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記入者4:楠木舞

・旧音楽室

待てど待てども……




夕子「………」


美百合「いい加減諦めなって」



夕子ちゃんはじっとピアノの椅子に座ってドアを見つめること1時間。


あの勧誘の仕方であの男女が来てくれると信じて疑わないところも可愛い。



夕子「夕子の王子様は来てくれるもん……」



正直、絶対にあの玉塚歌劇団(ぎょくづかかげきだん)男役担当には来て欲しくない。


夕子ちゃんは素敵素敵って騒いでるけどアレのどこがいいんだか。


海棠でさえ邪魔なのにこれ以上私と夕子ちゃんの間に邪魔が入るのは死んでも嫌。


何とか説得して一緒の女子校に夕子ちゃんを入れたのにこれじゃ意味が___



夕子「舞ぃ……」


舞「どうしたの夕子ちゃん〜」


夕子「も、もし志保様が来なかったらどうしたらいいの……」


舞「ん〜そうだね〜」


美百合「大体学年も違う知り合いでもない人がこんなトンチキな部活に来るのがおかしいよ」


夕子「ゆりの意地悪ーっ!バカバカバカバカ!!」


美百合「かー…かぼちゃ?」


夕子「しりとりなんかしないわよ!もうふざけないでよー!!」



わっと泣いたふりをする夕子ちゃんが抱きついてきて優しくその頭を撫でてあげる。


ふわふわの髪がシフォンケーキみたいで可愛いなと感触を楽しんでいると、ガタガタと立て付けの悪い旧音楽室の扉の音が鳴った。



夕子「志保様!?」



ガバッと顔をあげる夕子ちゃんに釣られるように私も海棠も扉を見ると、



一子「あの、マカロンまだありますか?」


志保「……」



櫟先輩が無表情の男役の腕を引いて入ってきやがった。


チッ……。


何しに来たんだと苛立ちながらまだ抱きしめたままの夕子ちゃんを堪能していると、その後ろから続いて見知らぬ2人が入ってくる。



「新入部員がマカロン食べ放題やるってマ?」


「…………」


夕子「……だ、だ、誰ですか?」



緑色のリボンってことは……多分3年生ね。


1人は確実にギャルで、この山王女学園の死ぬほどダサいジャンスカの制服をどうやってか膝上にしている。


それにカーディガンも指定じゃないベージュのやつだし、チェリーのワンポイントソックスと濃いブラウンの高めのローファー、それにメイクまで……。



夕子「め、め、め、メイクが上手すぎる!!」


「え、マジ?分かる?リップと透明マスカラとー、アイラインきりきりで入れてんの」



んーまっ、と唇を弾ませるギャルの先輩を見てオシャレやメイクが大好きな夕子ちゃんは興奮していた。


あーあ、離れちゃったじゃんかよタイミング悪いなー。



ギャルの先輩とは反対におずおずとこちらを伺い見てるもう1人は夕子ちゃんより背が低い。



美百合「やば、児ポじゃん」


夕子「ゆ、ゆりっ、あんた先輩に向かってなんて事言うのよ!!!!!」


「児ポヤバい!!ウケるんだけど!!ルコ、ねぇあんた言われてるよ」


「………」



海棠の言う通り、その先輩は変に出るところが出てるのに寸胴体型で色々むっちりとしてエロい。


カチューシャでデコ出し内巻きボブにしていて、シームレス眼鏡から覗く目は見事なタレ目だ。


ギャルは一言も話さない児ポの手を取り室内へ入ってくる。



一子「先輩たちも来てくれたんですね」


「だってマカロン山盛りって聞いたら食べたいじゃん?ねー、ルコ」


「……」



児ポはこくこく頷いてるけど、夕子ちゃん山盛りなんて用意してるのかな?



一子「マカロンいっぱい食べれるみたいって言ったら先輩たちも来たいって言ってくれたの。ね、志保ちゃん」


志保「まぁね、一子が乗り気だから仕方なく来たけどその肝心のマカロンはどこよ」


夕子「___えっ!?!?」



夕子ちゃんは慌てて茶色い箱を鞄から取り出すけど、私たちには背を向けて何かゴソゴソ確認してる。


もちろん私たちは全員が気になって、5人でそっと夕子ちゃんに近づき後ろから覗き込めば、



美百合「あんた1個しかないじゃん」



小箱の中にはピンクのマカロンが一つだけ入っているだけだった。



夕子「だってお小遣いが__」


志保「帰ろうよ一子」


夕子「し、志保様待ってください待ってください!!こ、これは手違いでー!!」



呆れ顔の男役に夕子ちゃんはしがみついてるけどこればっかりはしょうがない。


渡り廊下での夕子ちゃんの言い方はまるで10個はあるみたいな言い方だったもんね。



舞「そうだよね〜お小遣い足りなかったんだね〜」



恥ずかしそうに俯く仕草も可愛くてヨシヨシしてあげる。


夕子ちゃんのお小遣いが少ないのを知ってるので次から私が援助してあげようと可愛い顔をじっと見つめた。



夕子「だ、だって!昨日まつ毛美容液買ったら思いの外高くて……!!」


「何買ったん?マジャマジャ?」


夕子「ルッシュアディクトの……5000円の……」


「あれ色沈せん?」


夕子「え!そ、そうなんですか!?」



せっかく買ったのにと打ちひしがれる夕子ちゃんにギャル先輩はケラケラ笑っている。


ギャルって打ち解けるの早いよね。


嫌だな。この人も早く帰らないかな。



姫奈「しっぽ、せっかくだから皆で茶だけでも飲んでこうよ。話さきゃいけないこともあるし?」



ギャル先輩が3年だからか男役は仕方なしに振り返って出ていくのを諦めた。










夕子ちゃん可愛いですよね〜。

絶対渡しませんよ〜。

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