、もっと近くでそのキラキラした姿を見れたのに。



「じゃあ、貸してくれる?」



突然、背後から麗しい声が響いた。


まるで舞台の上で囁く男役スターのような、深みのある声。


……この声は……!?



夕子「志保様!?!?!?」



私は目を丸くして叫ぶと、志保様はお題の紙をヒラヒラと振りながら微笑んでいて、鋭いのに柔らかな瞳が私を捉える。




志保「行こ、夕子ちゃん」




ヒロインをエスコートするみたいに志保様が私の手を取って立ち上がらせる。



夕子「え!? ちょ、ええええ!?!?」



頭は真っ白、心臓バクバクのまま、志保様に引っ張られて私は走り出した。


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